オルタナティブ・ブログ > 田中淳子の”大人の学び”支援隊! >

人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

後輩を、特に、新入社員を「あの子」「この子」と呼ぶのは、やはり、やめた方がよいと思う

»

これはもう、他のブログでも研修でも講演でも連載記事でも本でも、しつこいくらいに訴え続けていることなのですが、新入社員を「あの子」「この子」と「子」呼ばわりするのは、本当にやめた方がよいと思うんです。

「ああ、その話はもう聞き飽きた」という方もおいでかもしれませんが(田中ウォッチャーの方など。いないか?・・・)、再度ここで書いておきたいと思います。

新入社員が身近にいる方。その新入社員(若手社員と言い換えてもよい)を第三者に伝える際、ほぼ100%(私の経験での数字ですが)、「あの子」「この子」という言い方をします。「子、とは呼ばないほうがよいですよ」と伝えても、いつの間にか「子」と呼ぶようになってしまう。

「うちに配属になった”子”が、元気よくて」
「やる気のある”子”なので安心しています」
「育て甲斐のある”子”ですけど、おっちょこちょいなのが少し気になるかな」

など。

社会人、成人、大人・・・なのに、なぜか「子」なのです。

言葉の上だけだよ、表現の問題だけでしょ?と思うかも知れませんが、年上の人を、ベテランを「子」と呼ばないことから考えれば、「子ども扱い」していることは否めないと思うのです。

言葉には、目に見えない力がありますから、「子」と相手を呼ぶことで、自分が相手を「子」として見る、扱う。それだけでなく、新入社員(若手社員)も、「子」として扱われたと感じる(なんとなく)、それによって、「子」として扱われるに”ふさわしい”行動をとることすらあると思うのです。(甘えてもいい、という空気が漂うこともあるような・・。)

「同じことを何度も質問してくるな」
「一度教えたことはちゃんとマスターしてね」
「自分で調べて、自分で考えること」

と相手にはそれ相応の「大人」らしい振る舞いを期待している一方で、「子」と呼んでいる。なんとなく矛盾を感じるのですね。

相手に「大人として行動してほしい」と心から思うのであれば、まずは、相手を「大人」として扱うことです。そのためには、たかが呼び方ではあるものの、「子」という表現は使わない。「後輩」とか「新入社員」とか、あるいは、そういうラベルが必要ない場面であれば、「同僚」「メンバー」など言い方はいろいろ工夫できるはず。

「うちの部署に配属になった新入社員は」
「私の後輩は」
「今年の新人は」
「2年目の社員がいるんだけど」

などなど。「子」という表現を使わなくても会話はできます。

私は、自分が「子」と呼ばれたら、ちょっとだけ心にとげが刺さるような気持ちになったと思います。遠い昔のことなので、自分の体験としての記憶はありませんが。(あ、「ねぇちゃん」と先輩に呼ばれて、むむっ!としたことなら覚えています。笑)

どういう言葉を使うか、って、案外大事だと思うのですよねぇ。

==============番外編

ところで、つい最近、「姉に子供が生まれて」と話している方に、「女の子?男の子?」とお尋ねしたら、

「女性です」

という返事。新生児を「女性」と表現するのも、ちょっと面白いな、と思いました。

Comment(6)