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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「伸びしろ」があるかどうか

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先日、あるシニアマネージャからこんな話をお聴きしました。

「社長に言われたんだけども、”採用する際”は、どれほど前職で実績があったか、などは気にしていなくて、それよりも”Trainable”かどうかだけを見ているのだ、と。 前職の華々しい経歴、実績なんかよりも、これからこの会社で新しい製品、サービスや、あるいは、やり方を素直に学べるかどうか、成長できるかどうかのほうに重点を置いて採用しているそうだ。なるほどなーと思った」

ふむ。

キャリア採用の場合、「経験者であること」は求められるでしょうが、その時、前職の華々しい実績はどうでもよい(というのは言い過ぎかもですが)、それより、これから伸びる、これからも成長できるかどうかが大事だ、というのですね。

trainableというのは、ほかにも言い方があるかもしれませんが、gworlableとか? 
まあ、とにかく、「伸びしろ」があるかどうか。それは能力的なことだけではなく、マインドとしても。「学ぼうとする気持ち」「素直に聞いてみようと思う態度」など。

そういえば、別の企業で経営者からお聞きした話。

「研修をするでしょう? で、その研修で、すごく伸びる人と伸びない人がいる。たとえば、マネジメントスキルでもリーダーシップでもなんでもいいんだけど、”全部、知っている””何度も聞いた””だから、学ぶことはなかった”と言ってしまう人と、”これまでも何度もこの話は聞いたけれど、でも、新しく●●について考えた””深く内省した”とどのような内容でも何かを考え、学び取る人といて、後者はやはり、研修内容を現場でも生かすんですよね。でも、前者は、アンケートにも”つまらなかった””自分はすでにやっていることばかりだった”などと書いてくる。その割に、実際には、部下からはそう思われてなかったり、私の目から見ても、まったく成長してない感じがしたりするんです。研修を”知識をもらうもの”と思っていると、新しい情報がなければ”学ぶことはなかった”となるのだろうけど、新しい情報があろうがなかろうが、”自分で考え、振り返り、今後どうするか”という”内省し学ぶチャンス”ととらえたら、どのような機会であっても、吸収するもんなんですよねぇ」

これもなるほど、です。

よく、学ぶ、ということについては、

●Learn(学ぶ)
●Un-Learn(いったん捨てる、学習棄却)
●Re-Learn(学びなおす)

の3つがある、と言われます。

「伸びしろ」がない人というのは、
●Learn
ここでおしまい、なんでしょう。

「伸びしろ」がある人は、
●Learn
●Un-Learn
●Re-Learn
が機能する。

30歳を超えたくらいから、だんだんと「Un-Learn」が難しくなりますね。私もそうです。

「こういうやり方でずっと来たじゃないか」
とか
「これでいいはずだ」
とか。 頑固にもなる。 

でも、そこをいったん冷静に考え、「なるほど、そういう考えもあるのか」「そういうやり方もあるのだなあ」とまずは耳を傾け、”感心”し、そこから、より深く考え直し、「こういう方法で自分も取り入れられるかも」と検討する、なんてことができるとまた新しい何かを得るのだろうと思います。

「伸びしろ」。

これって、年齢に関係なくいつまでも持っていたいものですね。

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6月初旬に新刊本を出版いたします。私としては、3年ぶり、5冊目の本。

マネージャやリーダー、先輩のための、若手育成の考え方やノウハウをてんこ盛りにし、仕上げました。

昨秋、この話が持ち上がり、出版社&編集者と何度も話し合いをし、1月から実作業を始めました。GW明けからは土日と夜に怒涛の作業がありましたが、昨日5月29日、無事校了いたしました。何はともあれ、あとは印刷されて、店頭に並ぶのを待つばかりです。


お楽しみに♪


果報は寝て待て。ぐぅーぐぅー・・・。

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