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学生よ!! SI業界の平均年収が高いには「わけ」がある!!

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4月になると就職活動戦線真っ只中。
今年も売り手市場で各社学生確保に必死なようですね。

私もよくOB訪問やリクルーターをしておりましたが、ここ近年の学生はとても頭が良いのですが、就職活動に入ると普段の頭の良さを発揮できない方が数多く見受けられます。
学生の皆さん、SI企業に転職を検討している皆さん、よくメディアやネットで見るSIer業界の平均年収についてはカラクリがあるので注意しましょう。

SIer平均給与.png

<出典: Publickey~IT系企業の平均給与を業種別に見ていた2013年度版〜http://www.publickey1.jp/blog/13/it_2013_sier.html>

上記の図だとSIerはかなり平均年収が高く見えます。確かに平均年収は高いですが、平均年齢も高いことがわかります。
現在の大手SIerは、1980年前後の第二次オンライン周辺でできた企業群が多くあります。オープン化に伴うクライアントサーバーシステム、ERPを代表とするパッケージビジネス、そしてWeb化と右肩上がりの業界で人を増やし続けてきました。しかしITバブルが2001年に崩壊後の2001年〜2005年、そしてリーマンショック後の2008年〜20012年と採用を絞ってきました。その結果、30歳前後の社員が少なく40歳中盤から50歳ぐらいまで社員を多く抱えることとなりました。
大手SIerは、基本的には年功序列で、リストラもない企業が多いため平均年齢が徐々に上がっていってしまったのです。

実は若手の年収はそれほど中堅企業と変わりません。もしかしたらベンチャー企業の方がより多くもらえる可能性もあります。

またキャリアを考えるのであれば、平均年齢が40歳以上であることは、変化の激しいIT業界では非常にリスクとみるべきです。昇進するのも時間がかかるし、管理職の数が増え意思決定に時間がかかったり、過去の成功体験をひきづった人が過半を占めていれば、それに引っ張られ機動的なビジネス展開が難しくなる可能性があります。この平均年齢上昇による人件費は、原価UP に繋がります。SIerのほとんどが、人月単価をベースにしており、その人月単価は年々下がり続けている傾向にあるため、1人月の単価が増えず、コストが年々増えて行く状況になっています。まだまだどの企業も余裕があるでしょうがこのままではジリ貧になっていくだけです。

もちろん大手SIerもメリットが沢山あります。巨大なシステムを構築できたり、社会インフラを手がけることが可能です。社会的意義も大きいです。1案件何十億、何百億もする巨大プロジェクトを経験できるのも大手でしか味わえません。またどの大手SIerも潤沢なキャッシュを持っているので、赤字になっても早々潰れるわけではありません。キャッシュがある分余裕を持っていろんなことにチャレンジができる可能性があります。

もし私が学生で年収を気ににするのであれば、年収の平均値を知るより、中央値を知りたいと思います。そして、販売管理費の人件費。各社の販売管理費のうちの人件費の割合を比べれば、案件に紐付かない人の割合が図れます。

どういったキャリア設計をするかで、見方が変わってくると思いますが、学生時代に統計や確率を学ばれたのであれば、簡単に計算すればわかると思いますし、ぜひOB訪問などで聞いて欲しいですね。

学生の皆さんには、与えられる情報を鵜呑みにして思考停止せず、しっかり自分の頭で考えて欲しいです。私はそんな人と一緒に働きたいです。

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Takeaway〜年収は、平均値だけでなく中央値も参考に
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