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【就職活動解禁】これから就職活動を始めるアナタへ

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12月。今年もあと1ヶ月となりました。

昨日、ラジオを聴いていたら、12/1から就職活動が解禁になったとのこと。今までよりも2ヶ月遅いスタートだそうですね。2ヶ月遅くなった理由は、「就活期間が長すぎて、学生の本分である勉強に専念できない」というのが理由だと、ラジオのパーソナリティは言っていました。

でも、それはひょっとしたら、「大人の事情」で、学生さんにしてみれば、「確かに学生の本分は勉強かもしれないけど、就職は人生を左右する大切なイベント。スタートが2ヶ月も遅れてしまうなんて・・・」というのが本音なのかもしれません。学生の街角インタビューでは、多くの学生さんから「不安だ」「焦っている」という声が大半でした。そう思うのも当然です。

今日は、不安で、焦る気持ちで一杯の学生のアナタへ、声を掛けたくなりました。

■これから就職活動をする大学生のキモチ

これから就職活動をする大学生が今、どんなキモチなのだろう・・・。
どんなキモチで、会社を選ぶのだろう・・・。

「大学生 就職 ランキング」というキーワードで検索してみました。いくつかのサイトがありましたが、銀行、家電メーカー、自動車会社など、大手企業がランクインしていました。この傾向は、何年も変わっていませんね。

大手の企業のほうが安定しているし、つぶれる可能性も低いです。だから、安心して働けます。「お父さん、お母さん、○○の会社に決まったよ!」地元の両親も、名の知れた大手の企業なら安心してくれるでしょうね。

また、仕事は毎日のこと。せっかく働くのなら、自分の興味がある仕事ができればいいですよね。

そういう意味では、「大手企業」+「興味がある仕事」が最初の条件になるのかな。

でも・・・それが叶えば最高ですが、中には、「本当は、大手企業で自分がやりたいことができればいいけど、採用される自信がない。大手でもないし、やりたい仕事でもないけれど、とにかく就職先を見つけなきゃ」・・・このような方もいらっしゃるかもしれません。

なので、「安定」と「興味がある仕事」について、触れてみたいと思います。

■安定って、何だろう?

先日、ある社長とお話する機会がありました。

「あと2~3年先は大丈夫って言えるけど、その先はどうなるかなんてわかんないよね~。近い将来、会社という組織はなくなっちゃうんじゃない?」

彼は何社もの企業を経営している、私の尊敬している優秀な経営者です。実は、このような「将来、会社という組織はなくなる」といっている人は、他にもいます。

(ちなみに、「会社という組織がなくなる」という意味は、「失業者続出」・・・というよりも、「別の形態に変わっていく」という意味です。これについては話がずれてしまうので、また、別の機会に。)

今、どんなに安定している(ように見える)大手企業でも、いつ、どうなるかは何の保証もないというのが、私が最近感じることです。今回の震災のように、一瞬で変わってしまうかもしれませんし、どんなに大手で、社会に役立つ事業をしている企業であったとしても、一瞬で加害者になることもあります。

大手の企業は、確かに安定しているかもしれません。でも、それは「今」の話であって、以前よりも変化が大きい時代なので、「未来は、誰も予測できない(どうなるかわからない)」のです。

よく考えてみたら、これはすごく当たり前のことで、すべての出来事は不確実で、一瞬先はどうなるのかが分からないもの。だから、あまり「今の安定」には、そんなにこだわらなくてもいいんじゃないかと思います。

■本当の安定とは、何か

「どうなるのかわからない」・・・そう言われると、不安だよね。やっぱり、毎日の生活は安定したいです。おいしいご飯も食べたいし、友達と楽しくお酒も飲みたい。彼女と(アナタが女性なら彼氏と)デートもしたいし、ときには旅行にも出かけたいと思います。もちろん、私もそうです。毎日の安定した生活を維持するためにはお金が必要で、そのために就職するのですよね。長い期間安定していたいために、できるだけ長く勤められる企業を選ぶんです。

そうです。確かに、そうなんです。

でも、「安定」って、企業の規模を言うのかな?お金だけなのかな?と、最近思います。
私は最近、「不安定な社会を、安定したこころで歩む」という言葉が好きなのですが、自分の周りの環境がどうなっても、それを受け入れ、その時々でやれることを一生懸命やり、歩んでいくこと・・・それが、本当の安定なんじゃないかと思うようになりました。

そのためには、必要なことは・・・

・毎日の生活を安定して過ごせるだけの、必要最低限のお金
・いつ、どうなってもいい・・・という覚悟(「どうにかなるさって気持ち」かな)
・自分がやりたいと思ったことを応援してくれる仲間
・やりたいことを行うためのビジネスのスキルや知識、情報、経験

他にも、いろいろあるとは思いますが、「やるべきことはしっかりやって、あとは、楽観的に」そんな感じでしょうか。外部環境に変化があっても、それに対応していく力をつけていくことが、本当の安定なのではないかと思います。自分でなんとかできる力があれば、何がどうなっても大丈夫だもんね。

私自身、その能力をつけるために、今、がんばっているところです。私がこれに気付いたのは、35歳ぐらいですから、若い世代のみなさんなら、これからも十分時間があるし、まだまだたくさんのことを身につけられますよ。どのような会社に入ったとしても、これを身につけるためのプロセスと考えるのはどうでしょうか。

■今、好きな仕事は、ずっと好きな仕事なのか

もうひとつの視点「興味がある仕事」について取り上げてみたいと思います。

私は中学を卒業して自動車メーカーの企業内高校に入りました。高校を卒業して最初に社会人になったのはその延長です。小さいことから自動車が好きだったので、好きな仕事に就けました。

でも、今、それが好きな仕事かというと、「嫌いじゃないけど、特別好きでもない」というのが本音です。

会社を辞めて、次にITのエンジニアになりました。エンジニアの当時はものづくりは楽しかったし、やりがいもありました。「ボクにはこの仕事が向いている!」と思いました。ずっと、エンジニアでいたいと思っていました。

でも、今、それが好きな仕事かというと、自動車会社で働いていたときのように「嫌いじゃないけど、特別好きでもない」というのが本音です。

今、私は講師の仕事や、人と関わる仕事、文書を書く仕事などをしていますが、いずれも楽しいし、やりがいもあります。

間違えないでください。自動車の仕事は価値がない、エンジニアの仕事は価値がないと言いたいのではありません。みな、すばらしい仕事です。私が言いたいのは、「今、好き」は、将来変わる可能性があるということです、それはまるで、好きだった女の子が(もしくは、男の子が)急に嫌いになったり、嫌いだった子が急に好きになったりするような感じかもしれません。

アナタも今まで生きてきて、仕事に限らず、興味があることは変わってきたでしょう?だから、今、興味がある/ないにこだわらなくても大丈夫・・・そういう気持ちでいれたら、少し楽になれるのではないでしょうか。

私自身も、今の仕事に固執するつもりもありません。これから先も、変わっていくかもしれません。

■「やりたいことがないんです」というアナタへ

学生を卒業し、社会人になろうとしている今、ひょっとしたらまだ「やりたいことがよくわからない」と思っているかもしれません。「目標が大事だ」「やりたいことをやりなさい」そういう情報が多い中で、「やりたいことがない自分って・・・」と、不安を抱いたり、何か、見通しが悪い霧の中にいるような、言い表せないモヤモヤ感に包まれているかもしれません。

だから、「やりたいことを見つける」みたいなセミナーが流行っているのかな。

でも、やりたいことなんて早々見出せるものではないかもしれませんよ。

最初からやりたいことがある人もいれば、後から見えてくるタイプの人もいます。だから、やりたいことを書き出して、その中から見つけるような、「表面的なやりたいこと」を無理に見つけようとしなくても大丈夫。

周りの大人たちは、「目標を持ちなさい」「若いんだから、もっと高いところを目指しなさい」というかもしれない。そんな大人たちには聞き返してやりましょう。「○○さんの目標は何ですか?」と。「○○さんは、将来どうなりたいのですか?」と。「なぜ、その目標に出会えたのですか」と。パッと答えられる人はそんなにいないはず。だから、そんなに焦らなくても大丈夫。

やりたいことがあることは、とても大切なことです。でも、やりたいことは「見つける」というよりも、「見つかる」のかもしれない。だから、いろんなことにチャレンジしてみるのも大事なこと。「やりたいことがないのなら、とりあえず働く」・・・ボクはそれでいいと思っています。

でも、「目標ももてない自分はだめな人だ」「私には何もとりえがない」などとだけは、思わないでください。(今は、別にやりたいことはないけれど)「私はやりたいことを見出す才能がすでにある」「私は、目の前の課題を乗り越える力が備わっている」「私は、完全である」と思っといてください。そんなに気合を入れなくてもいいので、「いつも、なんとなく思っている」そんなゆるい感じで、いいです。

■違和感を大切に

ひょっとしたら、アナタは、「じゃぁ、どうしたら、やりたい仕事が見つかるの?」と思っているかもしれません。

ボクは今、やりたい仕事をしていますけど、ボクが楽しく働けるようになった理由のひとつに「自分の気持ちに正直でいること」「違和感を無視しないこと」をあげます。

よく、「社会人なら、理不尽なことも我慢すべき」という話がありますけど、仕事をしていると、「これって、ちょっと違うな」とか、「仕事だからやるけど、このままでいいのかな?」みたいなことって、誰でもあると思います。仕事に限らず、これまでもそういう経験、あると思います。

このようなキモチは、働いていると「働くというのは、こういうものだ」と、無理やり無視したり、我慢したりすることが多いと思うけれど、この違和感というやつは、結構大事です。「キミが本当にやりたいのは、○○なんじゃない?」ということをお知らせする、もうひとりのアナタからのアラームなんだな。この違和感の中に、「本当にやりたいこと」のヒントが隠されていることが多いから、この違和感だけは、無視しないであげてください。

もし、「なんか違うな」と思ったら、「何が、この違和感を抱かせるのだろう?」「もし、本当の私の気持ちがあるとしたら、それは一体なんだろう?」ということをよく、自分自身に問いかけてみてください。そうすると、「あっ、これって、本当はあまりやりたくないのに、単にお金のためだけにやっているな」「本当は、○○をやりたいんだよな」という本心に気がつくことがありますよ。このような「自分との対話」を大事にしてください。

あっ、もちろん「とにかく自分の気持ちだけを大事にして、自分勝手にしなさい」ということを言いたいわけじゃありません。念のため。

■もし、就職が見つからなかったら

今回の就職活動で、就職が決まればいいけれど、「もし、それが叶わなかったらどうしよう・・・」と、不安になっている方もいるでしょう。アナタも、そうかもしれませんね。

最初の就職は、あくまでも入り口で、それですべてが決まるわけじゃ全然ないから、自分を責めなくても大丈夫。

もし、就職が決まらなかったら、バイトでもいいからとりあえず働いてください。それだけ、経験が積めます。いろんな経験は、さまざまな仕事の楽しさや価値に触れるチャンスが、他の人よりもたくさんあるということです。

また、とりあえず、最低限の生活ができるようにすること。それも立派なことです。当面の生活が不安だと、なかなか次の打ち手が打てないからね。

■最後に

と、不安や焦りを感じているアナタに、思いつくまま書いてみました。

学生から社会人になるアナタにとって、就職はある種の「ゴール」というイメージかもしれません。学生時代を総括する集大成と考えているかもしれません。けれども、ほんの入り口で、いつでも変更や選択が可能であることを忘れないでください。

これから始まる就職活動で、ひょっとしたら、面接で失敗することもあるでしょう。嫌な思いをすることもあるでしょう。採用の知らせが来なくて、不安な夜を過ごすこともあるでしょう。友達が次々と就職を決めていく中で、焦りを感じることもあるでしょう。

でも、どんな経験も、近い将来から見たら「あのときのおかげで」という思える日が必ずきます。いろんな経験を積んだ人のほうが人の気持ちが分かり、信頼される人になれます。無駄になることなどひとつもないから、大丈夫。

「10年後は、アナタはどうなっていますか?」そんな質問が、よくありますよね。それが分かったら、苦労しないよね。ましてや、今のような変化が早い時代だから分かる確かにわからないのだけれど、でも、「10年後のほうが、間違いなくよくなってる。今は、そのプロセスである」と思っています。

私が「○○になったらいいな」と思うことが出てきたのは、ホント、最近のことです。自分の人生を自分で選択するようになってから、見えてきました。

だから、会社や社会に依存するのではなく、自分の意思で選択できるように、その瞬間、瞬間を一生懸命生きてください。これからもたくさん勉強し、いろんな人との出会いを大切にしてください。悩んだときは一人で抱え込まず、友達に相談してね。

アナタと一緒に、楽しく働ける日が来ることを期待しています。

■追伸:就活生を持つ、お父さん、お母さん方へ

私たちが学生の時代は、「大企業が安心だ」「公務員が安心だ」「道から離れるのはよくないことで、みんなと同じことをするのが正しいことだ」と教わってきました。それが、正しい時代でした。また、それが通用する社会環境がありました。

お子さんの幸せを願い、お子さんが選択した道に、アドバイスしたくなることもあるでしょう。

けれども、今、就職を迎える学生は、私たちとは違う環境を生きています。お子さんが過ごしている社会環境や価値観は、私たちの時代と、ひょっとしたら少し違うのかもしれません。

もし、お子さんが「○○したい」と言ってきたら、「そんなことはだめだ」と否定しないであげてください。話を聞いてあげてください。あなたが生んだお子さんです。あなたのお子さんが歩もうとしている道を、どうか信頼してあげてください。

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