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企業の広告担当15年の現場から儲かる広告とITについて本音を漏らしながら紐解いていきます。

ITを売るための正しいセミナー設計

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■「コンテンツが無いからこそセミナーを企画する」のが正しい

セミナーや展示会など、外部に発表し批評を受ける場がないとコンテンツは作られません。
「準備が出来てから企画する」は理想ですが、殆ど実現しません。「施策に合わせて準備する」が普通です。要はまずスケジュールを引く、というのが正解です。

まずは月1回程度の小規模(10名~20名)定例セミナーを企画しましょう。

こうした定例の小規模セミナーの利点は以下の3つが挙げられます。

(1)小規模なため、ターゲットの集客が楽
大規模なカンファレンスも良いのですが、集客に無理があると様々な「綻び」がでます。たとえば集客を強制される営業との信頼関係、数合わせのために呼ばれる対象外の来場者とそのための膨大なコスト。上層部は喜ぶのですが、後になってイベントの意義や効果そのものが問われる事が多く、お勧めできません。


(2)定期セミナーのため、顧客が出席しやすい
「今月がダメでも来月がある」は大事なポイントです。定期的に行うため、対象となる顧客の参加が容易になります。ピンポイントの半日~1日というのは中々上手くスケジュール出来ないものです。

(3)コンテンツと講師がブラッシュアップされる
極論すれば、毎週同じテーマで実施しても構いません。同じセミナーに何度も参加するお客様は稀です。スピーカーにとっては「どんなネタなら受けが良いか」という経験を積む良い機会になります。特に若手の育成にセミナー講師というOJTは最適です。(某社では新入社員にデベロッパー向けセッションの講師として、200名近くのプロの前で講演させていたそうです。彼は今大手ソフトウェアのProduct Managerとして数多くの講演をこなしています。)

こうしたセミナーを繰り返し、自社のメッセージを研ぎ澄ましていくことで良いオファリングも出来上がってきます。





■ 間違いだらけのセミナー設計

これまで相当数の小規模セミナーをこなしてきましたが、他部門からの要望などで、間違ったアクションを取っている企業も多いようです。私がセミナーを企画する際、気をつけている点を4つほどご紹介します。

<資料は配らない>

来場者からは手元の資料が欲しいと大抵は言われます。が、渡してはいけません。
手元に資料があると講演者のプレゼンに集中できません。「資料を渡してプレゼン聞かず」は避けたいところです。また、ここで渡すより、後日営業が訪問する際に渡すなり、終了後に自社サイトに誘導してPDFをダウンロードさせるなり、様々なオファリングとして活用可能です。
「資料が無いとわからない」のは講師かコンテンツに問題があるはずです。。。


<自己満足なアンケートは百害あって一利なし>

逆の発想なのですが、小規模セミナーなら、アンケートなど集計している間に電話でアポイントを取りに行けばよいでしょう。アポが取れなくとも次回のセミナーを案内したり、今回のセミナー資料をPDFで送りましょう。とにかくアンケートに頼らず、実際にヒアリングしないと始まりません。また、アンケートでさらに個人情報のパーミッションを得ようとするのは愚の骨頂です。登録の時点でパーミッションを取っておけば新たに取得する必要がありません。さらに「営業の訪問を希望する Yes/No」などを聞いてしまうと、「No」を選んだお客様には訪問すらできなくなってしまうため、絶対に避けるべきです。


<来場者だけではなく、来場しなかった人もフォローする>

セミナーは来場者だけに注目が行きがちですが、登録して参加できなかった人もフォローすべきです。登録者リストから有望な企業を選び、攻勢をかけましょう。興味があって登録したわけですから、次回セミナーのご案内や訪問しての説明など、いくらでも話ができます。
アンケートを集計してしまうと、こうした非来場者へのアクションは後回しにされがちです。


<Thank youメールは送らない>

「ご来場ありがとうございました」はセミナー終了後に直接言えば十分です。メールを送ればその分だけOpt-outされ、せっかく集めた個人情報が使えなくなります。むしろ来場しなかった人にメールや電話でフォローすべきです。来場者には「次の手(訪問デモなど)」を用意して電話しましょう。



以上、「営業から言われて」「慣習的に」やっている事もあると思いますが、やらない方がいいことも多いので注意しましょう。

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