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プロモーション施策から営業マンまで、B2Bマーケティングの進化を考える

「Salesforceを導入したけど使えていないんだよね」と言われますが

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「Salesforceを導入したのはいいけど、あんまり活用出来ていないんだよね」
と言われることがあります。

我々は、SalesforceからFAXを送信出来るアプリケーションを販売しているので、
こうした問題意識や課題を持つお客様に直接コンサルティングをすることは少ないのですが、
それでも、
「SalesforceからFAXが送れるんですよ。
今後は、リストも買えるようになるし郵送も出来るように計画してます。」という提案のその以前に、
「それはそれで便利そうだけど、それよりSalesforceをイメージしていたように使えていない。」
そうおっしゃるお客様が結構います。

一方で、想像を超える(もしかしたらセールスフォースドットコム社の方にとっても)
「こんな活用方法があったのか!」
「このタブ・機能をこんな風に使うと確かに便利だなあ」

と、驚き感銘するような活用をしている企業も結構います。

もちろん、ツールを使うことが目的では全くありません。

でも、ツールを活用して何らかの業務を効率化したり情報力を高めたりしないのだとしたら、
それを導入している意味もありません。

(Salesforceに限らず、全てのITツールに共通のテーマだと思います)

また、セールスフォース社の導入事例に出ていた企業の社長にインタビューした時のことですが
「1IDいくら、というSaaSサービスなんて、使い倒さないと絶対に損だよね」
と言われ、
“ツールを使うことが目的ではないけれど、有料サービスである以上使い倒す意識は大事だな”
と思いました。


では、具体的に活用するにはどんなアクションが必要か。
一つは、利用者に便利なアプリケーションやDB連携などシステム的にユーザビリティを高める方法。
もう一つは、コミュニケーションやマネジメントなどの運用面で、
利用者のモチベーションを高めたり利用(入力等)する意味付けを強める方法。

両方大事だと思っていますが、比較的アクションがスタートしやすい運用面での
弊社で実践しているポイントを今日は共有したいと思います。


まず、そもそも活用が促進されない要因としてどんなことがあるか。

①利用範囲やプロセスが非常に限定的である
 (マーケセクションだけのただのキャンペーン集計ツールであったり、営業組織だけの日報的使い方。
 これも悪くは無いが、わざわざ1ID数千円数万円支払ってまでやらなくても・・と思ってしまう)

②必要で重要なデータや情報が集約されていない
 (結局、マーケティングの効果測定や営業チームのパフォーマンスをモニタリングする際に、
 Salesforceだけではなく、他のファイルやシステムと付け合せしないと、
 見たい指標や可視化が出来ない)

③上司が見ない
 (結局、何かの数値や効果をキャッチアップしたいと上司が思った時に、
 「あれ、あの数字出してよ」「集計してファイルでちょうだい」などと部下に指示してしまう。
 イコール、部下は「課長は結局Salesforce見てないな。入力しなくても平気だな」と悟る)

他にもあると思いますが、概ねこんな感じだと思います。


弊社も以前はこのような状況もありましたし、今も組織やマネジャーによっては近い状況もあります。
ただ、1年半前くらいに
「どうせなら徹底的に活用して業務を改善し売上に繋げる武器にしよう」
と現場メンバーも交えてプロジェクトを組みましたが、
システムだけではなく運用面でクリアになったことも非常に多かったのでご紹介します。

例えばこんな意識やオペレーションや取り組みをしています。

●リード情報の営業へのロケート行為は、Salesforce上で必ず行うr
 (Webから入ってもFAXの返信であってもIN電話であっても、
 マーケセクションやその役割に近い者が、リード情報を作成し営業マンにロケートする。
 それで、マーケの目標であるリード数も計上でき、営業もリード情報を取るためにアクセスする)

●営業チームなどの達成ヨミや現状すり合わせのミーティング(ネクスウェイでは「ヨミ会」)
 においては、個別のシートでもなくチームのオリジナルのシートでもなく、
 必ずSalesforceのレポート(もしくはそれを基にカスタマイズしたもの)を基に、
 数値や状況を確認し合う

 (Salesforceに情報を入れていないと、報告が出来ない。聞いている方も把握出来ない。
 もし、その行為が面倒で、みんなで違う情報ソースを使ったりレポートを作って共有する方が
 効率的で慣れているのだとしたら、Salesforceはいらないと思うので解約しましょう)

●定量指標の査定は全てSalesforceの数値で行う
 (弊社では(特に若いメンバーは)、訪問数や商談数などのプロセス指標も評価していますが、
  例え「僕、47件訪問しました」と報告をしてきても、また例えば申込書受領数がSalesforceの
  数値より多くてもSalesforce上の数値で査定する。
  まあ実際は、差異を確認して入力させてますが・・・)

●メンバーがセミナーなどのキャンペーン後にアポが取れ始めたり商談が進んだりしたら、
 そのことを激励する。また、フェーズなどが停滞していたら、その問題の相談に乗る

 (重要なのは、上司が自らSalesforce上でボトルネックをダッシュボードの活用などで見出し、
 それについてメンバーに自ら働きかけることです。
 それによって、メンバーはSalesforceへの報告と活用を信じ、良いサイクルになります。)

●Salesforceで可視化された数値やデータを、フロアに掲示するなどして、
 よりSalesforceの入力のモチベーションや組織的な活用を感じてもらう

 (実は弊社では、ダッシュボードやレポートなどのWeb上だけの可視化では
 弊社は盛り上がらない、という風土でした。
 そこで、数値やリソースはSalesforceから取っていますが、誰もの目に付く場所に可視化しました。)

まだまだたくさんアイデアはあると思いますし、もう既に実践している方もいると思いますし、
どう考えても風土や制度が合わない企業様もいると思いますが、参考の一つにしてください。

ちなみに、下記の写真は一番最後の「Salesforceの数値をフロアで可視化した」1例です。

 
Photo

実はこうしたベタな共有や可視化がわかりやすく効く時があります。
デジタルで情報収集力が高いITツールとリアルな感触を融合させるアイデアを
これからも磨いてまたご紹介をしたいと思います。

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