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どうしたらネットで力づけられたり、助けられたりするのでしょう?コミュニケーションを観察します。

ネットで実名を使うこと

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毎日新聞社主催で、勝間和代氏がTwitterユーザと語り合うクロストークイベントが日曜に開催されたとのこと。私は参加はできませんでしたが、Twitterのタイムラインを拝見していました。最後のほうで、ネットの実名と匿名についての議論があり、その議論については、「Geekなぺーじ」のあきみちさんが「ネットで実名を出せない理由」にて「社名」と「個人の実名」という観点から、実名&顔出しができるのは自己裁量がある人に限られているとと述べています。「実名顔出しネット活動は勝ち取るもの」という言葉が印象的です。

これは、リクナビNEXT等、転職用のサイトが、「匿名で」履歴書を出せることをウリにしていることと無関係ではないでしょう。詳細な経歴を書くことが求 められますが、氏名は非公開。この仕組みを心地よいと思うか、それとも「それなら実名で検索してくれ!」と思うかどうかは、ネットで実名を使い続けたいか どうかと関係があるように思います。

 

昨年、LinkedInについての解説記事をNIKKEI NETに書いた際、プライベートとビジネスの文脈を切り離す、すなわち同一人物だと判断がつかない状態(Unlinkableな状態)に置くことが求められているのではないかと考察しました。実名というものが、所属する企業や組織との関係を明示するものだとすれば、そうではない名前を名乗る方がリスクが低い、と考えることはそう不自然だとは思いません。必ずしも安定した立場でない場合は、特にそうでしょう。

自分の実名が検索されることに抵抗感を覚える人は少なくないですし、SPYSEEなどでweb上に偏在する自分の情報が集められることにも恐れを感じる人がいるようです(少なくとも、私が持ったクラスの社会人学生さんには評判は悪かった)。

そもそも、なぜ実名を公開することが、リスクだと感じられるようになったのでしょうか。私は大きく2つの理由があると思っています。

1つには、個人が情報を発信する機会が増えたこと。実名を使い続けるということは、クチコミや写真、動画、ブログ、購入したもののコメントなど、さまざまな文脈や場面で発信した情報が、同一人物のものとして関連づけられ、さらにビジネスをする際の名前(=実名)に関連づけられることを意味します。名刺交換をした人に、「そういえば先週、ドラム式の洗濯機に変えたんですね」とは言われたくない。でも、kakaku.comのクチコミには投稿したい、という際に、オンラインではハンドル、それ以外では実名という使い分けは発生しうるでしょう。もう1つには、情報の検索と集約が容易になったこと。検索エンジン、人脈(ソーシャルグラフ)を含むSNS。他人のブログに「○○さんと食事に行った」と書かれたことも、集約すれば自分の行動を形作ります。

と言いながらも、私はこのブログや、はてなで書いているブログは実名で書いています。mixiなどのSNSも実名ですが、クチコミサイトやYahoo!知恵袋などは、実名を推定できないハンドルで。この二者は文脈を分けたいから、ですけれど(人格、ではないですよ)。

論点は、「実名か否か」の二元論ではなくて、どこまで実名を使い、どこからはハンドルなどを使うか、という範囲と使い分けの問題ではないでしょうか。

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