【4原則】 ジャパネットたかた・高田社長とApple・Steve Jobsの共通点
シロクマ日報さんでも取り上げられていた、ジャパネットたかた・高田社長のお話。彼のプレゼン力は、コミュニケーション学の研究者間でも注目度が高いですね。通販番組というのは、商品を売る番組。つまり商品の特徴や機能、メリットなどをプレゼンする番組なのに、高田社長が出てくると、主役が商品じゃなくて社長自身になっちゃう。素朴で、人間味があって、人なつっこくて、言葉に気持ちがこもっていて。もし同じことを高田社長じゃない人がやっても、同じ効果は得られないんじゃないかと思います。つまり、高田社長がプレゼンすることに大きな意味がある。私はココに一番すごさを感じています(小林さん、いかがでしょうか)。
私の大先輩で、現在広告代理店I&Qアドバタイジングの取締役である三浦基嘉さんが、私の著作発刊に寄せてこんな言葉を贈ってくれました。
- プレゼンに限らず、広告でも記事でも、いわゆるコミュニケーションを設計する時、「誰に」「何を」「どう言うか」を3原則にしてプランを考えるが、最近はこの3原則に「誰が」を加えて【4原則】で考えるべきだ
- 伝え手の気持ちやキャラクターは、聞き手に「共感」「反感」などの感情を発生させ、これはコミュニケーションの成果に大きく影響を与える
言われてみれば、確かにそうかもねって話。特に広告では、企業なり商品なりのメッセージを「誰が」伝えるか=広告にどんなタレントを起用するか、は真っ先に考えるファクター。伝え手によって、受け手の印象は大きく変わります。ところがプレゼンの場合は、この「誰が」という点が、あまり重視されていない気がしています。
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発売が待たれるAppleのiPhone。その発表がなされたSteve Jobsのプレゼンを見た時、私は上記の4番目の重要性を確信しました。YouTubeでも字幕付きで見ることができるので、ご覧になった方も多数いらっしゃるかと思います。
YouTube: iPhone を発表するスティーブ・ジョブス(日本語字幕)
ステージ上でプレゼンするSteve Jobsの後には巨大スクリーンがあって、iPhoneの映像が効果的に映し出されますが、聴衆は画面に目をやりつつも、伝え手であるJobsを見つめ、話に聞き入っています。このプレゼンでは、画面には文字はほとんどなく映像が中心。つまり画面は、口頭で伝えられない部分=テキストで表現できない要素、を補完するために使われています。
ご覧になれば一目瞭然なのですが、このプレゼン、主役はiPhoneではなくSteve Jobsです。内容も、iPhoneの機能説明ではなく、彼と、彼が率いるApple社員が、どんな思いをこめて、何のためにiPhoneを作ったのか。これを伝えるプレゼンなのです。ちなみに使用されているソフトはPowerPointではなく、KeyNoteですが。このプレゼン、本当に秀逸だと思います。私は何度も繰り返し見ちゃいました。単純に、彼は絵になる人だってのもありますが、とにかくかっこいいです。
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プレゼンで、スクリーンを見てもらうために、部屋の照明を落とし、話者が照明の影で話す光景をよく目にします。これ、実はとってももったいない。自分は高田社長じゃないから、Steve Jobsじゃないから、そう思う方も多いでしょう。でも、誰でもメッセージに気持ちを込めることはできます。私も…できれば照明をあててもらって(ちょっとだけね)、PCじゃなくて聴衆の方を向いて、気持ちを込めて話すようにしてみようかな。次回からね。。。