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ゼンショーの「経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか」発言に対する違和感

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昨日は適切な主張はやはりすべきでは?という趣旨のエントリを書かせてもらいましたが、

警察庁が指導、「すき家」ゼンショーの経営姿勢って記事をご覧になった方も多いのでは?と思いますが、念のためにご紹介しておくと、

1~9月に全国の牛丼チェーンで起きた強盗事件71件のうち、9割にあたる牛丼チェーン「すき家」で強盗事件が多発しているとして、警察庁が、すき家を経営するゼンショーに対し防犯体制の強化を要請したらしいのですが、

その指導について、ゼンショーの広報担当者が

「経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか考えたい」

と発言したらしく、防犯カメラの設置などの対策を進めていると説明した上で、「複数の夜勤がいた店が被害に遭った事件もあり、従業員を増やしたところで強盗は防げない」と同庁の指摘に疑問を投げかけたそうです(苦笑)

ちなみにこのくだりは読売が報じているのですが、毎日のほうはここには全然触れておらず、

ゼンショーを統括するゼンショーホールディングスは「可能な範囲で対策を強化しているが、要請は真摯(しんし)に受け止めたい」と話している。

こういう内容で、見た新聞によってゼンショーに対する印象天と地ほどの違いが生じそうな報道っぷり。

この強盗被害多発については、ゼンショーが人の労働生産性を徹底的に追求し通称“ワンオペ”と呼ばれる管理手法で深夜の1人勤務を行っていることが背景にあるのでは?という指摘が以前からされていて、日経のインタビュー時それに対し小川社長はこんな返事をしています。

すべての時間帯において、売り上げに対応する科学的なシフト、労働投入を組み立てています。ですから売り上げに応じて夜中でも2人オペ、3人オペという店もある。

 強盗防止には力を注いでいます。各都道府県の県警と緊密な協力関係を築き、防犯訓練をやってもらったり、アドバイスを頂いたりしている。即応体制についても、やはり両者で協議をして強めてきている。非常に検挙率が上がってきていると思います。

 それに店舗の様子は本部ですべて画像に撮っていますから、警察にその画像を提供するという仕組みもできている。もちろんさらに改善には力を注ぎます。

 ただ、メディアの責任もあると思う。明らかに報道されると増えてしまう。このことをことさら強調して報道されて、「ああ、この時間なら1人なのか」と誘発している要素があるのではないかと思います。防止という観点も持つことを報道機関にお願いしたい。

このインタビュー記事、

前編が9月21日に公開されているのでそれ以前の取材と考えると、今回会社広報が「経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか考えたい」なんて発言した意図が完全に不明、、、

ちなみにこちらの時事ドットコムの記事では

警察庁は昨年11月、ゼンショーに夜間の勤務体制強化などを要請。しかし、今年6月に調査したところ、被害店舗を含め、ほとんど改善が見られなかったという。

こんな指摘もあって、前述の各都道府県の県警と緊密な協力関係というのがそもそもどうなん?という状態ではあったりします。

自社が防犯カメラで撮影しているから問題ないという主張について、自分としてはずいぶん独善的だ、、、という印象を感じてしまうのですが、小川社長いわく東大全共闘での経験を踏まえ、「最初から民主主義では成長できない」と語っており、

完全に出来上がった会社と比べたら「何だよ、あの会社。ワンマンで力ずくだ」と言われてしまうかもしれないが、それは違うと思う。企業には色々なステージがある。

 ただし、自分は民主主義教育を受けてきた人間でもあるし、東大全共闘の名においても、いつまでも専制君主でやっていくつもりはなかった。専制君主からスタートして次に立憲君主制、それから憲法を定め、もう少し生産力が発展したら民主主義というように考えていました。

 実際には民主主義というのは生易しいものではない。“人民の人民による人民のため”ということは、労働者が大変な犠牲を払わなければならないし、一生懸命汗をかかなければならない。僕も港湾労働者として働いていときは2回入院したし、死に損なったことが何度もあった。そして何より個人が責任を負わなければならない。そうでなければ民主主義ではない。だから部下には「本当にいいのか、大変よ」と、こう話しました。

専制君主からスタートした会社が今や日本の外食市場トップに登りつめた段階であり、これが小川社長の考える民主化ステップのどこに位置しているのか外部からはわかりませんが、

強盗などの事件多発することで近隣の治安悪化することについての配慮を少しでも考えれば、地域社会の安全があればこその経済活動~店舗経営も可能になるという考え方も成り立つはずで、

主張することの大切さは当然認めつつも、業界トップである会社の広報が「経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか考えたい」と発言については違和感というか、その発言の必要性の部分に疑問を感じてしまったのでした。

追記

この報道に対してゼンショー側が完全否定のコメントを発表しており、両者の意見を取り上げるため、こちらのエントリもアップしましたので併せてご覧いただければと思います。

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