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カウンセリングによくある誤解や質問、また、カウンセリングとはどういうものなのかなどについて執筆します。カウンセリングルームと契約したい、または相談室を作りたいと考えている、もしくは既に契約しているけど実はよく分かっていない企業の方だけでなく、一般の方にも幅広く見ていただけたら幸いです。

常識があなたを惨めにする

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 表題を見ると「何のこっちゃ」と思う人が多いかもしれませんが、今回は表題通りの内容です。
 ・・・と書くと、いつも表題で読者を釣っているように見えますが。

 大丈夫です・・・全然、釣れてませんから・・・。

 さて、あなたを惨めにする常識とはどんなものでしょう?
 これは、すべての常識に当てはまるわけではありませんが、逆に言えばかなりの常識が当てはまるとも言えます。

 実は常識とは多くの場合、「自分の周りの環境で横行している慣例的な事柄を、自分なりの解釈で捉えて標準化したもの」であり、真実であるとは限らない、自分で作り上げたルールや思い込みだったりします。(※一般論的常識:「○○の場合、自分はこのように行動する」と言い換え可能)
 これらのルールや思い込みは、「~ねばならない」「~するべきだ」など断定的な文章の形をとっていることが多く、複数の場面で同じ常識が適用されるたびに何度でも強化学習されていきます。 元々このルールや思い込みが常識でなかったとしても、強化学習されることで自分の中の常識として形成され固着していくのです。

 しかし残念なことに、これらのルールや思い込みは先にも記述した通り、必ずしも現実に即していません。 現実が変化に富むのに比べて、ルールや思い込みは固定的で柔軟に変化する現実に対応できないためです。 にも関わらず常識を強く信じた人は(時に絶対的二者択一的思考※註1に支配され)、その常識から外れる(外れた人を見る)と感情を不必要に、不健康な範囲にまでエスカレートさせてしまうのです。

 このように書くと、普段周りの人に「現実を見ろ」と言って憤慨している人が、この文章を都合よく解釈して「ほれ見たことか」と鼻を鳴らしそうな気もしますが、そういう人は「(自分が解釈した)現実を理解できない奴は、能無しのクズだ」のような思い込みを自分の中に作っていて、結局は現実が見えていない場合があるので要注意です。
(※自分以外の人が書いた文章を、他人を攻撃する道具として使用するのはやめましょう)

 常識を判断基準として使用している場合、気づかない内に良くない方向に物事が進んでいる場合があります。

 人は通常、何かが起こると、それがどういうことかを考えて、その物事にどう対応するかを考えて行動を起こします。 しかし、自分の中に判断基準が存在する場合には、その物事が起きた時に「判断基準と比較して」対応することがあります。 判断基準は作業を短くし、素早い対応や仕事をするのに役立ってくれることでしょう。

 この判断基準が常識である場合、その常識を適用できる条件が整っているかを充分に検討することなく、常識と比較をして判断をしてしまうことがあります。 すると、現実に合わせて自分で考えるという作業ができていないため、実際にとった行動が現実に沿ったものなのかという問題が出るだけではなく、常識と現実との見えない乖離によって自分でも気づかないうちにストレスを溜めている可能性があるのです。

 ここまで常識について様々書いてきましたが、「すべての常識がすべての場合において無効」というわけではないことに注意してください。「常識が自分を惨めにするのであれば、非常識になればいい」というわけでもないです。
 自分ができる範囲で(せめて「あれ?」と思った時だけでも)「今まで常識だと思ってきたけど、本当に正しいのかな?」と見直して、自分の頭でしっかりと考えてみる・・・柔軟性のある科学的思考を持つということが大事なのだと思います。

 ・・・会社の中にも労働基準法に則さない常識が山ほどあったりしますしね。


■註1:絶対的二者択一的思考
 認知のゆがみの一種。 「良いか悪いか」「敵か味方か」「完全か不完全か」「0か100か」という、二者択一的な思考を行う傾向。

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