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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「スカイツリーの脚だけね♪」と言われたらどーする?

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ある時、システムトラブルが発生し、オフィス中が対応に大わらわな状態になっていました。右往左往な騒動の中、配属されたばかりの新人がひとりぽつねんと、自席で所在なさげにしています。

隣の部署の先輩がその様子を見かねて、声を掛けます。

「君、何しているんだ。トラブル発生中なんだろ?先輩たちを応援して来いよ!」
「あ、わかりましたっ」と席を立つ新人。

しかし、数分後、その新人は自席に平然と座っています。

再び、隣の部署の先輩が尋ねます。

「もう終わったのか?いいのか?席に座ってて」
「はい、応援してきました」
「ん?」
「先輩たちのところに言って、”がんばれー”と言ってきましたっ^^」

・・・・嘘のようなホントの話です。

これ、2008年にある人事の方からお聞きしたお話です。

「新入社員に日本語が通じないことがあるんですけど、どうしたもんでしょうかねぇ」という嘆きとともに。

「応援してこい」
「頑張れーと言ってきました」

むむぅぅぅぅぅぅ。  綱引きや玉入れ、駅伝、マラソンの”応援”じゃないんだから。


これと似たような話にあちこちで耳にします。

以下は、つい最近、同僚から聞いた例。

同僚の母上がお友達8人と東京スカイツリーを見物に出かけました。

スカイツリーを背景に集合写真を撮りましょう、ということになり、近くにいた若い男性にカメラを渡して「撮ってほしい」と依頼したそうです。

「すみませーん。写真撮ってもらえますかー?スカイツリーの脚だけでいいですからー」

あの634mもあるスカイツリーの全容と8人の女性を1枚の写真に入れるのは非常に難しいだろうと配慮し、「スカイツリーの下の方だけ写ればいいですからー」と優しく伝えたわけですね。

依頼された若い男性は、屈んだり、しゃがんだり、頭下げたり、あれこれ非常に苦労している様子。その間、8人の女性たちは、髪を整えたり、ポーズ撮ったり、8人もいるから、近づいたほうがいいかしら、とあれこれ動いて、満面の笑みで撮影に備えます。

「撮りますよー」を合図にポーズとって笑顔で待ちます。男性はシャッターをカシャ。

「ありがとうございました!」

渡されたカメラのモニターを見てみれば、そこに写っていたのは、

「スカイツリーの脚」だけ。

なんと、

「スカイツリーの脚」だけ

人間が全く写っていない。

たしかに、「スカイツリーの脚だけでいいですよ」とは言ったけれど、その文脈は、「スカイツリーを背景にして、私たちを撮ってください。でも、大きいから、スカイツリーは脚の部分だけでいいですよ」だったわけですね。

女性たちもみんなポーズを取っているのに、それを全部避けて、

「スカイツリーの脚」だけ。

オンリースカイツリーの脚。

オンリースカイツリーズフット(英語でそう言うのか?w)


この若い男性のあたまに去来していたものは、いったいなんだったのか。

興味深いところです。

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