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事業グローバル化における戦略と人はどうあるべきか? そのヒントとなるべき考察と事例集

未来志向: 来るべき未来へ備える

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"Where observation is concerned, chance favors only the prepared mind."(観測科学の関わるところ、チャンスは準備する者のみに訪れる。”(生物化学者、ルイ・パストゥール)

フランスの生物化学者、ルイ・パストゥールの未来を表した言葉です。潜在機会をつかむためには、常日頃から必要なスキルや能力を磨き、備えていなければ、チャンスがあっても活かすことはできません。これは生物学だけはなく、事業環境にも当てはまる言葉です。

事実、未来を占うことは不可能です。未来学者、調査会社、シンクタンクなど、様々な機関が将来予測を発表しますが、不幸にも安定している環境では、将来予測が良く当たります。問題は、安定していない環境では、予測はあてにならないことです。そして安定している産業環境は、ほとんど見当たらないのです。

” 準備する者”になるには、どのような未来が考えられるのか、将来のシュミレーションを行うことです。実際の事業計画では、Wargames(ウォー・ゲーム)、シナリオプランニング、そしてWhat if Question(もしXXしたらどうなるか、という問いかけ)などと呼ばれています。一方シナリオプラニングは、不確実性に焦点をあて、起こりうるいくつかのナリオにわけて将来を考え、他方ウォー・ゲームでは、競合他社の視点から、起こりうる競合環境を考えます。方法論は異なれど核心は、いかにして起こるうる未来に備えるかが焦点です。

1970 年以降、石油会社のRoyal Dutch Shellは、シナリオプラニングを用いて、起こりうる石油危機に備えることで、危機を乗り越えました。石油タンカーや西欧における石油科学製品の供給過剰をシナリオとして取り入れ、自社の戦略オプションを考察しました。結果、石油危機の際、新規設備への投資を抑えることで、他社と比較して突出した業績を残しました。

昨今のグローバル化やネット技術の拡大により、安定している事業環境はなく、ダイナミックな変化を日々遂げています。ルイ・パストゥールの”準備する者”たるのが、益々重要になるだけではなく、環境変化に適応する鍵でしょう。

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