姉さん事件です!上司や先輩に向かって「上から目線で言われるのは嫌いだ」と言ってのける新入社員
ダイヤモンドオンラインの「イマドキ職場のギャップ解消法」というコラムを読んで、「よもや、そんな若手はおるまい!」と想像できなかったのですが、いました、いました。びっくりしました。
新入社員研修が長くなると、学生気分に戻り、研修中に流れる空気もだらけた感じになることはよくあることです。だから、企業の研修担当の方も、私たちのような研修を提供するベンダーも「中だるみしないための工夫」をあれこれ盛り込みます。
とはいえ、やはり、人間、同じ環境に缶詰になっていると「仕事をしている」感覚はそうそう醸成できず、「学校に通っている」感覚になってしまう。これは致し方ない。
ある企業で、やはり、だれた空気を一喝しようと人事のご担当者が全員に向けて、お説教というか指摘というか苦言というか、を伝えたそうです。研修の中で。
「少し緊張感が緩んでいるようなので、気を引き締めるように」といったことをおっしゃったのでしょう。
すると、そのお説教を、身体を捻じ曲げて、明らかにふて腐れた様子で聴いている新入社員がいて、これはいかんと、後刻、今度はその彼を呼び出して、話をしたと言います。
「さっき、こちらが注意している時の、こんな感じの(真似してみせる)座り方とか表情が気になったんだけど、あの時、どういう気持ちで聴いていたのかな?」
彼は、体勢を直さず、
「ボク、上から目線で言われるのって、嫌いなんですよね」
と返答したんだとか。
部長は、この話を笑いながら話してくださいました。
「少しくらい問題児がいたほうが、ヤリガイがあるので、いいんです。」と。
いるんですねぇ、こういう人。
ここ数年、そういう「困ったさん」に出くわすことが激減したので、冒頭のコラムを読んだ時、にわかに信じられなかったのですが。
それにしても、すごいものだなー。
親ほどの世代の上司に「上から目線で言われるのは嫌だ」と言ってのけてしまう新入社員。
この人が、その後、どういう風に育っていくのか楽しみです。
もしかすると、将来大化けするかも知れませんし。
こういう例を書くと「ゆとり世代だからね」とすぐ言う方が出てくるのですが、どの世代にも問題児はいたし、最近の若手は、なかなか優秀だと思っているので、この例はあくまでも特異な事例と思っています。とはいえ、感性自体は今風なのかな、と。そのことは、以下に書きます。
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内田樹さんの『下流志向-学ばない子どもたち働かない若者たち-』(講談社、2007)に、学校でだらけて授業を受ける子供たちのことに触れた箇所があります。
読んだのが2年ほど前なので正確に再現できないのですが、こんな感じのことが述べられていました。
「普通に座っているほうがよほど身体的には楽なのに、あれほど崩れ落ちんような体勢で授業を聴くなんて、不自然にも思う。 学校の教育(授業)をサービスと思い、そのサービスを享受するために、自分の受給できるものと自分の態度のバランスを自分なりにとろうとしているのではないか。学校教育を消費者として消費しようとしているのでは?」・・・(再現が下手過ぎて何を言っているのかわからないかも、ですが、こんな感じのことがあったのです)
簡単に言いますと、「学校の授業を受けること」は、自分に必要だから学ぶとか自分のために学ぶとかじゃなくて、「学校の授業」というサービスを受給するのが私であって、その私は、教授できるサービスレベルに見合った態度を取らないと「損する」という風に解釈しているのではないか、ってなことですね。(いや、簡単に言ってませんね)
支払うコストを最低限にして、受給できるサービスは最大化したい。差が大きいほど、受ける利益が大きい、と解釈するのが、消費者の態度だというわけ。利益を最大化するにはどうするか、を考えて行動するのがイマドキの若者。……、そんな感じのことを書いていた・・・ような。(だんだん記憶があいまいになってきた・・・w)
うーん、難しい。興味ある方は、内田樹さんの以下のご本をお読みくださいませ。モンスターペイシェント(患者)のことにも触れていたと思います。なるほど、と膝を打った本でした。