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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

新宿三丁目駅の「改札外乗り換え」について考察する ~言葉の定義がないと訴えは通じないというお話~

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西新宿駅近くにある勤務先に出社する日は、副都心線→丸ノ内線と地下鉄を乗り継ぎます。乗り換え駅は、「新宿三丁目」です。副都心線は新しい路線。新宿三丁目の丸ノ内線への乗り換え口も後から付き足して作った関係で、どうにも導線が悪い。

開業前に想像していた以上に乗降客がいたのか、とにかく、副都心線→丸の内線の乗り換え階段が大混雑して、大変なことになっています。(狭い上に90度に曲がる階段なので人の流れが悪いこと。)

開通当初、それを避けて、別の階段から改札の外に出て、広い階段を使い丸の内線に乗り換えていたら、やたらとICカードの残額が減ることに気付いたのです。1週間くらい経って、金額明細を見てみたら、新宿三丁目で一旦下車し、再度乗った扱いになっている。だから160円だかなんだか多く引かれていたのです。朝晩だと300円ちょっと、かな。それが1週間。デカい!(笑

東京メトロに問い合わせてみたら、「定期券は改札の外に出ても乗り換えができるのだが、駅がホーム間がつながっている場合は改札の外に出なくても乗り換えができる、と判断し、ICカードの場合は一旦改札の外に出ると、料金を引き落とすことになっています。だから、ICカードなら、改札の外に出ず、ホーム内の通路で乗り換えてください」との返事。なるほど、そういう仕組みなのねー、と納得。

さて、しかし、毎朝の混雑は増しに増し、どう考えてもキケンだろう、と思っていた矢先、この春から、新宿三丁目の乗り換えのための新しい階段(かエスカレーター?)の増設工事が始まりました。

工事の関係で、一時的にホームが狭くなり、朝は大量のガードマンが配置されています。そして、彼らが口々に拡声器を使って乗客に訴えていることは、

「改札外乗り換えも可能ですので、改札外乗り換えをご利用ください」

なのですな。

でも、相変わらず、大勢が「ホーム間をつなぐ通路」での乗り換えに集まる。 このアナウンスの効果が出ていないように思うのです。

で、前置きが長くなりましたが、このアナウンス、何がいけないって、「改札外乗り換えとは何か?」という解説が一切ないことなんです。


まあ、たぶん、以前は、「ICカードでは改札の外に出て乗り換えちゃダメ」というルールだったけど、今はその仕組みをやめて、新宿三丁目では、「改札の外に出ても下車扱いにせず、ホーム内乗り換えもと同じようにする」仕組みに変わったんだと思います。(他の駅のことはわかりませんが、少なくとも新宿三丁目では)

だから、ICカードユーザも「改札の外から乗り換えても、余計な料金は引き落とされないよ。ホーム間乗り換えと同じだよ」ということを

「改札外乗り換えも可能ですから、ご利用ください」

で訴えている、んでしょう。

でも、でも、でも。私のように、余計な料金が引き落とされた経験を持つものは、怖くて「改札外乗り換え」にチャレンジできないんです。だって、そのことの解説が一切ないから。

「改札外乗り換えとは何か」という解説。これ、大事です。大事ですが、これまでに一度も聴いたことがない。ポスターにも、「改札外乗り換えが可能になりました!」としか書かれていない。「それは何だ?、 何のことだ?」の説明がない。「なりました!」ということは、「前はそうじゃなかった」も含意しているわけですが、「前がどうで」「今がどうか」の変遷がわからない、だから、まったく意味が通じない。


説明する側は、「改札外乗り換えといえば、●●」「以前の”改札外乗り換え”は××だったけど、今は●●」という定義が頭にある。言わなくてもわかる、と思ってしまっているのかも知れない。だから、説明不足になる。

一方、乗客は、「改札外乗り換え」の意味が分からない。「なりました!」と言われても、「なに」が「なに」に「なった」のかがわからない。だから、今一つ、行動に結びつかない。その結果、新宿三丁目の乗り換え口は今日も今日とて大混雑。

「改札外乗り換えというのは●●のことで、だから、定期券を持つ方もICカードの方も切符の方も(←なのかな?)改札の外から乗り換えて大丈夫ですよー。必要以上の料金は引き落とされませんよぉ」という説明が必要なんだと思うわけです。

・・・・毎朝のように体験しているので、ちょっと書いてみましたが、これは、私たちの職場でも日常的に起こることなんですよね。

話している当人にとっての「当たり前」と聴いている側の「当たり前」が異なること。

こちらは十分説明しているし、相手に伝わったと思っているけど、聴き手にしたら、「そもそもそれは何の話?」と意味や定義がわからないことも多々ある。

言葉の「定義」。大事なんですねぇ。

・・・・・・・・

願わくば、このエントリーが東京メトロの方の目に留まりますようにw。
そして、早く工事が完了し、朝の混雑が緩和されますように。


=====オマケ======

たくさん並ぶガードマンの中にお一人だけ発声がプロ並みな方がいらっしゃいます。

心ひそかに「劇団四季さん」と呼んでいます。 声の響きが素晴らしいのです。朝、彼の「恐れ入ります。●●をお願いいたします」という声を聴くと、元気になります。 工事完了まで皆さん、頑張ってください。

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