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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

PMシンポジウム初日レポート:基調講演・玄田有史さん「希望のチカラ」・・ええ話やぁ~。

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日本最大級PMイベント「PMシンポジウム2012」が昨日9/6(木)開幕しました。本日までの2日間。昨日は基調講演からスタートしてITトラック、エンジニアリングトラックなど複数のトラックでセミナーが走りました。

基調講演は、2本。玄田有史さんとスーパーコンピュータ「京」についてお話しになった富士通の追永勇次さん。(お! お二人とも「ゆうじ」さんだった。)

玄田さんの「希望のチカラ」という50分の講演が見事だったので、そのレポートを。

要旨を以下にまとめます。

「幸せ、幸福」とは、「維持、継続」を期待するもの。「夢」はどちらかというと無意識のうちに見るもの。
「希望」とは何か。 希望は「意識して」持つもの。「幸せ」が維持や継続をキーワードとするなら、「希望」は変化のために必要なもの。もうダメかも、という時でもあきらめないであえて持つものが「希望」。
希望を定義する。
”Hope is a wish for something to come true by action.”

自分にとって大切な、そして、具体的な何か(something)を
実現(come true)するために
強い思い(wish)を持って
行動する(action)こと。
希望にはこの「4つの柱」がある。



なるほど。「希望」には、意志、想いが必要、というのは、納得。さらに、「具体的な何か」と「具体的な行動」が必要なのだというのですね。もし、「希望」が持てない、というのなら、この4つの柱の何かが欠けているはず。だからそれを特定することで希望を持つ方法がわかる、とも。

たとえば、なんとなく「何かがうまくいけばいいなあ」とぼんやり思うのではなく、「我が子とこういう暮らしがしたい」とか「プロジェクトをこんな形で遂行したい」とか、ぼんやりではなく、「具体的な何か」をイメージすること。

それと、ただ思っていたって実現しないから、かならず「行動」すること。

それが「希望を持つ」ってことなのだ、と。

玄田さんは、震災後1ヵ月ほどして釜石を訪れたそうです。(釜石で何年も前から活動していたご縁で)

その際、「食糧でもない、何を持っていけばいいんだろう」と考え、「カレンダー」を持っていったそうです。それが後日、釜石の方から非常に感謝された、と。

なぜか考えてみた。「カレンダーに”この日に何をする”って具体的な何かを書き込み、一つ一つ行動していくことにつながったからではないか」と玄田さんはおっしゃいました。

時間の感覚も自分が何を今どこで何をしているかという感覚もつかめなくなっていたような状態で「カレンダー」というものが「希望」をもたらしたのではないか、と。

私も常々、「時間」について同じようなことを思っているので、共感しました。

「来週会おうね」とか「秋になったらジョギング始めよう」とか、人は「先の時間の約束や決め事」をしますよね。

それって、「その日、その時間」もきっと今と同じように元気で生きている、が前提だと思うのです。そして、その「来週」とか「秋」とか、その先のほうにある時間に向かって人は生きていく。

カレンダーは、今ではなく、先に目を向けさせる、きっとそこに何かがあるだろう、と思えるツールなんだと思います。

震災といった激しい体験ではなくても、病気になった時、あるいは、辛い仕事に取り組んでいる時、それでも、カレンダーの先のほうを眺めて、「この時にはこの山を越えている」「この時点ではきっと心身ともに楽になっている」なんて考えること、それ自体が、「希望」なんだなぁ、と。

プロジェクトマネジメントの大会なので、それも意識してこうもおっしゃっていました。
PMとかリーダーとか、苦しくても「未来がある」と語ることは大事。未来がある、希望を語る。リーダーの役割である。
経営者とかマネージャとかリーダーとか、上に立つ人は、「未来」や「希望」を語ること。なぜ大事かというと、「希望は伝播する」から。
希望を語る人がいると、その具体的な何かがたとえ実現しなくても希望を語ること自体が周囲に必ずよい影響を与える。
そんな風に締めくくっていました。


この部分も非常に強く激しく首肯です。

やる気は伝播する。
幸せ感は伝播する。

これは、以前、モチベーションの専門家菊入みゆきさんにお聞きしたことですが、

希望も伝播する。

んですねぇ。

そうそう、なんでも「伝播」するんです。(もちろん、負の何かも伝播する。「愚痴」も伝播し、「ネガティブ思考」もまた「伝播」する)

どうせ「伝播」するなら、「明るく楽しい」空気が伝播するほうが心身の健康にも役立ちそうです。

コミュニケーションとかリーダーシップの研修でよくお伝えするのは、「言葉選び」です。同じことを言うなら、否定的な表現より肯定的な表現を使いましょう、と。

たとえば、納期ぎりぎりで大変な状況な時、リーダーが

「これが終わらないと休みも取らせないぞ」と脅すように言うのではなく、

「これが終わったら皆で交代で休み取ろうよ!」と言う。

これだけで、十分「希望」が見えるでしょう?

さて、本日PMシンポジウム2日目、ワタクシ10時からセミナーを担当します。

詳細は来週レポートしますね。(玄田さんの講演については、あと2つ書きたいことがあるので、明日と後日に分けて報告します)

では、本日も楽しく参りましょう。

TGIF!!!!!
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