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ソーシャルメディアがもたらす「活動時間ベース」のご近所付き合いとは?

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これまでは、ご近所さんというと、自分の家や職場から徒歩圏内にいる人、言い換えると物理的に顔を合わせる可能性が高い人のことを意味していました。

ですが、フェースブックやツイッターなど、ソーシャルメディアが浸透し始めた最近では、ソーシャルメディア上での活動時間が近い人、言い換えると時間的にソーシャルメディアで見かける可能性が高い人が、「ご近所さん」になってきているのではないでしょうか。

今回はこの、「これからのご近所さんは、活動時間の近さで決まる」というテーマについて触れてみたいと思います。

Morning20110822

■私の一番のご近所時間帯「早朝活動メンバー」

私がフェースブックやツイッターで最もよく絡むのは、早朝からFBに書き込みをする友人たちです。具体的には下記のようなメンバーが常連です。

○H沼氏:自身で、レゴをテーマとしたコンサルティング会社を運営。早朝からオフィスに出ている。
○H川氏:福岡で建築会社とIT関連の活動を並行して行なう。毎朝の「ご安全に」が合言葉。
○K室氏:早朝ジョギングが日課で、主にその日の気候とランニング内容について、Nike+ の記録と共にUPされる。
○S宗氏:前職および前々職の後輩であり、情報発信が活発。最近、朝の勉強会などが活発。

こうしたメンバーとですが、お互いに相手のコメントなどでちょっと気になるテーマや内容があると、そこに簡単にコメントでかぶさり(例えば、最近印象に残った本についての書き込みと、そこに対応する自分の感想など)、いくつかのやりとりが続いていったりします。

一方で、こうしたメンバーのうち何人かは共通の友人であり、リアルの場面で密接に絡んでいる他の友人や仕事仲間でも、この早朝メンバーとの接点、特にフェースブックなどで交換されるやりとりに関しては、殆ど何も知らない、ということがあり驚かされます。

例えばですが、仕事でいつも私がよく絡んでいるYさんの場合、日中仕事を一緒にしていて、ある特定のテーマについて話題になったと「それって、さっきS宗さんがFBでも言ってた通り、○○だよね」というようなことを言うと、ぽかーんとされてしまうわけです(※この場合、このYさんとS宗さんは友達同士なのですが)。

これは、FBのスクロールを1-2日分振り返ってみると分かることなのですが、大体150人前後の友達を登録していると、1時間もあれば、3-4スクロール分は画面(スマホであっても同じくらい)がアップデートされてしまいます。

ですので、例えば朝起床して9時~10時頃に通勤する人の場合、よっぽど時間があるか、意識して過去まで振り返らないと、その前の早朝活動メンバーの書き込みは、見かけなかったりするわけです。さらに言えば、その時間は早朝活動メンバーはFBの前から姿を消してしまっていたりするので、インタラクティブにその時間にやりとりをする、ということが難しくなってきます。

■「遅め出勤」という別のご近所さんグループ

さて、上記で紹介したYさんのケースですが、この人の場合出勤は毎朝10時頃で、主にFBを見るのは通勤途中の9:30-10:00頃。そうすると、いつもよく見ているのは、同じくらいの時間に出勤をする「遅め出勤」の友人たちだそうです。
通勤時間が近くなると、電車に乗ってから書き込みをするまでのタイミングが重なるのに加えて、それよりやや早く、9時頃を目処に出社している人たちは、朝一のメールの処理などでFBを見ていなかったりするので、そこにはまた別の集団「遅め出勤グループ」というのができているようです。

■ご近所さんを定義しているのは「距離」や「関係」の近さよりも、「活動時間」と「書き込み量」

こうして振り返ってみると、このご近所さん同士は、「距離」や「関係性の近さ」はそれほど左右されていません。

例えばですが、先ほどの早朝ご近所さんのH川氏は福岡在住で、私は東京。関係性からいうと、仕事で密接に絡んでいる人だけでなく、何度か顔合わせをしたことがある程度の人であっても、この近所の中に含まれています。逆に、Y氏のように、いつも仕事で顔を合わせている人であっても、このご近所さんには入っていなかったりします。

一方で、「活動時間」と「書き込み量」は、密接にご近所さんを定義します。上記にご紹介した通り、それぞれの時間帯では、自分の友人のうち一部だけが活動をしているため、友人の数は150を超えていても、意外にいつも見かける人の総量は少なかったりします。そして、そうした時間帯にコンスタントに書き込みをするなど、存在をアピールする機会がたまたま多い人に限って、お見かけすることが多くなるわけです。

■みんなが一同に会するのは、リアルのご近所さんと同じで大イベントのとき

さて、こうしたご近所さんの垣根を越えて、みんなが一同に会する場面が1つあります。それは、日本代表のサッカー観戦などに代表される、国民的イベントです。日本代表の試合のように、敢えて「今日は早めに帰宅してでも見たい」「スポーツバーで観る」という風に、多くの人がリアルタイムで楽しむイベントでは、自分のフェースブック、あるいはツイッター上に書き込みが集中するわけです。みなさんも、「ああ、この人もフェースブック上にいたんだなあ・・・」という機会が、こうした代表の試合中継時などにあるのではないでしょうか?

■ビジネスサイドから考える「活動時間ご近所」へのアプローチ方法

では、こうして、ご近所さんの定義が「物理的場所」から「活動時間」へとシフトするときに、サービスを提供する側、告知する側、マーケティングを仕掛ける側としては、どんな方策が取れるでしょうか?

1.勝手に流通していくようなコンテンツを作る
これは口コミ施策などでの王道かと思いますが、話題になる映像やアプリなどを開発し、時間に関わらず、勝手にユーザーがどんどん流通させていってくれるようなインパクトのある内容のコンテンツ制作というのがあるかと思います。例えばですが、下記のようなコンテンツは、まさにそれにあたるのではないでしょうか?

▼レディガガの音楽でダンスしながら安全ベルト着用インストラクションをするCAたちのYouTube⇒この差別化によって興味喚起

http://www.youtube.com/watch?v=Lqh8e2KYIrU

▼仕事上でのタイプを分けてくれる性格診断

http://www.seikakushindan.info/

2.しつこく何度も告知する
これは、私もオルタナブログの告知をするときにいつも悩まされることなのですが、自分の記事について、複数回、時間帯を少しシフトして告知しなおす、という方法は実に効果的です。実感値としては、ターゲットにする時間帯を3倍にすると、アクセス数もおおよそ3倍になる、という感じですかね。ただ、一方でこうした告知頻度の増加は、受けて側に「うざったい」と思われる原因にもなりますし、最悪の場合、そもそも閲覧対象から自分のサービスが外されてしまうケースもあります。

3.時間帯毎にインフルエンサーを探しておく
上記のジレンマを解消するために、これは有効だなあと感じるのが、それぞれの時間帯で元々質の高い情報発信をしている人を数人ずつ把握しておき、そこに対してのみ個別でアプローチをするという方法です。この方法であれば、その人が通常行なっているコミュニケーションの中で自分のコンテンツを流通させてもらえるので、多くの人をうざったがらせることが回避できますし、信頼できる筋からの情報は、受けても高い確率で購読してくれます。

■まずは、自分の活動時間を把握してみよう

いかがでしたでしょうか?
この、ソーシャルメディア上での活動時間によるご近所具合、ご自分での実感値は高いでしょうか。そして、その特性を日々の個人の情報発信や、手がけられているビジネスでのマーケティングなどに反映しているか、とても興味深いところです。

最後に、こうした「自分の活動時間」を判断するための1つの方法として、下記のツールをご紹介したいと思います。

▼Twitter上での書き込み活動を図式化してくれる「whotwi」

http://whotwi.com/

こちらのツールを使うと、自分および他の人のTwitterの書き込み時間を、利用しているデバイスの種類として図式化してくれるため、活動時間の重なり具合を確認することができます。
(※下記の例は、実際の私の活動時間です。早朝はスマホからtwitrockerというアプリを使って、深夜はPCからそれぞれ活動をしているのが、見て取れるかと思います)

Tw1

こちら、フェースブックでは今のところいいツールを発見できていないのですが、もしあれば、ぜひ使ってみたいところです。

今後、この「活動時間によるご近所さん」が、どのように生活やマーケティングに影響を及ぼしていくのか、みなさんはいかがお考えになりますか?

それでは

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