残念なワールドカフェ?
最近、セミナーや勉強会などに参加して、「ワールドカフェで話し合い」という経験をされたという方も、少なくないのではないでしょうか?
この「ワールドカフェ」という方法ですが、15年程前からアメリカにて始まった会議などでの話し合いの手法で、「カフェでの雑談のように、お互いに会話が弾み、様々なアイデアや新たな発見が生み出される」という状況を、カンファレンスでの参加者同士でできるようにするというものです。
日本でも3〜4年ほど前から、人事/人材開発などの分野に始まり、ベンチャーの開催する勉強会や、自治体での話し合いなどで使われる機会が増えてきました。
ですが、この「ワールドカフェ」、どうも最近私の周辺で評判が芳しくないことがしばし。
「なんだか、つまらなかった」
「あまり盛り上がらなかった」
「こういう方法もありだと思うけれど、ちょっとねえ。。。」
といった声を聞くことが、少なくありません。
私としては、これは正直非常に意外、かつ残念なことです。
過去自分が海外のカンファレンスで参加したり、日本で自分自身が企画/運営に関わったワールドカフェでは、いつも参加者同士で熱気に溢れた、楽しい話し合いが繰り広げられるだけに、「ワールドカフェ」がいまいちだった、というのは、ピンとこないのです。
ですが、いろいろと話を聞いていて「なるほど、そりゃそうだ。。。」と納得。
ワールドカフェを開催する上で、およそ一番外してはいけないポイントを、これらの
残念なワールドカフェでは、見事に外していたのです。
そこで、その判定のための簡単なリストを作成してみました。
残念なワールドカフェ:チェックリスト | |
1テーブルあたりの人数が6人以上でしたか? | Yes/No |
「ファシリテータ」「議長」などと呼ばれる「議論のリード役」がそれぞれのテーブルにいましたか? | Yes/No |
テーブル毎に議論のテーマが異なっていましたか? | Yes/No |
「最後にグループ毎に発表をお願いします」といった指示が、ワールドカフェの前にありましたか? | Yes/No |
過去にワールドカフェに参加したことがある、という方は、Yesがいくつあったでしょうか?
結論から言うと、このリストで1つでもYesがついた場合、そのワールドカフェは残念だった可能性が高いと言わざるを得ません。
このあたり、ワールドカフェという方法が、見かけ上
「テーブル毎の島になって分かれて座り、そのテーブルの上に模造紙みたいなものがおいてあり、そのメンバーをちょいちょいとチェンジするもの」
という風に見えるのが原因かと思われます。
ですが、ワールドカフェの本質は「いつもの会議室での会議」とは真逆の「カフェでの活発な会話」にあり、そのためにいくつかの微細で重要な設定があります。
見よう見まねでやってみる、というのはとてもいいことだと思うのですが、どうしても「もっと議論を活性化しよう!」という風に思ってしまうと、元々の「カフェのコンセプト」に対して、結果的に「いつもの会議室での会議」でのテクニックを入れてしまうのが、こうした「残念なワールドカフェ」を生み出してしまう原因かと思います。
このあたり、先ほどのチェックリストの内容を簡単に解説しますと:
ワールドカフェの押さえどころとその理由 | |
1テーブルあたりの人数は、4人が原則 |
このくらいの人数だと、「話す時間」「聞く時間」のバランスが自然に取りやすくなります。 雑談するときも、そんなに大人数が居ると、しゃべりにくくありませんか? |
「ファシリテータ」「議長」などと呼ばれる「議論のリード役」を各テーブルに置かない |
そんな役割の人がいる雑談なんて、うざいですよね? 熱中できる会話や雑談には、「議論のリード役」は不要です。 |
どのテーブルでも、同じテーマについて話をする | テーマが違うテーブルだと、席を移ったときに、すっとその内容に入りにくい。 そのカフェにいる全員が、同じ話題を話しているからこそ、メンバーチェンジが しやすくなります。 |
グループ発表などの指示は、行わない |
そんなことを求められるカフェなんて、いやですよね。。。 この指示は特に「会議」とか「研修」とかを連想させてしまい、自由なカフェの雰囲気を台無しにしてしまう恐れあり。 |
という風になります。
このリストを見ていただくと「でも、それで本当に議論とかができるの?」と、疑問に思われる方も少なくないかと思われます。
これを可能にするため、先ほど触れた「微細な設計」というところが、運営上の肝となるわけです。
こうした点をカバーし、互いの脳みそを刺激し、新たなアイデアや発想を得られるようなワールドカフェを、ぜひとも多くの方に経験し、様々なイベントや日常の場面で活用してもらえるようになればいいなと、切に願う次第です。
もしご興味のある方は、先ほど掲載したリストのポイントを押さえたワールドカフェに、実際に参加してみることをお勧めします。
また、「ワールドカフェをやってみたい」と思われたときには、具体的にどのように進行すればいいかを、詳細にまとめた内容を下記のリンク先に用意していますので、参考にしてみてください。
それでは
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