シリコンバレー駐在のIT商社マン、榎本瑞樹(ENO)が綴る米国最新ICTトレンド

【速報】「2011年IT業界におけるTOP10予測」

»

この時期恒例となっている「2011年IT業界におけるTOP10予測」が発表された。IDCのチーフアナリスト(兼シニア・バイスプレジデント)であるフランク・ジェンス氏の発表をリアルタイムで聴講したのでポイントを報告したい。

2010年のタイトルは「Recovery and Transformation」(回復と変革)とのことで、市場規模は不況以前に回復する一方、(1)新興国市場の拡大(2)クラウドコンピューティングの進展(3)モバイルデバイスとアプリケーションの普及(4)ネットワーク高速化などにより、大規模な業界再編を示唆していた。

2011年のタイトルは「Welcome to New Mainstream」(ようこそ新潮流)で、(1)クラウドサービ(2)モバイルデバイスとアプリケーション(3)ソーシャルネットワーキングが市場に浸透し、成熟期を迎える。各々の分野での破壊的テクノロジーが融合された”プラットフォーム”が、メインストリームとして市場を牽引するとしている。

Newmainstream

<画像クリックで拡大>

2011年、IT業界におけるTOP10予測の概要は以下の通り。

Worldwide IT Spending growth will be solid 5.7% as hardware growth moderates and software and services spending rebounds.  (世界IT市場は前年比5.7増で堅調な伸びを示す。ハードウェア分野は緩やかな成長で、ソフトウェアとサービス分野は反発し急成長するだろう。)

Emerging Markets, led by China, will continue to drive global IT spending growth with 2.6 times the growth rate of developed markets, contributing over 50% of all new growth. (中国によって牽引される新興市場諸国は、先進諸国の2.6倍の成長率、全新規IT投資の50%以上を占めるだろう。)

Public and private cloud adoption will surge as two cloud "power position" battles enter high gear and "cloud computing" (as a buzzword) gets ready to fade. (パブリック、プライベートクラウドの適用が活性化し、2つの勢力地位争い(1)PaaSプラットフォーム(2)ハイブリッドクラウド管理)が勃発する。そして、バズワードとしての”クラウドコンピューティング”という言葉はなくなるだろう。)

Cloud-driven datacenter transformations will pick up speed, with continuing integration of datacenter systems and "stacks," the arrival of "cloud ready"
enterprise software, and a rising focus on service providers (SPs) as strategic customers. (クラウド指向データセンターの変革により、システム統合、スタック化が続き、クラウド対応エンタープライズ・ソフトウェアが到来。サービス事業者は戦略顧客として注目を浴びるだろう。)

The mobility explosion will continue — with huge device volumes, new form factors, and millions (yes, millions) of mobile apps. (モバイルコンピューティングは引き続き拡大を続け、スマートフォンやタブレットなど非PC端末の出荷が急増し、モバイルアプリのダウンロード数は前年比2.5倍に伸びるだろう。)

Broadband networks will struggle — and innovate — to keep up as 4G wireless networks crawl to market, Ethernet exchanges mitigate wired bandwidth squeezes, and content delivery networks (CDNs) gain clout. (ブロードバンドネットワークの普及は四苦八苦するだろう。技術革新として4Gワイヤレス・ネットワークがゆっくりと市場に浸透し、有線ネットワーク帯域の枯渇は、イーサネット交換事業者によって軽減される。そしてCDNの勢力は増すだろう。)

2011 will be a year of consolidation and convergence for social business
software vendors as well as a year of strong social networking adoption growth in small and medium-sized businesses (SMBs). (2011年は、ソーシャルビジネス・ソフトウェアベンダーの合併が活発化し、中小企業市場においてプロモーション目的でのソーシャル・ネットワーキングの採用が進むだろう。)

The expanding digital universe — reaching 1.8 trillion gigabytes — will drive demand for cloud-friendly information infrastructure and real-time analytics for "big data."  (デジタル・ユニバース(情報の宇宙)は、1.8兆ギガバイトに拡大。クラウド対応した情報インフラや、リアルタイム分析のために大容量データの需要が増大するだろう。)

"Intelligent industries" will put mobility and social networking to work to capture
the surge in holiday mobile shopping, lay the groundwork to support the explosion in mobile payments, and enable next-generation healthcare. (リテールやファイナンシャルサービス、エネルギー、ヘルスケアなど知的業界は、プロモーションや決済に、モバイルアプリを積極的に活用してゆくだろう。)

The IT and media industries will aggressively position for consumers demanding "I want my Web TV!" with Web-connected TVs, a battle among media/entertainment clouds to be your next (virtual) cable company, and
explosive growth in mobile advertising. (IT業界、メディア業界ともに積極的にWeb TVに取り組んでいく。メディア/エンターテイメント・クラウドが次のバーチャル・ケーブル会社になり、モバイル広告が爆発的に成長するだろう。)

各々のテーマにおいて顧客動向、主要ベンダー、スタートアップベンダー動向など裏付けされた分析がされており、納得感ある予想であった。特に、3番目のクラウドに関する予測において、バズワードとしてのクラウドコンピューティングという言葉は2012年までになくなる。としているが、全く同感。「クラウド熱が冷め、現実味を帯びてきた米国クラウド業界」で記載したように、既にその傾向をシリコンバレー界隈では、肌感覚で感じていることは確かだ。

2011年は、過去数年で創出してきた各分野(クラウド分野、モバイルコンピューティング、ソーシャルネットワーキング、大容量データなど)の破壊的テクノロジーが、普及期に入りお互いが融合されていく年。つまり、「クラウド」X「モバイル」、「モバイル」X「ソーシャルネットワーキング」、「ソーシャルネットワーキング」X「大容量データ」など融合技術が市場を制覇することになる。

この市場再編を先取りして、市場での企業価値を今一度見直し、どの顧客をターゲットとし、どのようなパートナー戦略を取り、どのようなビジネスモデルを展開してゆくのか考えてゆきたい。

録画された記者発表は、こちらより聴講できるのでご興味あられる方はどうぞ。次回は各々のテーマについて深彫りした内容をレポート予定です。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する