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iPhoneを中心としたスマートフォンのエンタープライズ市場の成長に注目

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■ スマートフォン市場の台風の目となるiPhone 3G

米国では、iPhoneの躍進が続いており、SMB市場(中小〜中堅企業市場)のスマートフォン市場でのシェア10%を押さえたという。

iPhoneは既にWindows Mobile搭載機のすべての端末よりも売れており、法人市場での戦いはRIMのBlackberryとの一騎打ちになっている。
iPhone 3Gはコンシューマーにも受け入れられるエンターテインメント性の強いガジェットでありながら、MS ExchangeサーバーやVPNに対応するなど、企業用のメールサーバー連携やセキュリティ強化にも十分な配慮が為されたビジネスツールだ。この分野はBlackberryの一人勝ち状態だったが、操作性と一般知名度の高さから、一気にiPhoneが対抗馬として浮上した。

ノキアらがリリースしているSymbian OS機や、台湾メーカーらのWindows Mobile機は価格の安さもあり、一般のビジネスコンシューマーには使われているが、法人単位でのバルク販売の場では劣勢を強いられており、今後もその状況は続くだろう。2009年はBlackberry vs iPhone 3Gの戦いに、Android携帯がどこまで絡めるか、という勝負になる。

■ 日本国内の法人市場の行方は?

日本では、いまのところスマートフォン市場はまだまだ立ち上がっていないが、キャリアがこの分野に手を付け始めていることから来年はかなりホットになることが予想される。

(参考:詳しくない人のために)
ソフトバンク:iPhone 3G
ドコモ:Blackberry
KDDI : HTC系のWindows Mobile搭載機(来春発売)

スマートフォンは基本的にノートパソコンの代用品だ。社外でもタイムリーに正規の企業メールの送受信とグループウェアなどの企業内ネットワークへのアクセスを行うためのツールになる。日本ではサイボウズやネオジャパンなどのグループウェアベンダーがスマートフォン対応したというニュースはまだ聞かないが、IBMはいちはやくWebグループウェアのiNOTESのiPhone版をリリースしており、早晩状況は改善されるはずだ。

ちなみにモディファイではiPhoneを社員全員が保有しており、スケジュール管理もメール送受信もiPhone上で行っている。ノートパソコンを持ち運ぶことは営業上まだ多いが、ほとんど場合は必要なくなっている。僕たちはWebアプリを作っているので、iPhone上で見せることができるからだ。

日本ではネットブック+モデムが法人市場に食い込む可能性は否定できないが、コンプライアンス面で見れば、大企業からすると普通のノートブックを社外に持ち出させることと同じだから、二の足を踏むのではないか。
iPhoneは実は8GB - 16GBというストレージがありながら、写真以外のデータファイルを保存することができない。逆に言えば、これは法人のコンプライアンスへの配慮からきていると思われる必須要件である。アプリケーション自体はWebアプリにするか、インストール型にするかはおいておいて、データはすべてクラウドにしておけばいいのである。

社員にiPhoneをもたせても、一人あたま せいぜい月々1万円くらいの負担に過ぎない。それよりも自宅からでも外出先からでも効率的に業務情報に接続させて、残業を少なくさせることができれば、そのほうがよほどいい。その結果営業成績が上がれば会社としてはよいことづくめである。

■ モバイルエンタープライズアプリケーション市場はフロンティア

今後鍵になるのは、業務アプリのスマートフォン化だ。この分野は、あまり立ち上がっていない市場だけに、今後は急成長する分野だ。グループウェアはもちろん、ワークフローやSFA、CRMツールはどんどんスマートフォン対応を進めてくるはずだ。

また、既存のWebアプリのスマートフォンへのシフトもそうだが、同時に、これまでにない、スマートフォンにフィットした新しい業務アプリの開発を考えることは有望だ。

モディファイは現在、コンシューマー向けにSMARTというコミュニケーションツールを提供しているが、これは企業向けアプリ開発のためのR&Dを当然兼ねている。企業内でのマイクロブログ的コミュニケーションツール(要は企業内Twitter)は、今後大きな流行を生むと思う。メールですべてのコミュニケーションをまかなうのは大変だ。かといって、グループウェア内の掲示板はこれまでほとんど効果を生んでいない。社内SNSもブログも、高度化してしまって硬直化してしまっている。だからもっと簡単なツールが必要なのである。しかもこのツールはモバイルに非常に向いている。

また、SMARTは、Twitter的であると同時に、さまざまな業務アプリとの連携を図るためのエンタープライズマッシュアップツールでもあるので、動脈硬化をし始めている企業内のコミュニケーションを”血液さらさら”状態にする、毛細血管的な役割を果たすと考えている。

僕たちの試みはともかく、業務アプリのスマートフォン対応は、これからのトレンドになっていくことは間違いがないだろう。
注目しておいてほしいとともに、各エンタープライズアプリケーションのベンダーの皆様には、ぜひ何か新しいことを一緒にしたいので、協業や市場形成のための相談の機会をいただければと思っている。

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