O'Reillyの電子書籍流通への取り組みが色々参考になる件
櫻吉さんが「オライリー本をiPad(ePub形式)で読む」というエントリをアップされてるのを発見し、自分のブログやら、永井さんの書籍をePub化している自分としては、これはやってみるしかないじゃん!ってことで予定を早めて帰宅して、ごにょごにょと作業して何とかエントリ書けるとこまでたどり着きましたw
わたしの場合ここ最近の興味はどうやってコンテンツホルダーの方々に電子書籍流通を説明・解説しながら、ビジネスとしてのお手伝いできる領域があればそこは仕事としてお手伝いさせていただきたい!というスタンスなので、最初の興味はePubへの変換手法ではあったのですが、O'Reillyのサイトなどを見ているうちに、電子書籍流通への取り組みはやはり参考になりました。
日本の出版・印刷関係の方とこの手の話をしているとどうしても組版のところで話が一旦止まってしまうのですが、今日ご紹介する事例には、そのデバイスによる表示の違いやら、細か不具合について、やはりまずは情報を流通させてしまうという事をO'Reillyは判断したのだろうと推測できるところが多数あります。
まずO'Reilly Ebooksのラインアップとしては、
- Mobi
- APK
- ePub
このラインナップが、それぞれのデバイス用に準備されています。
発行済みの書籍一覧はこちらで参照可能になっており、eマークをクリックすると各種電子書籍ファイルと紙媒体を含めた購入ページに遷移、OnlineというカテゴリのSafariというボタンをクリックするとSafari Books OnlineというGoogle Booksにどことなく似ている電子書籍閲覧サイトに接続、一部無料のコンテンツと、全体購入だけでなく、一部購入と閲覧が可能になるような仕組みでサービス提供されています。またExamples配下の、圧縮ファイルアイコンは見ての通りで、書籍で使用されている参考ソースがダウンロード可能になっています。
それでは、EBookのボタンを押すとどうなるか見てみましょう。わたしの仕事領域ですとO'Reilly本にお世話になるというとこんな分野になります。
う~む、確かにEbook単体で見たときの価格設定は確かにお得感ほぼなし…って感じですが、PDFだけ販売している書籍は$7.99だったり、Ebook $9.99(Mobi, PDF, ePub)というのもあったりするので、ここは個別フォーマットへの変換コストをそれぞれに加算しているようです。
- Print $39.99
- Print+Ebook $43.99
- Ebook $31.99 (Mobi, PDF, ePub)
単純な金額比較ということであれば、AppStoreで600円で購入すれば2500円近い節約になりますが、技術参考書をこの状態で見て果たして、金額節約できたことだけ喜んでいていいのか?と考えるとちと違う感じしますよね。
iPhoneアプリとしてリリースはされていますが、この画面サイズで1000頁を越える情報を閲覧して活用するのは中々厳しい感じがします。
そういう意味でも、櫻吉さんが今回紹介してくれた、AppStoreで購入したO'Reilly本をePub化、はたまたもう一手間をかけて、mobiファイル作成までの道筋を把握することができたので、さまざまなデバイスに対してどう個別形式の電子書籍ファイルを作ればよいのだろ…と悩んでいた方々にはかなり参考になる情報をもらいました。
残念ながら現時点でKindleでどこまでの再現性あるのかを自分自身では試せていないのですが、まず日本でこの手の提案するときは、やたらと重箱の隅をつつく傾向あり、普段は中身だ…という話しているのに、こういう時だけ妙にデバイス間の表示の違いや崩れを批判しまくるタイプの人が居たりするので、案件を実現させるためには、まず今回ご紹介しているO'Reilly本の紙を含む、デバイスによる違い・不具合のレベルを許容し、まずは情報を世界に流通させることが重要だ!と考える会社さんと仕事するのが大変重要ではないかと思うのでした。
データの購入については何ら問題ないと思うので、その辺の手順は割愛しつつ、エントリで示されている方法を実際に試していくと、無事ePub化ができ「Sigil」のほうでもこのようにファイルを開くこともできます。
iTunesのブックに登録して、iPadのライブラリに無事登録完了!
ちなみに、iPadとiPhone、600円で購入したiPhoneアプリで同一ページを見た場合を比較してみましょう。
まずiPadで文章とテーブルタグを使用しているページの表示上の変化を見てみます。
ページ横幅が狭いiPhoneのiBookでは当然表組みがかなり厳しい状態になってしまいますね
アプリ版のほうも当然ながら読み込んでいるソースは同じなので、似たような状態に陥ります。ここでは、このような同一ソースでも
<thead>
<tr>
<th class="sgc-2">IA concept</th>
<th class="sgc-2">Books</th>
<th class="sgc-3">Web sites</th>
</tr>
</thead>
レンダリング結果の違いがこのくらいあるのね…という点も見ていただくと良いかもしれません。
次は、画像表示系を確認してみます。まずiPad版iBooks
iPhone版iBooks
iPhoneアプリ版
画像については、表示サイズに合わせて自動で調整してくれるので問題は起きていません。
それでは最後に、本日紹介したO'Reillyの電子書籍は、iTunesですとアプリのみの販売。なのでiBooksで検索してもこんな結果になる訳ですが、この状態はほとんど多くの出版社も同じ状態、
では自社コンテンツを流通させるための準備がこんなWebサービスとして準備されているか?というとこれまた、まだまだ…という会社さんがほどんどかと思います。
冒頭書いたように、これに似たシステムとしてはGoogleBooksが考えられ、これを利用するならシステム投資のコストは必要ありませんから参入障壁はかなり低くなりますね。
ただ、GoogleBooks最終的にはePubなんだけど、書籍データを著者が送る際には確かPDF形式か実際の本を送るというような段取りだったと思うので、Amazon Google Appleの3つでコンテンツ流通させる場合のアセット管理については、今後様々な方法や効率的な手法が示されてくると思いますが現在は個々に頭を悩ませるしかない時期なんでしょうね(苦笑)
今日知ったことを整理していくと、多分レイアウトへのこだわりという点で課題は残りつつも、横書きテキストのコンテンツであれば、かなりやれる事があるような気がしていて、それを試すにはやっぱInDesign CS5から一括変換できる制作手法で立ち回るのが一番効率良いのかな~とこれから思案しつつ、書かなくてはいけない電子書籍関係の企画書の筆が進まず困っていたのですが、このエントリを書いたことで何とか形に出来そうですw
参考にさせていただいたブログ記事
- オライリー本をiPad(ePub形式)で読む:少しでもパラノイアになってみる:ITmedia オルタナティブ・ブログ
- たった600円でオライリー本をiPadやKindleで読む。すてき。 - このブログは証明できない。
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佐々木 康彦 Twitterアカウントはこちら。 http://twitter.com/yasusasaki
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