数日前に厚生労働省が「パワハラ」類型を定義した、というNEWSが流れました。厚労省のサイトからこれしか見つけられなかったので、参考までに。⇒ 資料(PDF) http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021gfm-att/2r98520000021gh3.pdf

類型の部分だけ引用します。

①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

この中で、一番、現場のマネージャやリーダー、あるいは先輩の立場にある人たちが「困惑」というか「迷う」のは、おそらく④(過大な要求)ではないかと思います。

「それ、業務上不可能です」と部下に言われて、「いや、あなたならできるはずだ」と言うと、「パワハラですよ」と返事されたら、「んぐぐぐ」と口をつぐむしかないのか・・・。でも、一方で、「背伸び目標(ストレッチ目標)」を与えなければ成長できない、ともいうし、今ある能力だけで仕事していたら、先細りするだけだし、「今できない」ことをなんとか努力して「やってもらわねば」個人も組織も伸びていかないよねぇーーー。うーむ、困った、どーすりゃいいんだ。

こんな風に頭抱えてしまう方もいらっしゃるのではないかと。
セクハラ同様、パワハラも「本人がそう感じたらダメ」だとしたら、「ストレッチ目標」ってありうるのか、という話になってしまいます。

で、しばらく、この件、悶々と考えていましたら、次にこのコラムを読みました。(以前、ここでちらっと紹介した『「経験学習」入門』の著者でもある松尾睦さんの連載です。

若手「育て上手」なOJT担当者の秘密
http://diamond.jp/articles/-/15896

これによると、「ストレッチ目標」で部下に挑戦させることで、部下は伸びるのだけれど、その時、育て上手の上司(指導する側)の特徴はこんなところにある、とのことです。

1)成長のイメージを持たせる。
2)懸命に手を伸ばせば届きそうな目標を立てさせる。
3)成長を期待していることを伝える。

つまり、「なんだか意味も分からず、難しいことに挑戦させる(取り組ませる)」のでも、「手を伸ばしても届かないようなはるか遠い目標を立てさせる」のでもなく。そして、「どうせ期待してないけど、やってみ!」などと突き放すのでもなく、本人の成長後をちゃんと思い描かせた上で、頑張って手の届くことに挑戦させ、しょっちゅう、励ましたり、応援したり、支援したりする、ということだと思います。

成長を支援できる上司とは、ほかにもこんな特徴がある、とこのコラムには書いてあります。

育て上手の指導者は、①若手が具体的経験をしているときに、こまめに進捗を確認し、相談に乗り、②仕事の結果をしっかりと振り返るように促し、③教訓を引き出すときには、ポジティブなフィードバックを与え、④新しい状況では、若手の目標を引き上げている

背伸び目標(ストレッチ目標)を与えるためには、日ごろから関わっていくことが大事だということです。 いや、当たり前と言えば当たり前ですけれども。

「パワハラ定義」の4に恐れおののいているマネージャ、リーダー、先輩という立場の方は、「過大な要求」とならないような部下との関わり方に工夫が必要ということですね。

(一方で、部下側(学習者側)も大人の学び手として、”自己主導型学習者”となるよう、自分のスタンスを変化させていかねばなりませんね。)

※ 年末に読んだこの本、私がライフワークのように取り組んでいる「企業のOJT制度支援」に深く関わり、とても勉強になった1冊です。来週くらいから、このブログで1章ずつ解説することに挑戦してみたいと思っています。

TanakaJunko

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田中 淳子

田中 淳子

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント&産業カウンセラー

”働く大人の学び”を支援しながら得た「気づき」をつらつらと綴ります。

著書は「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」「はじめての後輩指導」など。

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