PCサイトがコーヒーなら、iPhoneサイトはエスプレッソである
iPhoneが発売わずか3日で世界で100万台売れたそうだ。アメリカでは20万台売れたという。日本での発表があったかどうかは僕は知らないが、それなりの台数が売れているのは間違いない。同じ規格、同じブラウザ、同じ画面の大きさを持った単一端末が100万台売れているのはものすごいことだ。
iPhoneがWeb閲覧ツールとしては類をみない優れた端末であると僕はなんども書いているし話している。iPhoneはPCでもなく、ケータイでもない。その中間にある存在だが、かといってどっちつかずの中途半端な存在ではなく、上述のように大きな市場を形成する可能性を持つ、第三のプラットフォームだ。
Web閲覧に限って言えば、iPhoneは通常のPC Webを見るツールとして(Flashはサポートしてないが)、これまでの携帯情報端末とは比較にならないほどの自由度を持つ、素晴らしい表現力を持っている。しかし、やはりPC/Macとは異なる小さな画面での閲覧である以上、PC Webをそのまま持ち込んでも、やはり見づらさは否めない。
つまり、iPhoneにはiPhoneに最適化されたWebを用意した方が、ユーザーにもサービス提供者にも望ましいということだ。
僕たちモディファイがiPhoneプラットフォーム事業の開始を宣言した理由もそこにある。
従来のケータイでのWeb体験が無様なものに思えるほどの優れたWeb閲覧機能をもつiPhoneだが、画面の大きさ、タッチパッドベースなどの物理的制限により、やはりそこにフィットしたUIを考えてあげる必要があるのである。
僕が思うに、これまでのPCのWebが大きなマグカップで香りや味をじっくり楽しむコーヒーであるとすれば、iPhoneのWebは凝縮された、深く濃い味わいをさっと楽しむエスプレッソだ。(ついでにいうとケータイのWebは緑茶かな。どっちにしてもPCともiPhoneとも違う、あれは別物なのだ)
繰り返す。PCのWebがコーヒーなら、iPhoneのWebはエスプレッソだ。
コーヒーには大きなマグカップが必要だ。エスプレッソにはエスプレッソ用の小さなカップが必要だ。
コーヒーを楽しむにはゆっくり時間を使えるカフェで、エスプレッソを楽しむには3口で飲み干してさっと出かけるバールが似合う。
iPhoneでWebサイトを用意するということは、そういう違いを理解することだと思う。iPhoneの画面で同じサイトの情報を深く細かく読んでいくのは疲れる作業だ。ユーザーにそんなことを強いてはならない。さっとエスプレッソを楽しむように、濃縮された情報をさっと提供してあげるための特別なUIが必要になる。
Webサイトの情報を抽出し、必要なエッセンスを小粋なデザインと操作感で提供する。つまり、僕たちが目指すのはMODIPHIエンジンをWebのエスプレッソマシンのように使っていただくことだ。
コーヒーをエスプレッソカップで出すようなことをしてはならない。iPhoneにはiPhone に最適なデザイン、インターフェイス、そして必要最低限を抽出したコンテンツの選び方が重要になる。僕たちが考えるiPhoneプラットフォーム事業とは単にテクノロジーのことだけではなく、そうしたノウハウも伝えることである。
同時に、如何にiPhone上のサイトに立ち寄っていただけるか、ということも一緒に考えねばならない。
モバイルSEOというのがあるが、僕はここで敢えてiSEO = SEO for iPhone、を提案したい。そこにはまだ最善の解はない。これからのトライアル&エラーを経て、お客様と僕たちが一緒になって探し出す、上質のサービスなのである。