オルタナティブ・ブログ > Speed Feed >

モバイルシフトとソーシャル化によって変化するネットの世界を、読者と一緒に探検するBlogです。

チェ・ゲバラー革命家にはなれないけれど、起業家にはなれる、日本でも

»

CHEチェ 28歳の革命』を観た。たいていのオトコであればゲバラを嫌いな人はいない。ゲバラはそのハンサムな容貌と、医者でもある明晰な頭脳、そして理想に殉じてゲリラ戦をやり通した強固な意志をもち、さらに結果として若くして非業の死を遂げたことから、死後何十年とたったいまでもカリスマとして人気を保っている。
映画自体は非常に淡々としたドキュメンタリーライクな作りで、硬質と言うかハードボイルドなトーンを終始貫いている。

カストロとの出会いから革命の成功までを描いたのが前編(CHEチェ 28歳の革命)で、後編(CHEチェ 39歳の別れの手紙)は月末に連続して公開されるのだが、ゲバラが処刑されるまでの新たな戦いの日々を描かれるため、非常に息苦しい物語になりそうだ。(もちろん観る)
ゲバラの映画としては、数年前に公開された『モーターサイクル・ダイアリーズ』も僕は観ており、今回の『CHE』の監督であるソダーバーグ自身も、(別の監督によって撮影されている)『モーターサイクル・ダイアリーズ』を含めて三部作のようなものだと述べている。

ゲバラのかっこよさは、(理想と実際の行動に裏付けられた)豊富なボキャブラリーにある。
例えば彼は「本物の革命家には愛がなくてはならない」という。また、「僕を導くものは、真実への情熱だけだ。
あらゆる問題について、僕はこの点から考える」「本当に大切なのは武器ではなく気持ちだ。どんなにすぐれた武器があっても、気持ちがなければただのガラクタにすぎない」ともいう。

武器をとって戦う、というのではなく、(間違っているかもしれない)世間の常識や慣習を疑い、よりよい世界を作り出そうと思う志は、いまの日本人が失ってしまったものではないだろうか?幕末や戦国時代の文献や小説がブームらしいが(それもたいていはゲームと『レッドクリフ』などの影響であるが、それはそれでもいい)、やはり信念に従い、理想の実現のために立ち上がるという青臭い闘志を、心のどこかでは評価したいと皆が思っているせいではないか?

僕もまた、時流に乗って簡単にお金を稼ぐような仕事ではなく、少しでもWebをよくして(modifyして)自分自身を含めたみんなが、より便利に効率よくインターネットを利用することができるような世界を作るための仕事をしたいと思って、モディファイというベンチャーを立ち上げさせてもらった。革命家にはなれないが、起業家には誰でもなれる。それに革命とは別に戦争をすることではない、革命とはいまある不自然な世界や、非合理・非効率な状況を変えていくための努力でもあるはずだ。だから、ゲバラに共感したのであれば、心が熱いうちに、自分にとっての革命を起こすことを考えるべきだと思う。
(起業でなくても、いまの会社を変えようとか、教育の現場をよくしようとか、ひとそれぞれの革命がある)


最後に、先述のゲバラの言葉をもじって自分たちに当てはめるのであれば、
「本物の起業家には、愛がなくてはならない」
愛とは理想のことだし、ユーザーやクライアントへの感謝であったり、世界を変えたい、という夢のことでもある。
「本当に大切なのは資金ではなく気持ちだ。どんなに多くの資金があっても、気持ちがなければただの紙屑にすぎない」
金がないならないなりに工夫する。スタートアップに金が集まらない時代になってもベンチャーを志す若者は増えていくし、それを支援する社会にしなければ。志が一番大事なのだから。


革命家にはなれなくても、人はそれぞれの人生と所属する社会の中で、自分なりの革命を起こすことができる。
僕はいま、インターネット業界における起業家の一人である。だから、その世界での革命を起こすためにこれからも努力を惜しまずに働きたい。

Comment(1)