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PMシンポジウム2013:基調講演①佐々木かをりさん「ダイバーシティが経済成長のキーワード」

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PMAJ(日本プロジェクトマネジメント協会)主催「PMシンポジウム2013」が2013年11月21に日(木)~22日(金)に掛けて開催されました。例年は9月初旬開催ですが、今年だけ11月に。(会場のタワーホール船堀の大改装の関係だそうです。来年2014年は9月に戻ります)

基調講演は、米倉誠一郎氏と佐々木かをり氏。どちらも大変刺激的で興味深いお話でした。この2本を聴くだけでも十分お得なイベントだったなあと思いました。

今日は、まず佐々木かをりさんの「ダイバーシティ」関するお話を自分なりに振り返ってみます。

基調講演なので、当然のごとくレジュメはなく、スクリーンに投影されている資料とお話しを聴きながらのメモなので、正確な再現にならないかも知れません。その点はあしからずご了承くださいませ。

佐々木さんは、「ダイバーシティ」について、こんな風におっしゃいました。

以下、印象に残ったフレーズを箇条書きで。

●ダイバーシティとは、多様性と訳されるが、中でも「視点」の多様性が大事

●よく、「女性が何割」とか「多国籍で」とか言うけれど、それ自体が大切なのではなく、以下に議論の中に「多様な視点」が入るか

●ダイバーシティの目指すことは、一人ひとりが豊かになること、でもある

●ダイバーシティというのは、イノベーションにも効果があり、結果的には、企業経営にも効果がある

●組織力が高いというのはどういうことか。元氣な個がたくさんいることである

●誰でもできる、イマからできるダイバーシティのための工夫やコツはたとえば・・・

1) I Statement(わたくし文)で話すこと

・私はこう思う。私はこう考える。そういう表現を使う
・一般論ではなく、自分の考えを表明すること

2) リーダーシップとフォロワーシップを実践する

・決定までは様々な視点での議論があるべきだが、リーダーが決めたことについては、全員が一丸となってフォローすること

3)自分で自分を思い通りに動かす時間管理をする

・自分が期待している行動と実際の行動を合わせること
・WLB(ワークライフバランス)というのは本来「何をやっていても(仕事でもプライベートでも)最高の成果を出すこと」を指す

4)ネットワーク

・ネットをワークさせること。つまり、ネットをワーク(機能)させること
・名刺交換をしただけでは、ネットワークではなく、ネットメイク
・ネットをワーク(機能)させるには、相手の役に立つことをすること
・この時、思考や行動の多様性を高めてくれる仲間を持つこと

この中で特に、「なるほど!」と思ったのは、「I Statementで話す」でした。

Assertion(アサーション:自己表現)をするために、「私」を主語に話そう、というのはよく言われることですが、Diversityの観点でI Statementというのは考えたことがなかったので目からウロコでした。

会議室の中で黙っているのでもなく、
会議室の中で「皆もそう思うはずだ」とか「一般に・・・」と表現をぼやかすのでもなく、
会議室を出てから、何か文句言ったり、反論したりするのでもなく、
会議室の中で、自分の考えを堂々と意思表示する

自分と異なる意見を排除したり、バカにしたりするのでもなく、
あくまでも、
「私はこう思う」
と考えを表明する。

これが、Diversityの第一歩だというのです。

そう言われて思い出すのは、ワークショップなどを開催すると、たまに「われわれ管理職というのは・・・」と一般論に置き換えて発言する方がいること。

「私は管理職としてこう思う」ではなく、
「われわれ管理職というのは・・・」となぜかボヤかす。

「われわれ、って誰を指していますか?」と尋ねても、あまり答えははっきりしない。

「私は」を主語に話すというのは、日本人が慣れていない行為の一つかも知れません。

ふと思い出したエピソードがあります。

高等難民弁務官でいらした緒方貞子さんと同席したことがある知人が話してくれたこと。

外国人との会食の席で、ある男性が何か意見を述べた。

それに対して緒方さんが、

”Oh, you think so? I think・・・”

と応じたというのです。

”You are wrong!”

でも、

”I don't think so."

でもなく、

”You think so? I think・・・”

まさに、佐々木さんがおっしゃる”I Statement”の実践です。

緒方さんのエピソードを聴いたのはもう15年以上前の話ですが、こうやって、二つのことが私の頭の中で結びつきました。

とても刺激的な講演でした。

米倉誠一郎氏の基調講演もパワフルで面白かったので、また別途。(といっても、あまりにオモシロくて、メモをまったく残しておらず、再現はできそうもないため感想を書こうかと思っています。)


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