ITと広告に関するエトセトラ:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS)

ITと広告に関するエトセトラ

企業の広告担当15年の現場から儲かる広告とITについて本音を漏らしながら紐解いていきます。

■「コンテンツが無いからこそセミナーを企画する」のが正しい

セミナーや展示会など、外部に発表し批評を受ける場がないとコンテンツは作られません。
「準備が出来てから企画する」は理想ですが、殆ど実現しません。「施策に合わせて準備する」が普通です。要はまずスケジュールを引く、というのが正解です。

まずは月1回程度の小規模(10名~20名)定例セミナーを企画しましょう。

こうした定例の小規模セミナーの利点は以下の3つが挙げられます。

(1)小規模なため、ターゲットの集客が楽
大規模なカンファレンスも良いのですが、集客に無理があると様々な「綻び」がでます。たとえば集客を強制される営業との信頼関係、数合わせのために呼ばれる対象外の来場者とそのための膨大なコスト。上層部は喜ぶのですが、後になってイベントの意義や効果そのものが問われる事が多く、お勧めできません。


(2)定期セミナーのため、顧客が出席しやすい
「今月がダメでも来月がある」は大事なポイントです。定期的に行うため、対象となる顧客の参加が容易になります。ピンポイントの半日~1日というのは中々上手くスケジュール出来ないものです。

(3)コンテンツと講師がブラッシュアップされる
極論すれば、毎週同じテーマで実施しても構いません。同じセミナーに何度も参加するお客様は稀です。スピーカーにとっては「どんなネタなら受けが良いか」という経験を積む良い機会になります。特に若手の育成にセミナー講師というOJTは最適です。(某社では新入社員にデベロッパー向けセッションの講師として、200名近くのプロの前で講演させていたそうです。彼は今大手ソフトウェアのProduct Managerとして数多くの講演をこなしています。)

こうしたセミナーを繰り返し、自社のメッセージを研ぎ澄ましていくことで良いオファリングも出来上がってきます。





■ 間違いだらけのセミナー設計

これまで相当数の小規模セミナーをこなしてきましたが、他部門からの要望などで、間違ったアクションを取っている企業も多いようです。私がセミナーを企画する際、気をつけている点を4つほどご紹介します。

<資料は配らない>

来場者からは手元の資料が欲しいと大抵は言われます。が、渡してはいけません。
手元に資料があると講演者のプレゼンに集中できません。「資料を渡してプレゼン聞かず」は避けたいところです。また、ここで渡すより、後日営業が訪問する際に渡すなり、終了後に自社サイトに誘導してPDFをダウンロードさせるなり、様々なオファリングとして活用可能です。
「資料が無いとわからない」のは講師かコンテンツに問題があるはずです。。。


<自己満足なアンケートは百害あって一利なし>

逆の発想なのですが、小規模セミナーなら、アンケートなど集計している間に電話でアポイントを取りに行けばよいでしょう。アポが取れなくとも次回のセミナーを案内したり、今回のセミナー資料をPDFで送りましょう。とにかくアンケートに頼らず、実際にヒアリングしないと始まりません。また、アンケートでさらに個人情報のパーミッションを得ようとするのは愚の骨頂です。登録の時点でパーミッションを取っておけば新たに取得する必要がありません。さらに「営業の訪問を希望する Yes/No」などを聞いてしまうと、「No」を選んだお客様には訪問すらできなくなってしまうため、絶対に避けるべきです。


<来場者だけではなく、来場しなかった人もフォローする>

セミナーは来場者だけに注目が行きがちですが、登録して参加できなかった人もフォローすべきです。登録者リストから有望な企業を選び、攻勢をかけましょう。興味があって登録したわけですから、次回セミナーのご案内や訪問しての説明など、いくらでも話ができます。
アンケートを集計してしまうと、こうした非来場者へのアクションは後回しにされがちです。


<Thank youメールは送らない>

「ご来場ありがとうございました」はセミナー終了後に直接言えば十分です。メールを送ればその分だけOpt-outされ、せっかく集めた個人情報が使えなくなります。むしろ来場しなかった人にメールや電話でフォローすべきです。来場者には「次の手(訪問デモなど)」を用意して電話しましょう。



以上、「営業から言われて」「慣習的に」やっている事もあると思いますが、やらない方がいいことも多いので注意しましょう。

Nakahi

オルタナブロガーでは少ないと思いますが、一応私はマーケティングの人間です。
それも広告・宣伝畑。

ここ数年はLead Generationが面白いのでそれを中心にやっていますが、自分の職業歴を振り返ると、やはり広告宣伝がメインです。

さて、いまその宣伝でいろいろと仕込み中です。
多くの人々の協力を得ながら、一つのモメンタムを起こすべく、各種準備しています。


基本的には製品・ソリューションの拡販のためのActivityが主なのですが、いつも悩むのはストーリー。
製品の機能ではなく、なぜその製品が必要なのか?という物語です。

たとえば、

「Face to Faceが主体だった顧客接点に急激な変化が表れている」
「新しいデバイス、新しい場所、新しいコンテンツ。」
「そのデジタルという顧客接点はチャンスでもあり、課題でもある。」
「Adobeはデジタルの顧客接点をマネージするソリューションを提供します。たとえばCS、たとえばSiteCatalyst。」

みたいな感じです。

B2B,とくにテクノロジー業界ではこうした「新しい世界」を見せ、その必要性を唱えて行く事が必要になります。
こうしたメッセージを、社内・お客様、さらにメディアのみなさんにも浸透させ、自社の製品・ソリューションの導入の動機づけを行います。

効果が出るには半年~1年ほどかかりますが、こうしたActivityを行うことにより企業イメージを変えるのは難しくありません。

前回のBlogでも書きましたが、メディアのみなさんと一緒に考えるのが、成功への一番の近道です。


中途半端な考えを基に知り合いの編集部に行っても、意外と歓迎されたりします。
こうしたコミュニケーションの一つ一つが、モメンタムの醸成につながっていきます。


マーケティングに関わっているひとならば、自分の業界のメディアに挨拶を兼ねてプロモーションの相談をしに行くと良いでしょう。


Nakahi

さて、Brandingのお話です。


マーケティング、特に広告をやっているとBrandingの話には関わらざるを得ませんが、実際にできるチャンスは中々少ないものです。

ここでいうBrandingとは、「製品・サービスや企業に新しいブランドイメージを植えつけること」とします。
ロゴ規定や色指定、行動規範など「従来のブランドイメージを守る」ための Brand Managementとは別の話です。



【ブランドイメージはどうやって作られるか?】

ブランドイメージとは「良い意味でのレッテル」と言い変えるとわかりやすいです。
レッテルとは「貼られるモノ」で、「他人にレッテルを貼られる」という使い方はしますが、「自分でレッテルを貼る」とは言いません。
「誰かにレッテルを貼られる様にする。しかも良い意味でのレッテルを。」というのがBrandingになります。

こうした「レッテル」を貼るのは誰か?
断言しますがもっともレッテルを貼るのが得意なのはメディアです。

TV、新聞などの一般メディア、専門誌、オンラインメディアも含め、すべてレッテルを(意識的にも無意識的にも)記事の対象者に貼っています。

たとえばIT業界で「IBM」という大きな企業があります。
ご存知の通り、IBMは非常に先進的な企業で、製品・サービスも信頼性があり、業界のリーダーと言えるポジションを占めています。

しかし「IBMはすごい」という人の内、その製品・サービスを実際に使ったこと、体験したことがある人は非常に限られています。
メインフレームのソリューションや、BPOなど、一般の社会人にはほぼ体験出来ない製品・サービスが多く、実感してもいないのに感じるブランドイメージ。

こうしたイメージの出どころは大きく2つです。

1つは信頼できる人間からの伝達。
もう一つはメディアにその分野の「専門家」「先進企業」として企業が登場する場合です。

この2点に共通するのは「信頼できる情報ソース」であること。

「信頼できる情報ソース」で「良い意味でのレッテル」が貼られることが「Branding」です。

ちなみに信頼できる人間ですら自分で体験することは(特にB2Bに於いては)非常に稀です。
信頼出来る人の情報ソースを手繰るとメディアに行きつくことが多々あります。

こうしたメディアに対し、自社や製品・サービスを正しく・好ましくポジショニングする様に働きかけることがBrandingの第一歩として選択すべき事です。

従来Brandingは宣伝部門がその責務として行っていましたが、本来は広報・PR部門が率先して行うべき役割と言えるかもしれません。

Nakahi

皆さま、あけましておめでとうございます。

今年もゆっくりと思いついたことを書き連ねていきます。

さて、 今回はB2Bのマーケティング、特にLead Generationの企画のために必要な要素の整理です。
告知活動やセミナーのコンテンツ、営業のトークスクリプトなどなどを上手にまわしていくために、あらかじめ必要なことは何か?をまとめてみたいと思います。(ごめんなさい、長文です・・・)


すべての要素を一度に準備することは非常に難しいのですが、

「なぜその投資が、その時期に、その組織に必要なのか」


を事前に正しく定義するという事が必要になります。


私の場合、広告やLead Genの企画の際、いつも以下の5つを自分なりに考えて以下の通り定義しています。


「ベネフィットや新機能の説明」
「顧客目標とその達成に対する課題」
「自社の信頼性」
「現状維持のリスク」
「導入時、導入後のリスクと負荷の軽減」
「競合分析」




私自身Lead Genを考える立場でありながら、購買に関与することも多いのですが、実際に購買の現場で、社内や上層部から来る質問を交えて説明します。


【ベネフィットや新機能の説明】 ・・・ ”どんな良いことがあるのか?”

”こういう新機能・サービスによって、さらにコストが下がります、品質が向上します”などの「効果・効能」
これに関しては大抵のマーケティング部門が開発し、様々な場面で訴求されている要素です。
ただ、以前のBlog「B2BのLead Genにおける競合論」で書いた通り、導入しない理由はいくらでもあり、こうした「効果・効能」だけでは導入に至らないのが難しいところです。




【顧客目標とその達成に対する課題】 ・・・ ”その目的は? そのためにはどんな課題があるのか?”

顧客のビジネス目標達成に対する課題や問題の説明(当然、“それを弊社の製品・サービスが解決します”というメッセージが続く)
顧客自身が目的と現状が明確に把握できていれば、その阻害要因となっている分野もまた明確化できます。
製品・サービスがもたらす効果・効能のうち、その阻害要因を解決する点が訴求すべきポイントとなります。
また、顧客内で明確ではない場合、まずは提供側が目的(To Be モデル)を示し、そこにたどり着く為のステップとして課題を語ることが必要です。




【自社の信頼性】 ・・・ ”本当に任せて大丈夫なのか?言った通りに実現できるのか?”

特にソフトウェアやサービスといった仕様の定義が難しいものや、全く新しい新製品は、提供される製品・サービスが「信頼に足るかどうか」も重要な判断要素です。
提供企業のブランド以外にも信頼の置けるメディアで取り上げられているかどうか?著名な企業で導入されているかどうか?などが信頼性を担保する要因です。




【現状維持のリスク】 ・・・”なぜ、今やらなければならないのか?”

投資の緊急性や機会損失の存在など、放置している事のリスクについて説明が必要です。
投資には常にリスクが存在します。これが企業に於いて、決断に対する大きな足枷になります。
しかし「投資しないことのリスク」が顕在化すれば、投資を行う判断も得られやすくなります。
また、時間的な緊急性も明確化が必要です。
「今年でなくとも来年予算で検討」は来年も同じ状況になりがちで、いつまでたっても導入されません。




【導入時、導入後のリスクと負荷の軽減】 ・・・ ”導入する際とした後の負荷はどれくらいなのか? 上手くいかなかった場合は?”

導入時点、事後での問題点やリスクとその回避方法を明らかにする
「入れたら得」を理解された後には、「入れるとき・入れた後の問題」を乗り越える必要があります。
新システムを導入する際のチェンジ・マネジメント、段階的導入計画の策定、導入後のメンテナンスやサポートです。
また、状況や製品によりますが、廃棄・乗換のリスクも明示する必要もあります。
特に顧客が特定のベンダーへの依存を嫌う場合や、顧客が撤退戦略(万が一失敗した場合の戦略)を描けない場合、導入の障壁となります。
社内で稟議を通す際には撤退の容易さについても説明が必要です。




【競合分析】・・・”他所では同じことが出来ないのか?”

自社と競合との比較で自社が優位を占める部分と、上記のリスク&ベネフィットの関連性と軽重を明確にする必要があります。
競合が存在する場合、当然導入前に比較されます。その際の自社の優位点を明確にしておく必要があります。
コスト競争力も必要ですが、Lead Generationで扱う商材は消費財と異なる場合が多いため、コスト以外にも優位性を訴える必要があります。訴求すべきベネフィットや機能も「解決力・即応力」や導入し易さ、事後の負荷軽減などが差別化ポイントとなる場合もあります。
場合によっては先ほどの「撤退が容易である」という点も差別化要因となり得ます。






【実際にどうやって企画に使うか】

まあ、現実には全部が全部作り込めるわけでもないのですが・・・。(汗
マーケティングサイドもコミュニケーション戦略を上記に沿って「メリット・リスク・コストの訴求」を行う必要があります。

具体的には、

  ・この展示会では何を訴求すべきか
  ・カタログやWebサイトには何を記載すべきか
  ・Lead GenerationのNurturingではどのコンテンツを用意すればいいのか
  ・メールのタイトルはどういった文言にすべきか

を決める際に指針となります。


特に、Lead Generationに於いて重要となるLead Nurturing(育成)は、上記5つのポイントを段階的に理解してもらう行動だと捉えています。

Nakahi


【ファネルはあくまでモデルでしかない】

マーケティングの理論を読むと良く出てくる「ファネル」。認知から購買まで、顧客の状態を図式してわかりやすくしたモデルです。
2_2
それぞれのレイヤーに適したメッセージを顧客に与え、Nurturing(ナーチャリング:育成)を行い、理解を深化・促進させる、という方法論です。

でも、これが当初から上手くいかない。

レイヤー毎のコンテンツを作るのも大変だし、「想定した順番どおりでないとコンテンツを読ませない」となると、最後まで行き着く可能性は本当に低い。さらにレイヤーの定義や条件も難しい。自社のメール配信でCTRやCVRを考えると、いくつものレイヤーを決めるのはあまり現実的ではないです。(CVRが1%の場合、3回のメール配信をすべてクリアする可能性は1/1,000,000 !)

特にB2Bでは顧客の母集団が少ないため、ファネルの最後まで行き着くための絶対数が不足しています。
ものすごく逆説的ですが、反応した顧客より、反応しなかった顧客への再アプローチを考える方が、売上全体の向上の可能性は高くなります。
あまりレイヤーを深くするのも避けた方が良いとも感じています。

それこそ、「セミナーに登録した・しない」ぐらいの簡単なレイヤーで十分です。


レイヤーはシンプルでいいのですが、そこに込めるメッセージは非常に多岐にわたります。
参考までに「購買までの7つのポイント」を挙げました。
1_3
こうした顧客の認知を促進する情報チャネル(媒体)はそれぞれ最適なものを選択する必要があります。
それぞれのポイントを納得してもらい、初めて案件が動きだします。

B2BにおけるBranding論でもあるのですが、詳しくはまたの機会に。

Nakahi

さて、みなさんは製品の売り込み方(オファリング)を考えるとき、どうしているでしょうか?


これまで、機能やメリットの訴求、ROIを算出して見せる、事例を集める、などの意見がでましたが、実際にはそこで興味を喚起できても、「予算がないから」という理由でLostしがちです。

Lead Generationの活動で発掘したLeadも、Salesがフォローした後、一定の確率でLostします。そのうち、もっとも多い理由は「予算がない」「予算が削減された」です。

確かに予算が無いなら、いくら機能や導入メリットを理解しても導入はできません。そのため、売る側も買う側も言い訳として非常に使いやすい理由です。

しかし、企業において「投資ゼロ」という状態は殆どありません。縮小されながらも「縮小後の予算」は他の「重要な案件」に投資されているのです。 つまり殆どの場合、「予算がない」ではなく、「自分が売りたいものは顧客の優先順位づけの結果、予算枠にはいってこなかった」が正しい認識なのです。


私はLead Genという役割でありながら、発注作業も行う人間なのですが、上記の言い訳は本当に良く使います。
その際も殆ど(90%以上と言っても良いでしょう)の場合、「他の投資案件に投資」は行われます。


では、投資優先順位のランキング圏内に残るには?ランキングをどうやって上げるのか?

「こうすればさらに良くなります」「効率が向上します」「新たなビジネスの展望が開けます」など、「プラスアルファ」な要素は程度の差はあれ、皆理解しています。でも予算や人的リソースを割り振る余裕がない。

通常、予算の配分は「止めると問題になるもの」から随時割り振られていきます。


放置する(優先順位をさげる、見送る)ことが、

会社として見過ごせない損害につながる
競合劣位(つまり他社より出遅れる)
ビジネスが止まる
機会損失

などのリスク・損失をすでにはらんでいるという理解が必要なのです。


新機能やROI、得られるメリットの訴求より、すでに抱えている(が顧客には見えていない)課題。これを定義し、認知してもらわなければ投資優先順位は予算の配分圏内に入りません。

では課題を定義できたとして、その際の投資の競合相手は何でしょうか?
同業の似たようなソリューション?

いいえ。

競合相手は「従業員の昇給」だったり、「自社株の購入」、「人員の増員」、「老朽化したオフィスの移転」など、企業の投資活動全般になります。

当初から「特定ソリューションへの予算枠」などありません。
場合によってはその会社の従業員のボーナスを減らしてでも、工場の生産ラインの更新を止めてでも予算を捻出する。これが必要になります。


さて、我々のオファリングは、こうした投資を抑制してでも振り分ける価値がある投資でしょうか。

まずは顧客に投資し、解決する価値ある「課題」を示すのが我々マーケティングにかかわる人間の「課題」です。

Nakahi


本当に久しぶりの更新です。
これからも無理せずぼちぼちと書いていければ。


少し、広告の効果測定について書きたいと思います。


「効果」を何で見るか、これは非常に大事です。

売上、到達率、CVR、CPC、CPA、、、世の中にはいろんなメトリクス(指標)がありますね。
Online Marketingの発達で、そうした数値を計測できるようになってきました。(最近はView Through Conversionなんかも!)


でも、「数値化する」=「抽象化する」という点を忘れないようにしないといけません。


「一つのモノサシで測る」といいかえてもいいでしょう。


このモノサシが唯一の正しい指標ならむしろ正しいのですが、ビジネスはそれほど簡単なものではありません。

B2Bで言えば、「そもそも指標の母集団は本来のターゲットなのか」という指標の前提条件や、「購買プロセスにおける段階的な意識の変化を起こしたのか」の様な、定量化が難しい評価軸も確かに存在します。


指標化が困難なため、最適化はできないにせよ、マーケターとしては心の片隅に置いておきたい「軸」です。


個人的な経験で恐縮ですが、これまで、数字は必ず暴走してきました。


別の指標ができるまで、年を追うごとに高く設定される数字の達成だけが目標となってしまい、「最適化」の名の元に、その数字の達成のために本来必要な準備活動に力を注げなくなってしまうからです。

「過去」を計測するために最適化された指標は「未来」を示せないことが往々にしてあります。


とくにIT業界は、過去の延長が未来を示さない、ダイナミズムに溢れた市場ゆえに、特にその傾向が強いのではないでしょうか。

Nakahi

Lead Genにおいて、(過去の経験上)ほぼ全世界で行われている勘違いについて書きたいと思います。

それは「ROI」です。

ROIを測ることが間違いではなく、「何を”Return”とし、何を”Investment”とするのか」の定義が(大抵の場合)間違っているという点です。


一般的なLead GenにおけるROIを言葉で書くと「投資したコストに対し、案件がどのぐらい見つかったか」になります。
「○○のイベントは良かった」「あのメール広告はイマイチ」という判断を下すためにROIを測定するのです。

しかし、「投資したコスト」と「結果」の定義があいまいなケースが多く、「キャンペーン」としての複合的な影響を加味できていないのです。

たとえば、あるソリューション・セミナーで案件が発掘されたとします。そのイベントのコストと案件を比較してCPLを算出するのも多くの場合、間違いです。

そのセミナーに来場してもらうまでに、自社メルマガやWeb、他の広告などによる告知活動があり、そこにコストもかかっています。
逆にそのセミナーで案件化しなくても、将来べつのセミナーで案件化することもあります。

この複合的な要素を考慮しないと、
「イベントのROIは効率が悪いのでメルマガだけに集中する」などの間違った傾斜配分が行われ、結果として非効率な投資を続けることになります。

これを避けるには計測の対象として「キャンペーン」と「Activity」という階層構造が必要です。
「キャンペーン」とは「Activityの集合」であり、「Activity」はe-mailやセミナー、ターゲティングメディア出稿などの個々のActionを指します。

創出案件にたいするROIを評価するのはこの「キャンペーン」であって「Activity」ではありません。
Activiyの効果を測る際は別のKPI(CPCやCPA、来場者数など)をキャンペーンの目的に沿って設定し計測します。


衝動買いが可能な個人と異なり、B2Bに於いて、複数の情報ソースが意思決定を形作るというのはもはや常識です。
1つのActionが1つの結果を生むという視野狭窄に陥らず、どんなActionの組み合わせがLeadを最大化したかを探る視点が重要です。

Nakahi

電通による2009年度の国内広告市場予測(PDF)が5.8兆円だそうです。

この5.8兆円の内訳は4媒体と言われるTV・ラジオ・新聞・雑誌で2.8兆円、インターネット広告で7千億円、プロモーションメディア広告(屋外広告、DM、店頭POPなど)で2.3兆円といった数字になります。

快進撃を続けているインターネット広告の規模は、全広告費の中のたった12%。
一方、旧来の4媒体の中でTVCM単独でも29%を占める1.7兆円です。

世帯のインターネット普及率は91%に対し、TVの世帯普及率は99%

「情報流通媒体」としての普及率としては、地上波だろうとインターネットだろうと、それほど大きな差はありません。

雑誌に関しては昨今話題の電子書籍や情報系のサイトで、ニッチな分野から代替されつつあります。
新聞は電子化され、従来の「段(=紙面のスペース単位)」による広告体系とは別のサービス体系となっています。


プロモーションメディア広告についていえば、

屋外広告
交通広告
DM
店頭POP

などがあげられますが、出稿・制作コスト、表現力の問題から

屋外・交通・店頭POP =>デジタルサイネージ
DM=>e-mail広告

にとって変わられようとしています。

たとえば、JRの社内ではすでにTFTで、時間帯によって広告の掲出内容を変える、動画の再生をするなどは実用化されており、列車の更新とともに拡大しています。郵送DMからe-mail広告へのシフトはもう10年も前から始まっています。


回線速度の向上により、静止画やGIFアニメが限界だったコンテンツも、Flashによる動画広告は当たり前になりました。

据え置き型PCやノートPCに代わり、スマートフォンなどの情報端末も、その通信機能とともに進化しています。


前置きが長くなっていますが、何が言いたいのかというと、旧来の広告はITにとって代わられつつあるという事です。


我々IT業界の国内市場規模は、IDCの予測による2010年のIT関連の市場規模予測によるとおよそ11兆2,168億円です。このほとんどが、社内のシステムのために投資されています。

社外に向けた広告のためにIT投資がされるなら、5.8兆円という新しい市場が生まれる可能性が有るわけです。
そこに着目したのがGoogleです。彼らの成功は「広告とITの相性が良い」という事実を表しています。


しかもこの5.8兆円の多くはB2Cを主目標とした広告市場です。国内GDPの多くを占める「中間財における付加価値」に於いては広告に対するニーズそのものが小さかったのです。それはなぜか?広告には大規模なマス広告しか情報デリバリーのインフラが存在せず、必然的にコストをかけることができないためです。

B2Bに於いては広告という言葉自体あわないかもしれません。(昔、広告に対する「狭告」という言葉もありました)

これまではITによる広告といえども、供給側のインフラとしてサーバと管理者を用意する必要がありましたが、クラウドにより、そうした手間は解消されます。まさにキャンペーン単位で作ったり消したりがコスト的にも技術的にも簡単になります。


不特定多数へ単一情報を一斉同報することに特化した従来の広告インフラ。
特定少数へ必要に応じた情報を非同期に配信することに対応可能なITインフラ。

コンシューマ分野ではなく、B2Bの広告(狭告)にこそ、ITのあたらしい市場が有ると考えています。

Googleのロングテール、Salesforce.comは、「特定少数を絞り込み、情報を低コストで提供し、レスポンスをビジネスに直結させるための仕組みがほしい」というB2Bのマーケティング(またはそれに類する)部門のニーズを的確にとらえていると考えられないでしょうか?

Nakahi

日経新聞電子版が創刊からおよそ1ヶ月が経過し、およそ2週間で30万人を突破しました。また、IT Media IDもおよそ1ヶ月。これらの動向はLead Generationにかかわる人間として非常に興味深くWatchしています。



【古くて新しい、”ターゲティング”の技術】

「Webメディアで登録制のどこが新しいの?」という声も聞こえそう(w もちろんメディアのWeb化と登録制については、それこそインターネットの草創期から実現されている技術です。しかし、こうした「読者ID」を活用する環境がまったく異なります。


- SiteCatalystを始めとした各種Access解析ツール
- 膨大なログを保存・活用するストレージ
- 分析に応じたコンテンツを創造するための各種ツール
- さまざまな場所からアクセスを可能にするデバイス
- AJAXなどの要素技術と、回線やサーバのキャパシティ



こうした様々なテクノロジやサービスが充実・進化することにより、これまで出来なかったことも可能となります。



【B2Bにおけるターゲティングとは?】

Photo
一般的なB2C広告において、ターゲットとする顧客とは「不特定多数」であり、その個人が誰であるかの重要性は低いものでした。
(セグメンテーションは存在しますが、所属情報はかなり大雑把なものでした)
B2Bを謳うメディアでも、「CTR」や「PV」、「CPC」や「Conversion」というメトリクスは存在します。しかし最も重要な「分母が誰か」という概念が欠けているのです。
「おそらくターゲットのはずだ」という反論もあるでしょうが、私自身も含めて、「本当のターゲットが何人いて、そのうちの何人がClickしたのか」という厳密なレベルでは把握が困難と考えます。
ましてや、「本当のターゲット」だけに広告を打つこと、言い換えると「不要なターゲットには広告を打たないこと」は究極の目標でしたが不可能でもありました。



【本当のターゲットはちょっと遠かった】

ここで言う日経電子版やITMedia ID、他にもBP パスポートやCnet IDなどをベースにすれば、かなりのレベルで「本当のターゲット」に近いターゲティングも可能です。たとえば、各社が展開しているターゲティングメールは一般的な広告ツールといえるでしょう。Targetreach_3
ただし、B2Bにおける顧客の購買行動を考えると、バイイングサイクルに合致しない顧客にいくらメールを売っても、売り上げにはつながりません。長期的なブランドやリレーション構築には効果的ですが、オンラインストアに誘導するような場合は、コストが合わないことがあります。
これに対し「行動から顧客かどうか判断し、顧客(っぽい人)にだけバナーを見せる」という行動ターゲティング広告(BTA)という比較的新しい広告手法もあります。
ただ、これも「顧客(っぽい)」とあるように、明確なターゲティングではありません。
良く言われる「従業員○○名以上、情報システム部課長クラス、業務改善に興味ある人」という様なターゲティングは、これまでの技術・サービスでは不可能でした。
IT系ベンダーをはじめ、B2Bを生業とする企業にとって、「大手企業」というのは、売り上げだけでなく自社ブランド(導入実績として)のためにも非常に重要視されます。案件に割ける社内リソースを計算しても、ある程度の企業規模が必要な製品・サービスも多くあります。
また、競合には決して見せたくない情報も、特定企業しか見せられない情報も多々存在します。

これまで、どうしても乗り越えられなかった壁です。



【プロファイルとIDでマーケティングも変わる】

BTAと読者IDがリンクすると、ターゲティングの精度は飛躍的に向上します。
先ほどの「従業員○○名以上、情報システム部課長クラス、業務改善に興味ある人」も、読者IDのプロファイルとBTAの組み合わせで、かなりの確立で判断できます。
例えば、指定セグメントの読者が、BTAのトラッキングシステム上で一定の閾値を超えると、

1) メールが送信され、関連自社サイトへの誘導やWebセミナーのアーカイブの案内が送られる
2) A/Bテストのような可変コンテンツが自動で提供され、プロファイル上のカテゴリ別Conversion Rateが比較できる
3) 指定セグメント以外には広告出稿しない(その分の広告費用を払わなくてすむ)


といったことも可能になります。
Herbest
いわゆるNurturingも、こうした顧客IDとプロファイルが認識されて始めて実践的なレベルとして活用可能になります。
漁法でたとえると、目標となる大きな魚、例えば鯛、がいそうなところに投網を投げ、掛かった魚から鯛を探すより、あらかじめ鯛の稚魚を生簀で育て、大きく育った順に水揚げするのと似ています。
食べられる種類か、食べられる大きさに育っているかどうか(または旬か)、は魚を選ぶ上でも重要な判断基準ですが、後工程を担う営業部門のためにも、あらかじめ料理しやすいLeadを用意すべきでしょう。


Nakahi

プロフィール

中東 孝夫

中東 孝夫

消費財、ITベンダーなど15年にわたるMarcom経歴を基に「新しいコミュニケーションのあり方」を常に模索しています。

詳しいプロフィール

カレンダー
2012年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      
カテゴリー

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


最近のコメント
最近のトラックバック
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 37歳の常識――目的不明確な勉強会には参加しない
世の中、真面目な勉強会ばかりとは限らない。(5/16)

news094.gif Lyncが実現する“どこでもドア”
マイクロソフト社員は社用のPC持ち出しや私用PCの社内持ちこみ、外部からの社内ネットワークアクセスなどを行える。しかし、会社の収益を脅かすような重大な情報漏えい事故が起きたことはないという。(5/16)

news094.gif HPとSAPが合併する日
SAPがデータベース分野への本格参入を明言した。同分野で最大手のOracleに真っ向から挑む格好だが、さらなる未来予想図も浮かび上がってきそうだ。(5/14)

news094.gif もう鼻血は垂らさない
関西電力のオール電化推進話に、私はプンプンしています。昨夏、鼻血が出るの我慢して冷房つけなかったのにー。(5/11)

news094.gif “コステロ”じゃないよ“コストロ”だよ
ビジネス・ブログメディア「ITmedia オルタナティブ・ブログ」では、約250人のブロガーがITにまつわる時事情報などを、日々発信している。連載最終回となる今回は、その中から「電子書籍」「Twitter」「3.11」を紹介しよう。(4/28)

Special

- PR -

サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ