海外旅行・出張危険回避講座 (一読さえすればリスク最小、海外旅行のプロ) その3 ハイリスクエリア 空港での検査
海外旅行・出張危険回避講座
(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ)
その3 ハイリスクエリア 空港での検査
空港は、その国の顔だ。特に空港の係官は、その国の第一印象を決定的に決める。
米国のシカゴの入国管理の長い列の先で、一人のかなり年配の制服を着た係官が、到着客を、パスポートコントロールに、到着客を振り分けていた。その係官は、私たちの3人前の日本人の若者たち二人に、
「こんにちわ。おげんきですか」と日本語で話し掛け「日本、いいですね。大好きです。はい、プリーズ・ゴー・ゼアー」と言っているのを聞いて、素晴らしい。これだけでも、その国を好きにする強力な手段になると感心した。半年後でも、その老係官の笑顔を覚えているほどだ。
私の番が来て、私から「こんにちわ。お元気ですか」と、先制を放つと、その老係官はニコッと笑って、「あそこに」と通してくれた。
しかし、笑いながら、その係官は、自分の経験と直感で、到着客の中の怪しい人物を選びだしているに違いない。それに選ばれると、別室での検査になるのだろう。何も後ろ暗いことがなければ、問題はまったくない。
世界は、こんな楽しい入国ばかりではない。ここに書くのは、すべて私の体験だ。
①フィリピン・マニラのパスポートコントロール
他の国よりも高めの台の係官の前に立ち、パスポートと入国カードを渡した。
女性の係官は、パスポートをペラペラと開けて、
「日本人ですか」などとゆっくりと尋ねる。
「そうです」と言いながら、こちらもほんの少しイライラし始めるが、そんなことは見せない。
「書くものは?」と尋ねてきた。
(おい、おい、書くものなしで、仕事するかよ)と思いながらも、私は背広の内側のボールペンをさっと渡した。
「サンキュー」と言いながら、入国カードに書き始めた。ゆっくりとやっている。わざとじらせるのだ。そして、判子をポポポンと押して、パスポートを返した。
「サンキュー」と言いながら、パスポートを急ぎポケットに入れて、その場を立ち去ったが、10メートルほどで、思い出した。(あっ、ペンを忘れた)
急いで、カウンターに戻って、
「ペン」と言うと、その女性の係官は、引き出しから取り出した!
何と、その係官は、入国するすべての旅行者にペンを要求し、忘れさせて騙して巻き上げているのに違いない。セコイこと、自然な態度でやること。ペン程度では、後になっても、クレームをつけないことを見込んでいる。彼女の引き出しには、一日に数十、いや数百本のペンが集まることになる。
②フィリピン・マニラの入国の税関検査
「カバンを開けなさい」で、スーツケースを開けた時に、土産に持ってきた小さなお菓子の箱が4つ入っていた。
「これは何ですか?」と尋ねる。
「お菓子です」
「一つ、くれないか?」
「ええっ!」私は耳を疑った。こんなに正直にダイレクトに言われるのも珍しい。
「なんて言った?」と言うと、
「一つ、くれないか?」と、おずおず言う。
「ソーリー」と答えたら、
「オープン」と来た。
私はベリッと包み紙を破って、中身を開けて、クッキーを一個食べた。
「一個食べるか?」と言うと、手を振って、「行きなさい」とのジェスチャー。これでお終い。
その係官は忙しいのだ。そこに日本人のおばちゃんのグループがやってきた。私がスーツケースを閉じながら、見ていると、その係官は、そのおばちゃんのカバンを開けて、やはり
「一つ、くれないか?」と言っている。おばちゃんは、おったまげたまま。
私は、そのおばちゃんのところに行って、
「どうしました」
「この人、お土産を一つ欲しいといわはんね」と、べそをかいている。
「土産を係官に渡す必要はまったくありませんよ」と他の女性たちに、あたかもツアーの添乗員のように大声で言って、その係官に、
「あなたは、この女性も脅しているのか」と、向こう3つほどの検査台の係官に聞こえる声で言うと、あっさりと手で、「行け」の挨拶。そのおばさんは、「ほんまに、怖いわあ」と、他の女性と話しながら、入って行った。
③35年前の西アフリカのナイジェリアのラゴス空港
空港を通ると、下手をすると、当時は4回たかられる可能性があった。
まずはパスポートコントロールで、いくら並んでいても、後回しにされてしまう。列の一番後まで待たされるかと思うと、ぞっとするが、パスポートコントロールの台の横に呆然と立っていると、どこからともなく、兄ちゃんが来て、「私が、係官に頼んで、早くやってもらいましょう」と、言ってくる。「10ドルです」と、お金を要求する。渡すと、係官はさっとパスポートを取り上げて、ポポポンと判子を押す。その兄ちゃんが係官の代理人をしていた。
税関もやはり、真正面からたかってくる。たくさんの到着客がいれば、無視していると無事通過するが、少ない到着客や夜中の到着では、じっくりといびられる。
ナイジェリアでは、その次が外貨の持ちこみチェックがあった。黄色い紙に、持ちこみ外貨を書き入れるが、その金額をいい加減に書いておくと、
「財布を見せなさい」と来る。
財布に、申請している以上の、外貨が入っていると、たかられる。たかりをはねつけると、没収か、実際に拘置所に入れられた日本人もいた。
更に、検疫の検査があり、税関以外にもう一度、カバンを開けさせられる。食料品や果物、花などを理由にたかられるのだ。
たかる根拠は、外貨の所有申請書を見て、じっくりとたかってくる。
私の場合は、ラゴスに駐在していたので、専属の旅行会社の空港担当者が中に入ってきて、私のパスポートの面倒を見てくれていたので、問題は無かったが、一人で来ている日本人はかたっぱしから狙われていた。
今も変わらないのではないだろうか。
④インド・カルカッタのトランジット
インドで聞いた冗談は、(カルカッタの危ないことは)「カルカッタの上空を飛行機で飛び越す時も、財布をしっかりと押さえておけ」というのがある。「押さえてないと、盗まれるぞ」という。
私は、カルカッタからダッカに向かう出国の手荷物検査を受けていた。
すべてのハンドバッグをX線で検査して、その上、制服を着た係官が、すべてのバッグを開けて、中身を調べる。
インドの空港では、裸の乾電池は飛行機に持ちこみを許されず、カメラのスペアバッテリーや、パソコンの追加バッテリーも没収か、その空港での預かりになってしまうという。全部で数万円もするこれらのバッテリーを通すのに、1時間もかかってようやく飛行機に乗って、カバンを開けたら、携帯電話を盗まれていた。恐ろしい国だ。
④タイ・バンコクの出国
手荷物のX線検査を終えて、自分の手荷物を回収して、良く見ると、空港内で買ったタイの蘭の花のケースがない。
「アレ」と、荷物を持って、長い通路をゲートに向かって、小走りに行くと。ヨーロッパ人の兄ちゃんが、堂々と蘭の花を持って歩いている。
「それは、あなたの花ですか」というと、
「ソーリー」と、素直に返却してきた。
こいつ平然と、人の物を盗むとは!とおったまげたが、搭乗も迫り、物も返ったからと我慢した。
上記に挙げた空港内の例はどんどん少なくなっていて、ナイジェリアのような例はレア種だろうが、珍しいところには、まだまだこのような状態の空港がある。
ポイント
(1) 空港ではイライラしても、焦らないこと(これは自分に言い聞かせている)
(2) 荷物の検査を受けたら、必ず再度チェックすること。特に出国の際に、所持品検査のプラスチックのトレーには、財布やお金やカメラ、腕時計、携帯電話などを、バラでむき出しにして通過させない。これらはまとめて、しっかりとしたカバンのジッパーの掛かるポケットに入れて、まとめて通過させること。
(3) 日本人の観光客のたくさん行くところでのフィリピンなどのたかりの係官は、基本的に無視すればよい。高額の現金や貴重品を持っていかない。
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