毎年恒例のシトリックス主催のカンファレンス「Citrix Synergy」が5月25日-27日の3日間、サンフ ランシスコのモスコーニ・コンベンションセンターで開催された。今回のテーマは、「Work anywhere on any device、Virtual Computing」。関係者によれば、今年の参加者は、4,000名以上とのことで、昨年の3,000名を上回る結果となった。

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初日の基調講演では、マーク・テンプルトン氏(シトリックスCEO)が登壇し、クラウドの進展におけるITを取り巻くトレンド、同社のポジショニング、「Virtual Computing」のビジョンと具体的な取り組みが語られた。

「ITコンシューマライゼーションと戦うべからず」

ITを取り巻く環境の変化の中で、今後10年における最大のトレンドとして「ITコンシューマライゼーション」が強調された。「ITコンシューマライゼーション」とは、ITの進化はコンシューマ市場から始まり、その流れがのちに企業向けITにも適用されていくというもので、ユーザーや顧客がさまざまなもののコントロールを自分たちのもとに持ってくる流れのこと。つまり、スマート フォンやタブレットPCのなどのデバイスの多様化とFacebookやTwitterなどソーシャ ルメディアの浸透に伴い、企業の従業員は、日々の生活の中で利用しているこれらのデバイスやアプリケーションを業務に持ち込むようになるというトレンドだ。

どの時代にもコンシューマは、新しくて使いやすそうであれば常に新技術を取り入れるが、企業はこれまでの風習やレガシーなインフラを抱えているため、どうしてもコンシューマより動きが遅くなってしまうのだろう。

しかしながら、「ITコンシューマ ライゼーション」の動きは誰も止められない。なぜなら、デジタルネイティブ世代やナレッジワーカー世代にとってこのような技術を使いこなすことは、日常において当たり前のことであって、コンシューマの選択を企業が阻止することはできないからだ。

例えば、自分自身の場合、Facebookで使われてい るフィードやフィルタ、Twitterのつぶやきは仕事をする上で非常に重要なものになっている。1,000人を超える フォロワーからのフィードバックはビジネス戦略を策定する上で貴重な情報になるし、Facebookのフィードや フィルタは、あふれる情報の中で「自分に関連ある情報は何なのか?」、「誰がフォローしている情報か?」、「誰が何をしているのか?」など情報を整理して くれたり、Face to Faceで会っていな くても身近な存在にしてくれたりと、情報に知的価値を与えてくれる。

その流れの中で、同社は「BYOC(Bring Your Own Computer)」という個人 所有のPCを会社の業務で利用するというコンセプトを推進してきた。最近ではスマートフォンやタブレットなど、ユーザーは3つ以上の端末 を使いこなしていることから、BYO-3(3 Devices)と改め、その次には、BYO-Apps、BYO-Identity、BYO-Security、BYO-Networkへと進化して いくとのことで、場所や端末、リソースにとらわれないワークスタイルの変化に追従するソリューションの提供に積極的な姿勢を見せた。

考えてみれば、デスクトップ仮想化(VDI)技術の進化により、「いつでも、どこでも、どんなデバイスでも」あらゆる情報にセキュアにアクセスできる時代になっている。自宅のMacから業務で利用しているWindowsのデスクトップ利用したり、スマートフォンから業務メールをチェックしたり、iPadで顧客向けのプレゼンをしたりと、どこにいても働ける時代になってきている。

Mark氏によれば「ITの長期的なゴールは、できるだけ自分の責任をオフロードして、エンドユーザーに移すことが重要」とのことで、ビジネス部門のエンドユーザーは、IT部門によってセットアップされた仮想化されたリストを割り与えられたサーバーから選択して、利用している間、IT部門はどれくらいのディスクやサーバー領域が必要なのかを予測して、すばやく実行する。つまり、ビジネス部門のエンドユーザーをパートナーとして捉え、コントロールできる部分を共有していくことが必要となる。

企業の経営層からしても個人所有の端末を利用することで、コスト削減に寄与するし、IT部門からしても端末の管理から解放され、彼らのコアである共有コンピューティングの設計や業務アプリケーションの開発に注力できるようになるだろう。「企業の経営層やIT部門は、これらのITコンシューマ ライゼーション化と戦うことなく、受け入れていくことが今後のIT部門に求めら れる。」と結論付けた。


シトリックス、オープンクラウド戦略に軸足を移す

基調講演の前半は、デスクトップ仮想化のシェアNo.1企業として想像できる流れであったが、後半に語られた「オープンクラウド戦略」は、同社のクラウド基盤構築構築ソリューションの提供開始を告げる大きな戦略シフトが感じられるものになった。これで、VMware社が推進している「vCloud戦略」と真っ 向から戦うことになる。

Mark氏が掲げた2つのキーワードは、「Follow Me App」、「Follow Me Data」。Follow Me Appとは、同社のデスクトップ仮想化のフロントエンド製品「Citrix Receiver」を軸に、アプリケーションの追加や削除、デバイスをま たいで、同じアプリケーションの利用環境を実現するというもので、Follow Me Dataとは、アプリケーションで利用するデータにおいても、デバイスをまたいだ データ同期ができるようになるというもの。

背景には、企業を取り巻くクラウド(SaaS)の選択肢は広がり、FacebookやLinked-Inなどのソーシャルメディアに加え、Salesforce CRMやChatter(企業内Chatter)、GmailやGoogle Apps、SAPやMicroSoftなどのビジネス・アプリケーションのSaaS利用も加速している状況下、各々のアプリケーション・システムはサイロ化され、ID/パスワードも氾濫していることが挙げられる。

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そこで、同社は今回「NetScaler Cloud Gateway」を発表。同製品は、サイロ化されたアプリケーションを一元管理するセルフサービスポータルで、ユーザーはクラウドにあるWindows/Web/SaaSアプリケー ションを「Citrix Receiver」を介してシームレスにアクセスできる。つまり、企業データセンターにおけ るフロントドアとしての役割を担うことになる。主要機能として、①シングルサインオン、②アプリケーション検索とユーザーの紐付けとプロ ビジョニング、③アプリケーション・ライセンス管理、④SLA監視(ユー ザー状況、ライセンス状況、アプリケーション状況を監視)の4つを提供する。

同じく新製品「NetScaler Cloud Bridge」は、データセンターのバックドアに設置するもので、パブリッククラウドと プライベートクラウド間(いわゆるインタークラウド)をトランスペアレントかつセキュアに繋ぐ製品。つまり、ハイブリッドクラウドの構築に際して、企業データセンターとクラウド事業者データセンター間のネットワークを最適化するもの。

これにより、プライベートクラウドで、ITリソースが足りなければ、即座にパブリッククラウドにある無限のITリソースにシームレスにリーチすることができ、エンドユーザーはどこから提供されているかを意識することなく、ITリソースを活用できる。主要機能は、従来のL4-7トラフィック 管理機能(負荷分散、SSLオフロード、SSL-VPN機能、キャッシュ、圧縮、アプリケーション・ファイアウォール)に加えて、 ①Seamless Network(L2ベースのネットワークブリッジ機能)、②Secured Tunnel(IP-Secベースのセ キュアトネリング機能)、③Optimized Access(ネットワー ク遅延を低減し、スピードを加速する機能)、④User Transparency(必要なアプリケーションをグローバルサーバーロードバランス機能により企 業データセンターもしくはクラウド事業者のデータセンターと繋げる機能)⑤App Flexibility(ディレクトリーやデータなどセンシティブなアプリケーション・コンポーネ ントを管理する機能)の5つとなってい る。

そして、今回基調講演で一番のトピックスは、何と言っても「Project Olympus」の発表であろう。これは、オープンソースベースのクラ ウド基盤・管理運用ツール「Open Stack」をXen Serverに最適化された形で実装する製品で、2011年中に提供を開始することを明らかにした。(この製品を「Project Olympus」というコードネームで呼んでいる。)

Open Stackは、もともとVMware社のvCloud戦略に対抗す る形で、単一ベンダーにロックインされないオープンなクラウド・フレームワークとしてRackSpaceやCitrixが主導して設立されたオープンソース・コミュニティ。XenのみならずVMware、MS Hyper-Vなどマルチ・ハイパーバイザー環境で実装できるクラウド 構築・運用管理ソフトとしてシリコンバレー界隈では注目を浴びていた。

IDCによれば、2008年の仮想化ソフトウェアのマーケットシェアは、VMware社が87%と独占状態 であったが、2010年は、54%まで落ち込み、MicroSoft Hyper-Vが23%、Citrix Xenが12%、Oracle VMが8%と押し上げた結果となっている。Citrix Data Center & Cloud Divisionのプロダクト担当者によれば、米国市場においては70%の企業が複数のハイパーバイザーを使っているとのことで、これは顧客が、単一 のアーキテクチャーにロックインされることを望んでいない表れと言ってよい。

しかしながら、Open Stackそのものはオープンソースであったために企業が導入に踏み切るにはメンテナ ンスやサポート面で敷居が高かったことも確かである。そこで今回の発表によりCitrixがOpen Stackを取り込み自社製品化し、サポートを提供することで、本当の意味でのクラウ ド基盤が企業や事業者に浸透していくことが予想される。

本当の意味でのクラウド基盤とは、昨年より幾度か述べてきたが、「仮想化しただけで はなく、セルフサービスポータルを有し、仮想マシンのプロビジョニングなどの運用管理を自動化することで、エンドユーザーが、ITリソースを使いたいときにオンデマンドで利用できるもの。」 (Interop Tokyo 2010プレゼン動画<後編>を参照。) ここまでして本当のクラウドといえる。

さらには、この「Project Olympus」は先に述べた「NetScaler Cloud Gateway」や「NetScaler Cloud Bridge」などのネットワーク製品と親和性の高いものにしていく意向とのことで、 ネットワークレベルでのクラウド化も見込まれることになになる。今後の同社のオープンクラウド戦略というコンセプトは、企業にとってより 一層見逃せないものとなるだろう。

今後の日本での展開が楽しみですね。

ENO

 スタートアップ企業の登竜門DEMO Conference 2011が、今年も南カリフォルニアのパーム・スプリングスで開催され、今回で19回目を迎えた。このカンファレンスは、スタートアップ企業が投資家やIT企業のバイヤーを前に新製品のデモンストレーションを披露する形式で「ローンチ・パッド」などと表現されるもの。いわば起業家と投資家のお見合いパーティだ。製品情報やデモ動画は直ぐにでもインターネット上から入手できる時代になったけれど、参加者の目的は休憩時間や懇親会でのネットワーキングにある。運転資金を調達したい起業家とイノベーションに賭ける投資家の意思が双方にマッチするからだ。このカンファレンス出身者(卒業生)には、VMware, Salesforce.com, Symantec, Ironport(Cisco)に加え、Palm, Boingo, Tivoなどエンタープライズ向け製品からコンシューマ向けの製品まで幅広い。

今回のテーマはクラウド、ソーシャルメディア、モバイル。
鼻息荒い起業家たちが登壇し、6分間の短いプレゼンを実施した。プレゼンと言ってもパワーポイントは一切使用せず、デモンストレーションとプレゼンスキルが勝敗を分ける。殆どがα、βバージョンのプロトタイプで、中には動かないなどのアクシデントも発生したが、オーディエンスも暖かく見守る雰囲気があり、成功すれば拍手が沸き起こる。これもDEMO Conferenceらしい光景だ。出展企業は53社、総勢1,000人を超える人々が世界各国から集まり熱い議論が繰り広げられた。

今年のキートレンドは、何と言っても「ソーシャルメディア」。
53社のうち15社がソーシャルメディア関連の新製品や新サービスを世の中に送り出した。

ここでは、カンファレンス参加者からの投票で選ばれる「People’s Choice Award」を受賞し100万ドルを手にしたGutCheck社の新サービスを始め、他アワード受賞者を紹介してみたい。

100万ドルを手にした「GutCheck」オンライン・マーケティング

マーケティングに従事している人であれば、商品開発や販売戦略策定において、ターゲット顧客からの生の声を収集するのに苦労している人も多いだろう。結構なコストと時間をかけた割には質が悪かったなどの経験されている方もいるかもしれない。

GutCheckの提供するオンライン・マーケティング・サービスは、ターゲット顧客の消費者の中から抽出した人と11のチャット・インタビューを実施して情報収集し集計してくれるというプラットフォームを提供している。同サービスは、DIYDo it yourself)というコンセプトの元、Webインターフェースからセルフサービスで簡単に実施できるようになっている。マーケッターは、GutCheckWebサイトにサインアップして、ターゲット顧客のプロファイリング(性別、年齢、地域、年収など)を作成、ヒアリングしたい質問をカスタマイズするだけで、後はGutCheck側で集計・分析してレポートしてくれるという仕組み。インタビューは1件当たり$40と従来のOne to Oneリサーチサービスの10分の1のコストで実現。インタビューしたターゲット顧客の数だけ支払うPay as you goモデルになっている。

同社のブースでインタビューしたので動画をご覧ください。


YouTube: DEMO Conference 2011 Spring People's Choice Award GutCheck


これでオンライン・ショッピングも失敗しない?

 Zugara社の提供する「The Webcam Social Shopper」 は、オンライン・ショッピングをする購買者向けにバーチャルな試着室を提供することで、購買率を向上させるもの。今回のデモでは女性がパーティに来ていくドレスを自宅で選んで購入するという想定。バーチャルに映し出された試着室では、次々と色々なドレスを試着してお気に入りのものを、モーションキャプチャーによって手に取ることができる。隣の席に座っていた女性の参加者によれば、「よくオンラインで買い物するけど、ファッション・モデルの写真イメージで購入して、手に入れたら自分のイメージに合わず後悔することも多い」とのことで、同じ経験をした女性も多いのではないだろうか。

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Zugara社のデモの様子はこちらから

その他のアワード受賞者は、Manilla 社のコンシューマ向けのアカウント管理サービスで、電話やインターネット、電気料金の支払い、クレジットカードの決済、銀行のオンラインバンキングなどのオンラインアカウントを整理して、一つのダッシュボードに表示、複数のID/パスワードを一元管理してくれるというもの。請求書は同社に送付され、PDFで閲覧することができる。支払い期限の前にリマインドメールを送信してくれるので、支払い遅延するリスクも軽減できそうだ。

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Manilla社のアカウント(請求書)管理画面
 

もう一つは、Nimble 社のNimbleFacebookTwitterLinked-inなどの複数のソーシャルメディアを一つのスクリーンで管理するもので、カレンダーやタスク、コンタクト情報なども同期する。ユーザー情報などの機密データは暗号化され、Webベースで提供するもの。SRM(Social Relationship Management)と言うらしい。

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Nimble社のソーシャルメディア管理画面 

その他、Facebookのファンページのレイアウトを変更してカッコよくみせてファンを増やすFetchFansFacebookTwitterからのキーワードをリアルタイムに検索して、市場のトレンドがわかるTrendspoterなどソーシャルメディアのビジネス活用を支援する製品やサービスが多かった。これらの新サービスの台頭によりエンタープライズ企業でのソーシャルメディアのビジネス活用が加速するだろう。

今回のDEMO Conference 2011視察は、前回のエントリーで書いた2011IT業界におけるTOP 10予測 by IDCを改めて実感する結果となった。つまり、ソーシャルメディアやクラウド、ユニファイド・コミュニケーション、モバイルなどの各々のテクノロジーが融合し、イノベーションを起こして新たな市場が形成されている。今回披露された新製品や新サービスは、まさに「ソーシャルメディア」x「モバイル」、「ソーシャルメディア」x「クラウド」、「ユニファイド・コミュニケーション」x「ソーシャルメディア」といったテクノロジーの組わせであった。

ENO

この時期恒例となっている「2011年IT業界におけるTOP10予測」が発表された。IDCのチーフアナリスト(兼シニア・バイスプレジデント)であるフランク・ジェンス氏の発表をリアルタイムで聴講したのでポイントを報告したい。

2010年のタイトルは「Recovery and Transformation」(回復と変革)とのことで、市場規模は不況以前に回復する一方、(1)新興国市場の拡大(2)クラウドコンピューティングの進展(3)モバイルデバイスとアプリケーションの普及(4)ネットワーク高速化などにより、大規模な業界再編を示唆していた。

2011年のタイトルは「Welcome to New Mainstream」(ようこそ新潮流)で、(1)クラウドサービ(2)モバイルデバイスとアプリケーション(3)ソーシャルネットワーキングが市場に浸透し、成熟期を迎える。各々の分野での破壊的テクノロジーが融合された”プラットフォーム”が、メインストリームとして市場を牽引するとしている。

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<画像クリックで拡大>

2011年、IT業界におけるTOP10予測の概要は以下の通り。

Worldwide IT Spending growth will be solid 5.7% as hardware growth moderates and software and services spending rebounds.  (世界IT市場は前年比5.7増で堅調な伸びを示す。ハードウェア分野は緩やかな成長で、ソフトウェアとサービス分野は反発し急成長するだろう。)

Emerging Markets, led by China, will continue to drive global IT spending growth with 2.6 times the growth rate of developed markets, contributing over 50% of all new growth. (中国によって牽引される新興市場諸国は、先進諸国の2.6倍の成長率、全新規IT投資の50%以上を占めるだろう。)

Public and private cloud adoption will surge as two cloud "power position" battles enter high gear and "cloud computing" (as a buzzword) gets ready to fade. (パブリック、プライベートクラウドの適用が活性化し、2つの勢力地位争い(1)PaaSプラットフォーム(2)ハイブリッドクラウド管理)が勃発する。そして、バズワードとしての”クラウドコンピューティング”という言葉はなくなるだろう。)

Cloud-driven datacenter transformations will pick up speed, with continuing integration of datacenter systems and "stacks," the arrival of "cloud ready"
enterprise software, and a rising focus on service providers (SPs) as strategic customers. (クラウド指向データセンターの変革により、システム統合、スタック化が続き、クラウド対応エンタープライズ・ソフトウェアが到来。サービス事業者は戦略顧客として注目を浴びるだろう。)

The mobility explosion will continue — with huge device volumes, new form factors, and millions (yes, millions) of mobile apps. (モバイルコンピューティングは引き続き拡大を続け、スマートフォンやタブレットなど非PC端末の出荷が急増し、モバイルアプリのダウンロード数は前年比2.5倍に伸びるだろう。)

Broadband networks will struggle — and innovate — to keep up as 4G wireless networks crawl to market, Ethernet exchanges mitigate wired bandwidth squeezes, and content delivery networks (CDNs) gain clout. (ブロードバンドネットワークの普及は四苦八苦するだろう。技術革新として4Gワイヤレス・ネットワークがゆっくりと市場に浸透し、有線ネットワーク帯域の枯渇は、イーサネット交換事業者によって軽減される。そしてCDNの勢力は増すだろう。)

2011 will be a year of consolidation and convergence for social business
software vendors as well as a year of strong social networking adoption growth in small and medium-sized businesses (SMBs). (2011年は、ソーシャルビジネス・ソフトウェアベンダーの合併が活発化し、中小企業市場においてプロモーション目的でのソーシャル・ネットワーキングの採用が進むだろう。)

The expanding digital universe — reaching 1.8 trillion gigabytes — will drive demand for cloud-friendly information infrastructure and real-time analytics for "big data."  (デジタル・ユニバース(情報の宇宙)は、1.8兆ギガバイトに拡大。クラウド対応した情報インフラや、リアルタイム分析のために大容量データの需要が増大するだろう。)

"Intelligent industries" will put mobility and social networking to work to capture
the surge in holiday mobile shopping, lay the groundwork to support the explosion in mobile payments, and enable next-generation healthcare. (リテールやファイナンシャルサービス、エネルギー、ヘルスケアなど知的業界は、プロモーションや決済に、モバイルアプリを積極的に活用してゆくだろう。)

The IT and media industries will aggressively position for consumers demanding "I want my Web TV!" with Web-connected TVs, a battle among media/entertainment clouds to be your next (virtual) cable company, and
explosive growth in mobile advertising. (IT業界、メディア業界ともに積極的にWeb TVに取り組んでいく。メディア/エンターテイメント・クラウドが次のバーチャル・ケーブル会社になり、モバイル広告が爆発的に成長するだろう。)

各々のテーマにおいて顧客動向、主要ベンダー、スタートアップベンダー動向など裏付けされた分析がされており、納得感ある予想であった。特に、3番目のクラウドに関する予測において、バズワードとしてのクラウドコンピューティングという言葉は2012年までになくなる。としているが、全く同感。「クラウド熱が冷め、現実味を帯びてきた米国クラウド業界」で記載したように、既にその傾向をシリコンバレー界隈では、肌感覚で感じていることは確かだ。

2011年は、過去数年で創出してきた各分野(クラウド分野、モバイルコンピューティング、ソーシャルネットワーキング、大容量データなど)の破壊的テクノロジーが、普及期に入りお互いが融合されていく年。つまり、「クラウド」X「モバイル」、「モバイル」X「ソーシャルネットワーキング」、「ソーシャルネットワーキング」X「大容量データ」など融合技術が市場を制覇することになる。

この市場再編を先取りして、市場での企業価値を今一度見直し、どの顧客をターゲットとし、どのようなパートナー戦略を取り、どのようなビジネスモデルを展開してゆくのか考えてゆきたい。

録画された記者発表は、こちらより聴講できるのでご興味あられる方はどうぞ。次回は各々のテーマについて深彫りした内容をレポート予定です。

ENO

京都大学で「ベンチャービジネス論」の教鞭を取る藤枝純教先生率いる学生達と触れ合う機会があった。

ちなみに、藤枝先生は、1961年日本IBMにSEとして入社後、20数年従事し、1984年CSK専務取締役他、セガなど関連会社役員を歴任。大川会長の右腕として活躍していた模様。現在は、京都大学の非常勤講師、The Open Group日本代表他、いくつもの会社の役員を兼任し、グローバル情報社会研究所の代表をされている。凄い経歴にも拘わらず、とっても気さくな方。

先週ボストンで開催された「The Open Group Conference」に出席された足で、シリコンバレーに立ち寄り、Google、Appleに加えスタートアップ企業を視察するとのことでお会いすることができた。

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Google本社でランチ・ミーティング

8名の学生のうち4名は、「シリコンバレーで起業したい!」との夢を現実にしようと動いている。以下、車の中での会話。

私:「どんな会社を作りたいの?」

学生A:「Next Googleです!」

と、きっぱりと気持ち良い返事が返ってきた。Webサービス、ソーシャル・メディアのエリアで勝負したいとのことで、鼻息荒い。

私:「なんで、日本じゃなくてシリコンバレーなの?」

学生A:「日本のベンチャーキャピタルは、テクノロジーを理解していないし、ビジネスも分かってないと思うんですよ。ここは分かってる。」

学生B:「分かっていない人に指図されたくないので、やっぱり、ベンチャーキャピタルから出資受けるよりも、例えば、Ciscoのジョン・チェンバース会長とか、経営者から出資を受けたいですね。」

学生C:「スタンフォードの学生を雇用したいから、会社のロケーションは、マウンテン・ビューがいいかな。」

っと、さながら経営観点での会話。。。(汗)。テクノロジーに関しても、よく研究されていて、いろんなスタートアップ企業の名前がポンポン出てくる。何より、「Twitterのフォロワーを5万に増やすプログラムを趣味で作ったんですよ〜。」とか、「巷ではRubyが注目されてますね。」とか、今、ビジネス分野で注目されているクラウドにしてもソーシャル・メディアにしても、生活の中の実体験として経験している分、アイディアが豊富。

しかしながら、やっぱり学生。シーフードレストランの大きな蟹を目の前に、「こんな料理、初めて食べました〜。」、「お金節約してるんで、朝から何も食べてないんです。。。」、「本当にうまいっすね〜♪」と満面の笑み。

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サンフランシスコのシーフード「Crustacean」

こういう学生を頼もしく思うし、是非、応援したいですね。若い人たちのフレッシュなアイディアをたくさん感じたひとときだった。この冬には渡米するとのことで、スタンフォード出身の若手起業家とも触れ合うことで、刺激にもなるだろうし、色んな事を吸収してゆくんでしょうね。今後がとても楽しみ。

ENO

米国市場では、ホスティング事業者、通信事業者が矢継ぎ早に発表したクラウドサービスの事例を頻繁に耳にするようになってきた。2010年は、これらのパブリッククラウドをどう活用して、社内のプライベート・クラウドとどう繋ぎ込むかが、エンタープライズ企業における目下の課題になっているようだ。

4月にニューヨークで開催された「Cloud Computing Expo」でも話題となっていた、いわゆるクラウド・フェデレーションが重要となってくる。(前述クラウド・フェデレーションで加速するプライベートクラウド参照

そこで、今回のエントリーでは、異なるクラウド間のデータ移動を可能にする標準化動向を見ていきたい。今週のシリコンバレーは、ストレージ・ネットワーキングの発展を目的とした業界団体「SNIA(Storage Networking Industry Association)」主催のシンポジウム「Summer Symposium 2010」に注目が集まっていた。

この手のカンファレンスは、日中は有償であるが、18:00以降のBoFは無料で公開され、殆んど日本人がいないので好んで足を運ぶ。BoFとは、「Birds of Feather」の略で、「同じ羽毛の鳥」という言葉から、共通の事柄に興味をもった人たちの集まりを意味し、ある技術の標準化の際、ワーキング・グループとして確立する前に、関心をもったテーマごとに議論する非公式なミーティング。

今回のBoFでは、グリッド・コンピューティング(分散コンピューティング)の技術開発と普及促進を目指している非営利団体OGF(Open Grid Forum)で協議されているオープン・クラウド・インターフェース(OCCI:Open Cloud Computing Interface)と、SNIAが4月に発表したCDMI(Cloud Data Management Interface)の2つの標準インターフェースの共同デモを世界で初めての試みるとのことで、興味深く参加した。

ちなみに、CDMIとは、パブリック及びプライベートのストレージ・クラウド間におけるデータ移動を容易にする規格で、保存するコンテンツのメタデータを保持するように設計されている。つまり、「保存されたデータ・コピーは地理的に分散させる必要があるか?」、「データ・コピーはいくつ作るのか?」などのサービス・レベルを定義することができる。そして、CDMIを適用することで、ストレージ容量に応じた課金の仕組みをつくるのに有効となる。

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上図が、CDMIのアーキテクチャーになるが、重要な側面は、既存のデータアクセス標準プロトコルを変更することなく、CDMIを利用できるとのこと。要するにAmazon S3のAPIやNFS、CIFS、WebDAVなどの従来ファイルアクセス・プロトコルなどのnon-CDMIプロトコル経由でストアされたデータとも共存できるということだ。

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上図に示したように、エクスポートされたCDMIコンテナは、クラウド環境における仮想マシンとして扱われる。詳しいホワイトペーパー「Cloud Storage for Cloud Computing」は、こちらからダウンロードできるので、SEの皆さんは抑えておきたい。

もうひとつの話題は、オープン仮想化フォーマット(OVF:Open Virtual Format)だ。OVFとは、異なる種類のハイパーバイザー間で、仮想マシンイメージを共有できるようにするための標準規格。つまり、VMwareでもXenでもHyper-Vでもどんなハイパーバイザーでも動作する仮想マシン・ファイルを作ることができる。

IT管理の標準化を推進する業界団体「DMTF:Distributed Management Task Force」では、2010年初頭に「OVF rev1.1」を公開し、アメリカ規格協会の米国標準規格として承認されれば、国際標準としてISOに提出するとのこと。

実際には、これらの規格を推進しているのが、VMware、Citrix、MicroSoft等の主要ハイパーバイザー・ベンダー他、IBM、Oracle、Dellなど大手ベンダーであり、既に実装されていることからも、デファクト・スタンダードになることは間違いないだろう。

幸いにもDMTFの会長であるWinston Bumpus氏(実は、2年前からVMware社の標準化アーキテクチャのDirectorを兼務)と情報交換することができたが、同氏曰く、「Citrixは、Project Kenshoというマルチ・ハイパーバイザー開発ツールセットを用意して無償で提供している。仮想化プラットフォーム間を移動可能な仮想アプライアンスが容易に開発できるため、顧客やISVにとってメリットある。」とのことで、「OVFの進展により、益々仮想アプライアンスの導入が、活性化してゆくだろう。」と意気込みを語っていた。

Interop Tokyoでも「仮想化アプライアンスのメリット、デメリット」と題した、パネル・ディスカッションを実施したが、まだまだ「仮想アプライアンスってどうなの?」という温度感であった。しかしながら、今年は、日本市場においても色々と動きが加速しそうだ。

ENO

もう1ヶ月以上も前のイベントで恐縮ですが、前回のエントリーで紹介した「Interop Tokyo 2010」の日商エレクトロニクス・ブースでのステージ・プレゼン動画をアップしてみました。

2年振りのInteropステージで緊張してしまいましたが、久しぶりの方々にお会いできて嬉しかったです。当社ブースに足を運んでくださった皆さん、ありがとうございました!

「はっきり見えた雲の中!米国クラウド最前線」

<前編>(8:54)

  • シリコンバレーのベンチャー投資動向
  • Interop Las Vegasでのホット・トピックス
  • 実践的なステージを迎える米国クラウド業界

<中編>(9:59)

  • クラウド定義(NIST)のおさらい
  • 米国政府が推進する「フェデラル・クラウド」
  • 大手デパート「Macy's」のハイブリッド・クラウド

<後編>(9:01)

  • クラウド構築におけるポイント3つ
  • マルチ仮想化環境で、自動化を実現するクラウド管理ツール
  • 仮想化セキュリティ・リスクと仮想化テクノロジー

特に米国市場の動向と比較して、ギャップを感じるとことは下記3つのポイントです。

  1. 「仮想化しただけでは、クラウドではない!」
  2. 「メリットはコストより俊敏性」
  3. 「物理環境と同じ、セキュリティ・ポリシーを適用せよ!」

この辺りの要素をまとめたレポート(20ページ)を書きましたので、ご興味あられる方は、お問い合わせください。個別に送付させていただきます!

タイトル:「クラウドの潮流から逃れられない今、IT部門は何をすべきか?」

     〜企業競争力を高めるエンタープライズ・クラウド適用の3つのポイント〜

宛先: mzenomoto@gmail.com
件名:米国クラウド関連レポート


ENO

今年も「Interop Tokyo 2010」の季節がやってきた。Interopは、その名の通り相互運用性(”Interoperability”)からきており、オープンな仕様で動く機器を持ち込み接続する場であったが、最近はトレードショー的な色合いが濃い。1994年から開催され今回で17年目を迎える日本最大のICTイベントだ。出展者は約300社、14万人の来場者が幕張メッセに集結する模様。

本エントリーでは、来週から始まる「Interop Tokyo 2010」の独断と偏見によるお勧めセッションをご案内したい。

前回のエントリーでも触れたが、今年のInterop Las Vegasのトピックスは、仮想化データセンター、クラウド指向データセンターと呼ばれる次世代データセンター。仮想化環境の進展に伴い、それを支えるネットワーク技術にもイノベーションが起こっている。サーバー市場に参入を果たした業界リーダーのシスコと事業者向けのコア・ルータ市場からエンタープライズ事業強化を図るジュニパーの両巨頭の基調講演は比較しておきたいところ。

6月10日(木)10:30-11:15
クラウドコンピューティングに向けた企業ネットワーキング変革への道

 ジョン・マックール氏(Senior Vice President, Cisco Systems, Inc

6月11日(金)14:15-15:00
「クラウド時代に向けた次世代ネットワーク」

 デイビット・イエン氏(Executive Vice President, Juniper Networks, Inc)

やっぱり、クラウド関連の基調講演は見逃せない。

業界の牽引するアマゾン、シンガポールのデータセンター設立に続いて、年内には日本進出も噂されている。IaaS(Infrastructure as a Service)のリーダーによる活用事例が満載な模様。もう雲を掴むような話なんて言ってられない。

6月10日(木)16:45-17:30
「アマゾン・クラウドの真実」

 ジェフ・バー氏(Senior Evangelist, Amazon Web Service LLC)

日本国内においても活発化しているクラウド・サービスの発表。いわゆる仮想化ホスティング・サービスを「クラウド」と呼んでいる「なんちゃってクラウド・サービス」も少なくない。

「VMwareだとちょっと高いし、オープンソースのXenやKVMベースでスクラッチから作るのは大変、管理性もイマイチだし。」などと悩んでいる事業者の皆さん。セルフサービスポータルによるオンデマンド、自動化機能を備え、オープンソースのXen、KVMなどの仮想環境をクラウド化するEnomaly社のCEOが語る真のクラウドが、ここにある。ちなみに、昨年11月に品川で開催された「Cloud Camp in Tokyo」で来日したルーベン・コーヘン氏は、同社の創設者。

6月10日(木)15:30-16:15 
「相互運用性の確保、高い可用性とセキュリティ、電力効率の向上」

 リチャード・ライナー氏(Chairman and CEO, Enomaly, Inc

個人的に注目しているソーシャルメディアの代表格「Twitter」。全世界のユーザー数は1億人を突破し、約30万/日のペースで増加しているとのこと。(2010年4月現在) Dell Outlet Twitterアカウントが、$1M(約1億円)以上の売上を記録した他、企業マーケティング、顧客サポート等、成果を挙げているビジネス事例が増えてきている。オルタナブロガー繋がりで、「シロクマ日報」でお馴染み小林氏がパネラーとして参加します。

6月9日(水)14:30-16:00
「Twitterから始まるビジネス革命と新サービス」

 木部 俊明氏(日商エレクトロニクス 執行役員)
 小林 啓倫氏(日立コンサルティング シニアコンサルタント)
 亀津  敦氏(野村総合研究所 主任研究員)

仮想化環境の進展に伴い、物理アプライアンスに代って注目を浴びる「仮想アプライアンス」。ロードバランサー、WAN最適化のトップ・ベンダーであるシトリックス社、ブルーコート社のお二方をお招きし、米国最新動向も踏まえてパネル・ディスカッションを予定しています。充実したセッションになるべく、初のパネル・チェアとして頑張ります!

6月11日(金)14:30-16:00
「仮想アプライアンスの最新動向とその導入メリット・デメリット」

 榎本 瑞樹 (Nissho Electronics USA Corp, Director)
 犬塚 昌利氏(シトリックス・システムズ・ジャパン)
 小林 岳夫氏(ブルーコートシステムズ合弁会社 SEマネージャ)

最後に、宣伝で恐縮ですが、今回の日本出張にともない、日商エレクトロニクス(Hall 4)のステージでも「米国クラウド・トレンド」に関するプレゼンテーションを予定しています。日頃、ブログやTwitterに、励ましのコメントをいただいている皆さん、タイミング合えば、お立ち寄りください!お会いできれば嬉しいです!

日  時: 6月10日(木)17:00-17:15  6月11日(金)16:30-16:15

タイトル:「はっきり見えた雲の中!米国クラウド最前線」
      〜雲の隙間から天使の梯子が降りてきた〜

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ITとビジネスを結びつけ世界をリードする企業向けIT最大のイベント「Interop Las Vegas」が今年もラスベガスで開催された。関係者によると、今年の出展社は300社、来場者は18,000人を超えたとのことで、昨年と比較して、景気回復の兆しが伺える。

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クラウドの潮流は、もう終わり?

昨年のInterop Las Vegas(昨年のブログ参照)は、何はともあえれ、クラウド、クラウド、クラウドっとクラウド一色だったが、今年は違う。どのカンファレンスに出ても、展示会場においても、クラウドという単語を全面に押し出しているベンダーは少ない。

かといって、クラウドはバズワードだったのだろうか?というと、そうは思わない。つまり、クラウドの潮流が浸透して、ビジネスとして現実味を帯びてきたと言えるのではないだろうか。各ベンダーは、クラウドのビジネス・モデルの中で、自分の立ち位置をはっきりして、何を提供すべきかがわかり、各カテゴリーにおいて具体的な製品、ソリューションが出揃ってきている。顧客視点でみれば、パブリック・クラウドの活用やプライベート・クラウドの構築の有用性を実感してきているということだろう。

前述したガートナーのハイプ・サイクルで例えると、ピーク期を過ぎて沈黙期から啓蒙期へ進んできていると言える。

昨年から新設された「クラウド・コンピューティング・ゾーン」では、Amazon, IBMなどの大手クラウド・サービス事業者に加えて、今年は中小ホスティング事業者もクラウド事業者へと変身し、リーダーの地位獲得に向け鼻息あらい。製品ベンダーのみならず、Rack Space, Teremark, Hosting.comなどのホスティング事業者がブースを構え、殆どのブースにおいて、大手エンタープライズ企業のクラウド事例を聞くことができたことからも裏付けられる。

今年のトピックスは、「Virtual Data Center」(仮想化データセンター、クラウド指向データセンターと呼ばれる次世代データセンター)。サーバー仮想化に加え、ネットワーク仮想化、ストレージ仮想化、更には、それらの運用管理を自動化していこうという流れを提唱するベンダーを数多く見かけた。つまり、AmazonやGoogleなどのパブリック・クラウド・サービスを活用するだけでなく、プライベート・クラウドを自社のデータセンター内で構築していきましょうという流れが活発化してきている。

仮想化環境の進展とともに出揃い始めた仮想アプライアンス

「仮想アプライアンス」という概念は、オープンソースを中心に4,5年前から市場に出回り始めていたが、ようやくエンタープライズ企業の要求に耐えうるレベルの製品が出揃い始めた。VMwareを中心とした企業の仮想化環境が進展とともに、クラウドの潮流も後押し、仮想アプライアンスの普及が広がり、今後数年で大きく伸びると予想できる分野。

仮想アプライアンスの定義は、ベンダーによっても定義に違いが見られるが、IDCによると機能面から定義するのであれば、ソフトウェア・アプライアンスと 仮想アプライアンスは同意語とみなすことができる。しかしながら、技術面から定義するのであれば、仮想アプライアンスはVMwareやXen等のハイパー バイザーなしに業界標準のx86系サーバーに直接インストールすることができないとしている。つまり、仮想アプライアンスとは、OSとソフトウェアをセッ トにしたイメージ・ファイルという形態で提供される製品を意味する。

要するに、VMwareやXen等のハイパーバイザー上で動作し、仮想化されたシステ ム環境があれば、ユーザーはイメージ・ファイルをインストールするだけでアプリケーションを即座に実行でき、コストも5分の1程度というメリットがある。

IDC調査結果によると「仮想アプライアンスの適用に興味のある分野」は、ITインフラが圧倒的に多い。つまり、従来のルーター、ロードバランサー、ファイアウォールなどの物理アプライアンスの主戦場であった分野は、仮想アプライアンスの波が押し寄せてきているとも言える。

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(IDC:The Market for Software Apps)

展示会場を歩くと、ルータ分野では、新興系ベンダーのVyatta社がシスコのローエンド・ルーターに対抗して、仮想ルーター・アプライアンスを披露し、WAN最適化分野では、BlueCoat社がProxy SG Virtual Applianceを出展、ロードバランサー分野では、Citrix社が、NetScaler VPXを出展するなど、各ベンダー製品が出揃ってきた感があり、今後の展開が楽しみだ。

「Best of Interop」アワードは、10GスイッチのArista Networksが受賞

昨年は、VMwareのvSphere4であったが、今年は久しぶりのネットワーク機器の受賞となった。Arista Networksは、サン・マイクロシステムズの共同創設者であるアンディ・ベクトルシャイム氏が創設した10Gスイッチベンダー。

初めて同社を訪問したのは、2008年のことであったが、当時は高密度、低価格の10Gスイッチという印象で、あまり魅力的ではなかった。しかしながら、元シスコで、Nexusスイッチとともに、Data Center 3.0を推進していたジェシュリー・ウラル氏がCEOに就任してから、「クラウド・ネットワーキング」を提唱し、いっきにクラウド環境を支えるネットワーク・スイッチ・ベンダーへと軸足をシフトしている。

同社のvEOS(virtualizaed Extensible Operating System)と呼ばれる仮想OSは、VMware vSphere 4と連携してvSphereのコントロール・パネルと連動して動作することを実現している。つまり、同社のネットワークスイッチは、企業のデータセンターにある物理サーバーと、クラウドを提供する仮想サーバーとの間のつなぎ役となる。これにより、IT管理者は、物理スイッチ機器と仮想アプライアンス型のスイッチが混在したいわゆるクラウド型データセンター環境を一元管理することができるのだ。

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アワードを受賞したシャーシ型の「Arista7500」とアンディ・ベクトルシャイム氏

その他のアワード受賞者はこちらから。

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ENO

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4月19日−21日の3日間、今回で5回目を迎える「Cloud Computing Expo East 2010」が今年もニューヨークで開催された。昨年はルーズベルト・ホテルの1角での開催であったが、今年はマンハッタン最大のコンベンションホール「Javit's Convention Center」に格上げされての開催となった。

昨年は、AmazonのWener Volgels氏(CTO)が基調講演に登壇し、Web2.0系のスタートアップ企業の事例を発表するなど、どちらかというと、パブリック・クラウド(IaaS)を活用しましょうという印象が色濃かった。しかしながら、今回のカンファレンスのオープニング基調講演に登壇したオラクルのRichard Sarwal氏(SVP of Development for Oracle Enterprise Manager)が「エンタープライズ企業のIT部門は、ビジネス要求の変化と新しいテクノロジーの追求を怠ってはいけない。クラウド・コンピューティングは、それらを加速させることを約束する。」と聴衆に訴えるなど、エンタープライズ企業のプライベート・クラウド構築の事例やソリューションを発表するセッションが数多くあり、米国におけるクラウド動向は、この1年の月日を経て「パブリック・クラウドを活用しましょう」から「既存の仮想環境を広げて、自動化を加え、プライベート・クラウドを構築しましょう」へと変化しつつあり、適用範囲も中小企業から大手エンタープライズ企業のIT部門へと急速な広がりを見せていることを裏付ける形となった。

再びスポットライトを浴びる仮想化テクノロジー

仮想化のメリットを、データセンター内のIT資産を統合することで、サーバー稼動効率をあげ、イニシャル・コストを削減することだとすれば、クラウドは、仮想化に加えて、ユーザーにセルフサービス・ポータルを提供することで、ITリソースのプロビジョニングなどの運用を自動化することで、数分のうちにITリソースを割り当てる。その結果、ビジネス・スピードを向上させ、オペレーション・コストも下げることができる。つまり、仮想化の延長にクラウドがあると言って良いだろう。逆に言えば、仮想化だけではクラウドとは呼べないとも言える。

最新のGartner調査を見ていただきたい。「CIOの注目するテクノロジーのトップは仮想化、2位がクラウド・コンピューティング」という結果になっている。確かに、エンタープライズ企業の多くは、一部のシステムや評価環境などで、仮想化技術を実装しているが、全体のITシステムにおける仮想環境の割合は2割程度との話もあり、仮想化を他システムに広げる余地は多い。まず、仮想環境を拡大した上で、その進化の先にプライベート・クラウドがあるということだろう。


異なるクラウドを跨る管理?「クラウド・フェデレーション」

それでは、プライベート・クラウド構築が進展してゆくと、どのような課題があるのだろうか。色々な課題が考えられるが、一つには、プライベート・クラウドとパブリック・クラウド、プライベート・クラウド内の異なるデータセンター間などを跨った運用管理をどうすか?という問題に直面するだろう。いわゆる、ハイブリッド・クラウド運用における課題である。

ここでは、あるセッションで話題となった「クラウド・フェデレーション(Cloud Federation)」について紹介しよう。

クラウド・フェデレーションとは、異なるクラウド間をシームレスに橋渡しする技術やコンセプトを総称しており、複数のクラウド環境下で、特定のワークロードをオンデマンドで移行させるというコンセプト。シスコ・システムズは「Inter-Cloud」というコンセプトを提唱している。


クラウド・フェデレーションの3つの適用領域

適用領域としては、以下3つが考えられる。

  • 異なるアプリケーションの複数クラウドでの利用

例えば、当初はAmazon AWSを利用していたが、ビジネスニーズの変化により、SLAやセキュリティの高いRackSpaceクラウドへスケールさせたいとか、社内のプライベート・クラウドに戻したい。

  • 異なるアプリケーションの一つの要素(コンポーネント)の異なるクラウド環境での利用

例えば、セキュリティの懸念から、ストアしている顧客データへのアクセスだけは、プライベート・クラウド環境で運用する。

  • アプリケーション・ライフサイクルのステージに合わせて、複数クラウドの利用

例えば、開発ステージでは、低SLAだが、コスト重視のTerremarks社「vCloud Express」を利用して、本番環境では、高SLAのTerremarks社「Enterprise Cloud」に移行する。

現在、エンタープライズ企業のデータセンターには、数多くの異なるアプリケーション・システムがサイロ上に稼働している。各々のアプリケーション・システムは、オンプレミスで構築するのと同様、その特徴によって利用すべきクラウド環境が異なる。

一方で、クラウド・サービス事業者から提供されているパブリック・クラウドには、サービスレベル、セキュリティ、コストなど様々な要素の選択肢を与えている。ユーザー企業の観点からいえば、これらの様々なクラウドのメリットを自由に選択し、活用してゆくことが自然の流れだろう。

しかしながら、異なるパブリック・クラウド環境間や自社のプライベート・クラウド間を仮想マシンを移動させることは、技術的に簡単なことではない。現在、提供されている各事業者のクラウド・サービスは、利用している技術要素(仮想化、OS、ストレージ、APIなど)が異なるからだ。こんなコンセプトは、本当に実現できるのだろうか。これが実現できれば、エンタープライズ企業は、事業者によるベンダーロックインを避けることができると同時に、オープンなクラウド環境を手に入れることができる。願ってもない夢のようなことだ。


クラウド・フェデレーションを実現するスタートアップ企業が登場

実は、これらの技術を実現するスタートアップ企業が存在する。ここでは、ベンダー名を披露することは避けるが、数社出始めてきているのは確かだ。あるベンダーではベーター顧客での実証実験を終え、まさに製品をリリースしようとしている。やはり、このような類の最新テクノロジーは、大手ベンダーからではなく、スタートアップ企業から生み出される。展示会場には、クラウド・フェデレーションを意識した認証関連、運用管理関連のスタートアップ企業が数多く出展していた。

今年の米国クラウド業界は、クラウド・フェデレーションが一つのトピックスとなり、近いうちに事例も公開されてくることは、間違いなさそうだ。

Oracle

最後に、全くの余談だが、カンファレンス開催中には、会場とホテル移動の足として、オラクルVIP顧客向けにこんな車が用意されていました。こういうことは、大手ベンダーにしかできないですね。

ENO

今月はクラウド関連カンファレンスのオンパレード。昨晩からニューヨーク入りして「Cloud Computing Expo in NY」に参加しています。 来週からはInterop Las Vegasと併催される「Enterprise Cloud Summit」に参加予定ですので、タイムリーな情報をご提供していこうと思います。

それでは、第1弾として先週シリコンバレーで開催された「Under the Radar Conference」の様子をお伝えしよう。

同カンファレンスは、スタートアップ企業が資金調達を目的にビジネスプランをアピールし、投資家や大手ユーザー顧客、視聴者が投票してジャッジするという思考を凝らしたものとなっている。1社あたり6分のライトニングトークで、自社のテクノロジー、ビジネス・モデル、プランを的確に伝え、ジャッジの心を動かすプレゼンテーション・スキルも要求される。

出場したスタートアップ企業の54%が、増資を受けたり、買収されたりと、きっちりイグジットしていて、スタートアップ企業の登竜門といっても過言ではない。過去の出場者には、LinkedIn, Flickr, AdMob, 3Teraなどが名を連ねている。

今回は、仮想化、データー2.0、通信、コンプライアンス、分析、アプリケーション開発&管理、インフラストラクチャー のカテゴリーに分かれて、33社のスタートアップ企業が登壇した。 昨年のカンファレンスでは、話題となったMcKinseyレポート「クラウドコンピューティングの真実(Clearing the Air on Cloud Computing)」が出された直後ということもあり、「大企業のパブリック・クラウド適用は向いていないのか?」「クラウドは業界の一方的な過剰な売り込みなのか?」などと、クラウド適用そのものの是否を問う議論が数多くなされていた。

誰もが信じているクラウドの潮流、時代の流れは止められない

しかしながら、今年はそのような議論は全くない。クラウドという言葉自体もあまり強調されていないながらも、スタートアップ企業の製品はクラウド要素である仮想化や分散システムが利用され、ビジネス・モデルもクラウドをベースのものが圧倒的に多い。つまり、クラウド適用は有用であるということが、既に浸透している感が強く、ガートナーのハイプサイクルで例えれば、過度な期待の「ピーク期」から「幻滅期」を一気に超えて「啓蒙活動期」に入ったとも言えなくもない。

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ブックマーク・サービスのDigg社、No SQLを採用

今回、テクノロジー的に話題となったのは「Non SQL DB」だ。「Non SQL DB」とは、SQL言語を利用しない非リレーショナルデータベースを総称したもので、代表的なものとして「キー・バリュー・ストア(KVS)」がある。これは、数値や文字列のデーターを、1つのキーに紐付けて管理するもので、Google App EngineやAmazon Simple DB、Windows Azureなどのクラウド・サービスの基盤技術として利用されてる。

何故、数多くのサービス事業者に利用されているのだろうか。基調講演に登壇したJohn Quinn氏(Digg社、VP Engineering)は、「スケーラビリティを考えたときに、従来のDBは意味をなさない。Oracle DBの崩壊か?」とまで聴衆に言い放った。

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基調講演に登壇したDigg社のJohn Quinn氏

注目されている背景には、何と言っても「スケーラビリティの高さ」がある。クラウドの主要技術として分散コンピューティングは外せない。数百、数千、数万のサーバーを束ねて一つの大きなシステムとして見せることで、スケーラビリティを確保するからだ。キーバリューストア(KVS)は、キーの値によってデータを複数ノードに振り分けることをコンセプトとしていて、分散コンピューティング・システム管理に適していることから、クラウド時代のデーター・ストア手法とも言っても過言ではない

しかしながら、ダークサイド(闇の部分)も存在する。No SQL DBは、基本的にはキーを指定して対応することしかできないので、データ統合機能やトランザクションの一貫性を保つことができない。従来のリレーショナル・データベース(RDB)に比べて機能制限があるだけに、二者択一にはならなそうだ。

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Yahoo! Cloud VP Shelton Shugar氏

それでは、どのような用途に向いているのだろうか?ランチタイムで幸いにもYahoo!のクラウド部門バイス・プレジデントであるShelton Shugar氏から話を伺うことができた。同社は、パブリック・サービスを他社に展開していないことから、クラウド・プレイヤーという観点からは、注目されているとは言い難いが、実は社内利用として世界中の開発者に対して巨大なプライベート・クラウドを構築している。オープンソースの分散システム「Hadoop」の世界最大規模で構築、運用経験があり「Yahoo! Distribution of Hadoop」として世界中の開発者にも公開しているという。

人の良さそうな方だったので、単刀直入に色々聞いてみた。「No SQL DBは、従来のDBを置き換えるものか?」という問に対して「No!同じデータベースでも目的別に選択するべきだ。」とのことで、RDBは、需要予測のできる(=ピークの需要が事前に把握できる)ものに向いていて、No SQLは需要予測のできないものに向いているのではないかとのこと。例えば、iPhone向けアプリケーション、ECサイト、オンラインゲーム、SNSなど人気が出た途端に大量のアクセスを裁くことが要求され、即座にスケール・アウトさせるにはNo SQLが適しているということか。もっと研究が必要な分野だと感じた。

複雑化するデータセンターを効率的に管理する自動化ツール
栄光の「Best in Show Judge's Choice」に選ばれたのは、Puppet Labsというオレゴンのスタートアップ企業。同社は、次世代データセンターの自動化ツールをオープンソースとして提供している。創設者のLuke Kanies氏曰く「最近のデータセンターにおけるIT環境は、マルチプラットフォームであり標準化されていない。同製品は、そのような状況のデータセンター・ITインフラをフレキシブルに俊敏性高く、かつ、効率的に管理するために創り出したもの。」とのこと。

「Under the Radar Conference」への参加は、今回で2回目であるが、30人もの起業家、しかも同じ年くらいの人達が、自分たちの技術・ビジネスモデルを信じて、熱い想いを語り、ジャッジやオーディエンスを魅了する様には、一日中鳥肌が立つ思いだった。技術・人・金が三つ巴で動くダイナミズムは、やっぱりシリコンバレーだな〜と実感した。この中から世の中を圧倒する大企業に成長する企業が、いくつ出てくるだろうと思うと、今後が楽しみですね。

ENO


プロフィール

榎本 瑞樹

榎本 瑞樹

シリコンバレーで働くビジネス・ディベロッパー。
「世界を股に掛けるグローバル・ビジネスマンを目指して日々奮闘中!

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