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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

その意思決定は本当にデータドリブン?~データ活用できない会社の実態とは?

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

私の文章はどうでもいいことが多いのが特徴で、そこに妙味があると自分では思うのですが、世の人は私ほど暇ではないことに思い当たりました。それで太字だけ読めば何となく全体像が掴めるようにしましたので、忙しい方は太字だけお読みください。

ちなみに私は「動画を倍速で見たっていいじゃない派」です。

全然関係ないですが、無名人でも面白いエッセイを書く方法

こちらとは全然関係のないお話なのですが、最近noteでエッセイを書き始めました。エッセイというのは、有名人が書くからこそ猫に引っかかれたなんて話も趣深く、読者が付いたりもするのはみなさまご存知の通りです。

ですが私のような無名人でも、読まれるエッセイを書けると町田康先生が教えてくれたのです。

これは何かといったら、ひと言で言えるんです。これはですね、「本当のことを書くこと」なんです。本当の気持ちを、そのときどきの本当の気持ちを書くことなんです。
(出典:『私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?』(NHK出版新書)、町田康)

こうすれば、無名人が特殊人になり、エッセイが面白くなるとおっしゃるんですね。

ただそのためには、

文章を書くときのカッコつけの自意識を外すことをしなければならない。
(出典:前掲書)

ともおっしゃるんです。

これは難しいです。要するに「恥を棄てろ」と言っているのですから。

とはいうものの、これはエッセイや小説の話でして、オルタナティブ・ブログや普段のIT系のお仕事で自意識を外して書いていたら大変なことになります。ましてや書籍のゴーストライティングなら著者さまからクレームが来るでしょうし、その前に編集者からお目玉を食らうことになるでしょう。

ただこのブログでは、せめて<カッコつけ>はやめておこうと思います。

現在「恥を棄てる」練習というか訓練をnoteでしておりますので、興味のある方はこのページの下の方でリンクしていますので、お読みいただければと。ああ、でも正直読まれたくないですね・・・(^_^;)

見つける力も解く力もあるのにそもそも施策にならない会社が多い

ということで前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

これは先日登場したデータ分析会社のデータ分析では有数のコンサルタントA氏(DXでもIT化でもその他何でも日本の組織に足りない力は何か?)ではなく、その上司のB氏から伺った話です。

B氏は、「データ分析は行われていて、現場ではそれが役に立つと思っている人も出てきているのだけど、肝心の経営の意志決定に反映されない会社も多い」とおっしゃるんですね。

先日の「3つの力」で言えば、「課題を解く力」だけでなく「課題を見つける力」も力もあるのですが、肝心の「施策を推進する力」がないというか、そもそも「施策」にならない会社が多いんだということです。

なぜでしょうか?

KKDの裏付けのためにデータ分析をしている

ここからはデータ分析あるある、というより会社の意志決定あるあるになりますが・・・

現場の担当者が、この課題を解くことでビジネス価値が生まれるはずだと思い、一生懸命分析したら良い施策ができたので上申したとします。ところが、その案とはまったく違う(ときには真逆な)部長の案が通るなんてことが頻発するらしいのです。

しかも部長の案は、いわゆるKKD(勘と経験と度胸)に基づくものだったりします。

そこまでならまだしも、部長が「俺の案でうまくかどうか、もう一度分析してみろ」などと言ったりする始末。結論ありきのデータ分析なんていくらでもできますから、担当者は泣く泣くレポートを出し直します。

こんなことが続いたら、誰も上申しなくなります。根回しをして、部長の腹案を聴きだして、それに合うような分析レポートを出すようになるか、転職しますよね。

でもこういう会社に限って「うちはデータドリブン経営に取り組んでいる」と言ったりするんですよね。

KKDはわかりやすく分析結果は意外すぎる

何でこんなことがまかり通るかというと、もちろん権力関係もあります。とはいえ、そもそもデータ分析をやろうなんて会社は危機意識もあるはずなんですね。データに基づいた意志決定で、競争力を高めたいなんてことを思っているはず。

それなのになぜ?と思うのですが、それはKKDに基づいた案のほうがわかりやすいからです。アルゴリズムにもよりますが、特にディープラーニングで出てきた案なんて、Alpha GOの妙手みたいなもので、人間にはなかなか思い付きません。意外すぎるわけです。意外すぎることは理解できないのが普通の人間というものです。

ということでAIの案よりも部長の案が経営者には受け入れやすく、結果としてそちらが通るということなのです。

とはいえ部長も自分が正しいという確信がほしいので、もう1回分析をやり直せと命じるんです。失敗したときはAIのせいにできますしね。

でもこういう会社では、データ分析だけでないですね、部長のKKD案のほうが通るのは。悔しい思いをしている人には転職をオススメします。見つける力と解く力があれば引く手あまたですから。

データドリブンでやる業務からは人間を外す

ではどうすればいいのか。B氏はすごく大胆な提言をされました。

会社の全ての業務をデータドリブンで進めるのは難しいけど、たとえば受発注業務をデータドリブンでやると決めたら、人間の担当者を全部外すぐらいのことをしないとデータドリブンは進まない。

実際問題として、やっぱりAIも間違えるでしょうし、ITシステムですから障害で停止することもあるでしょう。だから人間がフォローできる仕組みは必要だと思うのですが、しかしこれぐらい大胆な発想をしていかないと、日本企業はなかなか変わらないのかもしれないなと感じた次第です。

私自身は会社員を辞め、企業に常駐するコンサルタントも辞めてから長いので、本当のことはわかりません。ですが、日本有数の大企業を何社もクライアントに持っていて(その中にはもちろんちゃんとやっている会社も多数あります)、そのグループ会社や関連会社にも詳しいB氏がおっしゃるのだから、たぶん実態はそんな感じなんだろうなと想像します。

※本当に太字だけ読んでもだいたいわかりますね(笑) しかも10倍速で読めます。


最新のIT動向やITのビジネスへの応用について、経営者などビジネスパーソンに分かりやすく伝えることができるライターです。経営レベルでのIT活用について書ける数少ないライターとお客様から評価されています。

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▼トランスジェンダーとしてエッセイを書いています。

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