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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

多様性を楽しむ力こそが必要なのだろう・・・。研修のグルーピングをどうするかという議論から。

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ある研修の打ち合わせで、当日のグルーピングをどうしよう?という話になりました。

「年次が離れている人、部署もバラバラ・・。20年目の人と5年目の人が同じグループになると、遠慮して話せないなんてことにならないかな?」
「あるいは、20年目のベテランがいるんだから、全部やってくれるだろうと5年目がお任せモードになるかも知れないし」
「うーん、だったら、ベテランチーム、若手チームと似た属性でまとめた方がいいかしら?」

・・・・。

一瞬、「そうですね」と言いそうになり、待てよ!と自分自身に問いかけました。

「待てよ。それがリアルワールドではないのか?」

20年目の人に遠慮して何か言えない5年目。あるいは、5年目が20年目に頼り切って主体的に動かない。もし、研修でそういうことが起こるとしたら、それは、現実世界でも起こることなのではないか?

研修で、たとえば、リーダーシップとかコミュニケーションとかファシリテーションとか何かスキルを学ぶ時、机上で理論だけ学習してもしょうがないわけですね。実務にうまく結びつかないと。

グループで演習するような場面でも、実務と似た環境にしてしまっていいのではないだろうか。

教室という限られた環境で、本音が言えないとか頼り切るとか、それが克服できないとしたら、リアルワールドだったらもっと克服できないのではないか。

だから、結局、こうしました。

「何もかもまぜこぜでチーム編成しましょう」

その時、もし、「年長者と同じチームでは本音が言えない」というような発言が出たら、「それこそが日常的にみなさんが対峙しなければならない環境なのでは。そんな時どうすればよいと思いますか?」と講師から投げかけてみることに。

よく研修のアンケートで、
「部署の違う人がいたので、話しづらかった」
「年次の異なる人と同じチームだったので、盛り上がらなかった」
といったことが記載されるケースがあり、主催者側の人事部の方と提供側の私たちで、「うーん、次回からはどうしましょうか?」と議論するのですが、よく考えてみれば、そういう状態こそ乗り越えるべきことであって、「じゃあ、同じ年次でグループ揃えましょう」というのは、学習効果を下げることはないまでも、もっと上がるはずの学習効果というか、考えたり苦労したり気づいてもらうチャンスを減らしてしまっていたのかも知れません。

うまく動機づけ、意識づけ、意図の説明、あるいは、気づきの促進が図れれば、
「部署の違う人といっしょにワークできたので、意外な気づきがあった」
「年次の異なる人と同じチームだったので、視点の違いが勉強になった」
という感想を生み出すのではないかと思います。

部署の違い、年次の違いという程度で「やりづらい」なんて言っていたら、世界の様々な人と協働することなどもっと難しい。

多様性を楽しむこと。

こういう風にマインドを変えていくことが必要なんだろうなあ、と思った出来事でした。

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