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どうしたらネットで力づけられたり、助けられたりするのでしょう?コミュニケーションを観察します。

フォートラベル講演

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大学のネットワーク社会論(秋山美紀担当)という講義にて、フォートラベルの野田臣吾社長をお呼びして講演をいただきました。私自身も、今回の講義で使う教材ケースのライターとして私も参加させていただきました。

事前回答の説明に続いて、野田さんによるご講演。今回はビジネスの話はあえてしません、ということだったので、興味深かった点をご報告します。

最初はフォートラベル設立当初はファーストフードの無線LANにサーバ代5万円でサービス開始というエピソード。ブログすらなかった時期に、今では一般的となった旅行記・クチコミ・Q&Aというブログサービスの先駆けを提供したのがフォートラベルでした。投稿件数を見ると、旅行写真と旅行記の数に驚きます。クチコミよりも旅行記の方が多いというところに、ユーザが「書きたい!」と思って書いているということが読み取れます。

講演の中で強調されていたのは、「ユーザの投稿意欲」をかきたてる仕掛けでした。これだけのクチコミが、蓄積されるのはなぜなのでしょうか?フォートラベルのクチコミや旅行記は投稿してもポイントが得られるわけでもなく、なんらかのお金のインセンティブはないのです。そのことについて、野田社長は「コンテンツとインセンティブを結びつけること」が大事だといい、「ポイントをあげるから書いてください」というプロモーションをしてもサイトへの定着率が悪いと言います。その代わり、書いたコンテンツに対して読まれる喜びや反応をフィードバックする仕組みはあらゆるところで工夫されています。(実際、使っていると更新をすれば足あとがぐっと増え、気合を入れて書いたコンテンツへの投票があるなど、書いて読んでもらうことが楽しいのです。)

こうして旅行から帰ってきた人が「誰かに話したい」と思い書いた「コンテンツ」を、他人に読んでもらって楽しんでもらえる「メディア」にするのがフォートラベルの役割だということでした。この「楽しめる」という意味は大きくて、コンテンツを見せる工夫だけでなく、オープンな場であるにも関わらず「荒れない」場になっていることがありました。

印象的だったのは、「社員も一ユーザとしてトラベラー名を持っていて投稿しています」という言葉でした。スタッフがユーザの視点を持ち、楽しめるサイトであることが、フォートラベルがわくわくするサイトである大きな理由だと思いました。

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