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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「ノートを取らないんですよね」と嘆く前にすべきこと。

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10月からずーっと各社の「OJT担当者向けフォローアップ研修」を担当しています。

IT業界のクライアントが多いので、配属が6月から8月で、そこからOJTスタート。10月11月12月といえば、OJTがスタートして3か月から半年経過した時期ということになります。

OJTフォローアップ研修では、いろんな勉強をしますが、その中に「ここまでのふりかえり」というセッションがあります。

この「ここまでのふりかえり」でよく挙がるのが、

「新入社員に指導しているとき、ノート取らないんですよね」

という嘆きです。

「ノート取らないんですよね」

に次いで多いのが、

「メモは取るんだけど、そのメモをどっかにやっちゃうんだよね」

もあります。

だいたいの場合は、こんな風になるみたいです。

●先輩に教えてもらう
●話を聴きながら、手元にあった用紙にメモする(たとえば、会議について話している場合は、議事録の裏面にメモを取る。作業指示を受ける場合は、手元にあった付箋紙にメモする、など)
●その時はそのメモを使うが、しばらくするとメモ自体がどこかに行ってしまう
●次の機会が訪れた時、「メモ自体」を紛失しているので、また先輩に聴きに行く

・・・。

そして、先輩は、「おいっ!」と突っ込む、という・・・。

「メモを取らないんですよね」と嘆く前に、「メモを取らないなら話さない!教えなーい!」と言えばいいわけですし、

どう考えても、「そこらへんの紙」に書こうとしていたら、「そこらへんの紙に書くのだったら、話さなーい!」と言っちゃえばいいと思うのです。

でも、そう私がコメントすると、

「でもぉ、いっぺんに全部覚えられるタイプなのかもしれないし。 その人(新入社員)なりの”やり方”というのもあるだろうし、あまり、”やり方”まで言われたら面白くないかな、やる気なくすかな、と思ってしまうんです」

と遠慮がちなOJT担当者の声もちらほら。

「びしっ! ばしっ!」

と教育できるのは、最初の1年だけです。(その後も指導はできますが、とにかく徹底的に指導するのは、最初の1年でしょう)

先輩はもっと毅然としてよいのです。

「手ぶらで来たから、話さない」
「メモ持ってこないなら、説明しない」

・・・人に何かを教わるのに、手ぶらとか、そこらへんの紙に書くなんてだいたい失礼です。

お客様と打ち合わせしている際も何もメモを取らなかったら、お客様が「この人、何もメモしていないけど、全部覚えているのだろうか、間違えないのだろうか」と不審に思うに違いありません。

新入社員に施されることというのは、まずは、「組織社会化」です。その組織の一員としてふさわしい知識、スキル、行動様式などを身につけることを「組織社会化」と言います。

「ノート取らないんですよねぇ」と苦笑いしたり、嘆いたりしつつも、「自分のやり方があるのかなぁ」と暖かく見守るよりも、「ノートをとりなさい」「手ぶらで人に教えてもらいにくるな」「あちこちに書き散らさず、ノートを固定しては?」ときちんと指導するのが、本当の「やさしさ」なんじゃないかなぁと思うのであります。

だって、「ノート取らない」ことが問題なのは、「同じ失敗を繰り返す」とか「同じことを何度も質問に来る」からであって、そこを改善するためには、OJT担当者も上司も踏み込んでいいにn決まっているじゃないですか。

ある本に書いてありました。

子どもを育てる時に大事なことは、「個性化」よりまずは「社会化」だと。

新入社員も同じです。「個性化」よりまずは、「社会化」です。

基本ができていないと、結局、苦労するのは、本人なのですから。

「愛はあるけど、厳しいよ」ってのが一番いいのではないでしょうか。


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