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仮設住宅になかったもの・・・

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私にはとても進展したように見ない風景がまだまだ広がっています。しかし、岩手県からは自衛隊が撤退し、災害ボランティアセンターもいくつか閉鎖され、避難所も閉鎖されつつあります。
確かに環境や衛生、プライバシーの点で課題がある避難所を閉鎖し、自立を促す仮設住宅への転居は進展なのでしょう。しかし、自立を促す仮設住宅の方々へのサポートこそが必要なのだと感じます。仮設住宅に転居したことにより、多くのサポートを受けられなくなる可能性も否定できません。しかも、一定期間避難所という同じ環境下で過ごしてきた方々とのコミュニティがまた分断されてしまうのです。

仮設住宅こそが新しい自立の出発点だとすると、よりコミュニティ、サポート、バックアップがしっかりしている必要性を感じます。先日、その仮設住宅の運営を行う方々とお会いし、実際に岩手県大槌町に建てられた大規模な仮設住宅を拝見しました。何かが足りないのです。避難所でも災害ボランティアセンターでも、訴えてきた「何か」がここでも足りないのです。数百世帯が生活できる仮設住宅の中央部分には集会場や公園、マーケットなども存在し、要介護の高齢者向けの設備や運営を行うセンターハウスも存在していますが、「何か」が足りないのです。

大槌町の仮設住宅にあるセンターハウスの 360度ビュー
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大槌町の仮設住宅にあるセンターハウス周辺の 360度ビュー
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それは、インターネット接続です。電気も来ています、水道も来ています、ガスも来ています、地上波デジタルテレビアンテナも来ています。でも、インターネットは来ていないのです。

電気も水道もガスも生活をするには必要です。テレビ放送を見ることも必要だと感じます。でも、それらはすべて、「受ける」ためのもの、双方向や情報発信をリアルタイムで行うものではありません。仮設住宅こそが、コミュニティを求めているのです。離れたところにいる人だけがそう思うのだろう・・・とか、IT に詳しい人だけがそう思うのだろう・・・。と感じるかも知れませんが、IT で離れた人たちから応援の声や、応援の力を届けることができました。インターネット接続環境があれば。

仮設住宅に巡回バスはいつくるのか?、集会場でどんな催し物があるのか?、マーケットのオープン時間は?、往診するお医者さんの予定は?、被災地の様子は?

インターネット接続環境さえ整っていれば、私たちはそれらを満足に届ける自信があります。インターネット接続環境さえ整っていれば、仮設住宅の方々に満足頂けるサービスを探し届ける自信があります。インターネット接続環境さえ整っていれば、仮設住宅に入居されている方々のコミュニケーションを支えることが出来ます、コミュニティが形成され、安全で楽しい社会環境を応援することができます。

でも、「何か」つまり「インターネット接続環境」が足りないのです。私が見てきた仮設住宅、仮設住宅の運営センター設備のすべてにインターネット接続環境が存在していないのです。避難所にも無く、災害ボランティアセンターにも無かったためにとても苦労したはずの、インターネット接続環境がここでも準備されていないのです。

なぜなのでしょうか?

●高齢者が多いから?
 高齢者の方々こそが双方向が必要なのではないでしょうか
●高齢者には難しいから?
 あとからインターネット接続環境を準備し接続ほうがもっと難しいです
●お金がかかるから?
 今やっておけばもっとも低コストです。情報化/IT化の予算化をすべきです
●必要がないから?
 それは生きるためではなく、自立し豊かになるために必要なのです
 被災した方々にはそうあってほしいと願います
●接続機器がないから?
 今時ゲーム機、テレビ、すべてインターネット接続が可能で付加価値サービスがあります

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