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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

食べ物珍体験 菜食主義 その2 菜食工場

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食べ物珍体験 菜食主義 その2 菜食工場

南部低地にある菜食主義のネパール人の経営している大きな金属工場を見学したとき、見学後、工場のゲストハウスで、昼食が用意されていた。

 2階の居間に座ったら、昼間だったが、ビールが出てきた。ナンとチャパティが山盛り出てきた。チャパティは、あらびきの小麦を煎餅のようにして、揚げてあるが、それにたっぷりとカラフルな野菜が載っている。

「おう、これは立派な菜食主義だ」

 私も、同僚もパクパク食べた。皿にナンも出てきた。ナンが何回も皿に出て、ビールの栓が開けられ、昼間というのにどんどん盛り上がった。

「さて、そろそろ、行きましょう」と、私の部下が言った。

 全員がソファーから立ち上がった。お腹も満腹だし、飲んだし。

「ここから、非常に短い距離の飛行機に乗るのですね。そろそろ飛行場への時間ですか...。ちょっとおしっこに行きます」と、正直言って、相当我慢していたのを捨てに行った。

(さあ、これで空港に行こう)と、鞄を持って、居間から隣の部屋に出たら、そこに食事の用意がしてあった。

「な、なんだ。昼食はもう済んだのでは」

「いや、いや、あれはチャパティとナンだけです。昼食はこれからです」

「エエッ、そんな。私の胃はもう、一杯ですよ」

「とにかくほら、これから本式の菜食主義の料理です」

「まいった」これだから食べ過ぎてしまうのだ。

 それから、出てきた、出てきた。野菜を中心としたカレーが数種類。そしてまたナン。フライドライス、果物となって、もう予備のタンクを開放しても、詰め込みは不可能になり、あふれてしまった。

「この工場には何人の人が働いているのですか」

「約700名ほどです」

「それらの方々は、菜食主義ですか」

「全員がそうです。それを条件に雇用してはいませんが、この工場では菜食主義の食事しかできません。菜食主義になってしまいます」

「なんとなあ...」完全な「菜食主義工場」だったのだ。

工場の昼食で時間を食っていたら、ふっと見ると、飛行機の出発時間の15分前ではないか。

「こ、これは大変だ。遅刻になりませんか」

「大丈夫です。空港は、この工場の裏で、5分です。また先に運転手が皆さんの切符を持って、空港に行っています。それと、皆さんが乗られる飛行機に、私(工場長)も乗りますから。カトマンドゥからまだ飛行機は到着していませんよ。到着前に、到着の音が聞こえますから、それからでも間に合うのです」

 こうして、ゆっくりと3時間を掛けての飲み会と昼食会が終わって、空港に向かい、これで飛べるのか思うような古い双発の飛行機に乗り込んだ。

機内では、カートンジュースと飴が配られ、カトマンドゥの大盆地の端ぎりぎりの上空を飛行して、カトマンドゥのトリブバン空港に滑り込んだ。

 私はこの出張で、一つの決意をした。それは、私の人生を、ゆっくり、ゆっくりと菜食主義に移行するアイデアである。最初は、多量の肉を食べないことで始めよう。その段階では、菜食移行期として、考える。

ネパールに滞在している間に、その菜食主義を、

  最低限の肉しか食べない。

  自称フィッシュベジタリアンであることを公言する。

これが私にとって、とても良い状況を造るだろう。更にそれに食事の量を減らし、節酒を加えると、これはもう完璧である。

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