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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

大災害との闘い  国連に常設の大災害救助部隊と国際災害救助機関の設置の提案

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大災害との闘い (Fighting against Natural Disaster)  国連に常設の大災害救助部隊と国際災害救助機関の設置の提案 (Proposal for Permanent Formation of Rescue Team for Various Natural Disaster and International Rescue Organization Against Disasters)

 今回の東日本大震災のような広域にわたる大災害は,日本でも数世紀以上に一度という頻度だろう。しかし、台風や小規模の洪水、地域的な地震災害、火山噴火災害などは、ほぼ毎年何かが起こっている。

 世界を見渡すと、毎年毎年、いくつもどこかで、大災害が起こっている。大洪水、地震、津波、火山、台風やサイクロンやハリケーン、山林火災など、それらの被災国も多数に及んでいる。

 今回の日本は、これらの自然災害の地震→津波→原発の事故と連鎖反応を起こしていること、これを何と呼ぶのだろうか。自然災害が起こした二次災害を何と呼ぶのだろうか。
このような災害の責任を自然災害によると言い切るのだろうか。

 自然災害に対して、その被災国自身が、大災害に"即"対応して、被災者の救助、避難、援助をしようとするが、多くの国では経済的にも、組織的にも、技術的にも対応ができなかったり、極めて遅れてしまったりすることがある。

 日本のようなまだ恵まれた経済国であっても、今回の東日本全般で、圧倒する破壊の自然災害には、2週間ほどは、情報も不明で、ほとんど動きが取れなかった。政府は、常に災害に対応する準備をしていなければならないが、起こってから、慌てて対策を立て始める。

 毎年洪水を起こしているバングラデッシュのような国、広域の森林火災のインドネシアなどもあるが、もともと、災害はいくら災害が多い国でも、年に数度のことで、災害が発生した時に、それに常に即対応できる組織を作り上げることができない。

 常設の災害救助隊を、常に十分な人数と資材と、即活動の準備をして、揃えている国は未だ無い。

 課題1 どんな国でも、災害救助隊の組織作りは、即立ち上げることができない。その組織づくりを中央で考えている間に、どんどん被災者の内で助かるはずの被災者が死んでいく。

 課題2 災害救助隊の決定後、派遣するまでに、資材、機材の準備をするための時間が掛っていく。この間にも、負傷者が死んでいく。

 課題3 被災の現地に向かう交通手段や、通信手段がほぼどんな国でも、被災後はマヒしている。これによって、助かった被災者の難民たちは、食べ物も飲物も無く、悲惨な状態に置かれることが多い。
 こうしている間に、せっかく無事に助かった高齢者、幼児・子供、病弱者たちが死んでいく。

 課題4 医師や、看護師、医療関係の即対応となると、更に困難だ。
 今回の日本でも、まさにこの状態のことが起こった。
 ましてや、今回の津波の被災地は、まさに瓦礫の山であり、それら瓦礫の下に、災害の被災の直後は、まだまだ助かる人もたくさんいたはずだ。それらを発見し、救助する手段はまったくないままに、数日過ぎて、今回の日本の災害のように真冬に近い寒さの中で、津波に濡れて、夜間に凍死された人たちもたくさんいたのではないだろうか。

 課題5 土木建設機械では、災害時の救助には使用するには限界がある。災害対策専用の土木重機械の開発が必要なのではないか。しかし、そのような重機械を一つの国が開発することは、不可能だし、開発したとしても、それだけの需要が一つの国にはない。→全世界で見ると、需要がまとまることもある。

 こうして考えると、一つの解決策の形が見えてくる。
(1)    災害に即応するためには、全世界レベルで見れば、常に大災害が起こる、起こっていると考えてもよいのではないか。

(2)    まずは人命の救助であるから、現地へ直行するのは、多数のヘリコプターであり、どこでも入っていける多目的オフロード車、救急のための医師団と医療設備である。

(3)    そして、まだ救われていない被災者を一刻も早く被災地で発見し、救助する秒をあらそうほどの、交通手段の確保、発見手段の開発、被災者運搬手段、被災地での臨時の避難所の設営など、まだまだ開発しなければならないものがたくさんある。

 このような状況に対して、私は、国連の中に、国際災害救助機関(International Rescue Organization for Natural Disasters)を組織してはどうかと考えた。

 世界の主要なところに、拠点を置く。
 たとえば、グローバルの主要な都市に、組織が常に災害救助隊と資材と交通運搬手段、医師群をそろえて、(ちょうど、私たちの消防署のように)控えて待つ。そして、災害が起こったら、ただちに、輸送機、高速艇、ヘリコプター群で、現地に向かう。これには国境を問わず行う。

 災害の規模に応じて、世界中のこの組織の拠点からも、救助に向かう。必要な資材は、テントや医療器具、薬品、食品など、ほぼ毎回同じであるから、この機関は、常に十分な備蓄を所有している。独自に備蓄するものを開発することも行う。

 医師群は、この救助機関が独自の教育機関を持ち、災害救助の医師群を揃えていく。多数のヘリコプターを機内に搭載して運ぶ特別の輸送機の開発も必要だ。また被災地で活躍する人体レーダー、被災地土木機械の開発なども、行う。

 今回の、日本の体験から、この国際災害救助機関を日本が国連に提唱して、中心になって活動を開始してはどうだろうか。日本ほど適役はないと思う。


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