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朝日新聞社のWeb2.0的記事配信

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朝日新聞社のW杯ドイツ大会の記事を認証付きでFeed化して(by FeedBurner)、feedpathにて配信中。7月中頃までのスペシャル実験企画である。
マスメディアでFeedによる全文記事の配信を行うのは、これが日本で初めてのことだ。

少し話を変えてみる。

友人であるnobiさんこと、林信行さんの渾身の著作『アップル・コンフィデンシャル 2.5』の上下2巻を、『Web2.0 BOOK』とのバーターで送っていただいたのだが(これがまたMacユーザー+iPodユーザーにはたまらない秘話のオンパレード。必読!)、この中で スティーブ・ジョブズがいかにして音楽業界に風穴を開けてきたか、そしてその行為が結果として音楽業界を救うことになったかが詳細に記されている。



「iTunesの爆発的な曲の売上は、1つの重要な変化を象徴していた。それは商品が十分安い価格で、しかも買うのが楽しくなるような形で提供されていれば、人々はあえて面倒な思いや犯罪者になる危険を冒してまで違法行為に手を染めないという事実だ」


「音楽違法コピーとの法廷闘争にしか明日を見いだせていなかった音楽業界の目の色が変わった」



Blogの登場によって、あるいはGoogle Newsのような検索によるニュースのアグリゲーションサービスの登場によって、いまやマスメディアは大きな危機に直面していると僕は思う。さらにいえば、特定のニュースサイトをクローリングしてRSS/Atom化して、オリジナルのFeedとして勝手に配信したり、自身のアフィリエイトサイトに掲載して金儲けをもくろむ不逞な輩が次から次へと違法行為を働いている。これはP2Pソフトなどにより、違法な音楽コピーをばらまくことと同じ行為だ。しかも音楽コンテンツと違って、ニュースは商品としての寿命が極端に短いうえに、パソコン上でコピペすることを防ぐことができない。(電子書籍のように暗号化したPDFで配ることが最良かもしれない。その場合はテキスト版ポッドキャストの形になるだろう)

従って、マスメディアに従事している人たちは、Web2.0というキーワードに対して、大きな期待と不安を感じざるを得ない、というのが現状だと思う。しかし、僕に言わせれば、数十人、いや大新聞であれば数千人の記者を抱えて、最新ニュースの収集とフィルタリング、そして正確な編集機能を持つマスメディアは、Web2.0時代にはもっとも価値ある情報(オライリーならデータインサイドと言うだろう)を商品として有しているのである。Web2.0に即したアイデアとテクノロジーを用いれば、正しく情報をマネタイズできるはずと僕は思っている。(Feedpathは、そのお手伝いをするための会社と言っていい)

Web1.0的あるいはそれ以前のアプローチであれば、楽天やライブドアのようにマスメディアの買収、という強引な形をとるかもしれないが、Web2.0的アプローチは違う。企業買収は金によるコントロールだが、Web2.0の本質はマッシュアップでありシンジケーション(連携)である。

今回の朝日新聞社+Feedpath+GMOアドネットワークスの実験は、新しいシンジケーション手法の実験である。iTMSが音楽レーベルとアーティストの権利を守りつつユーザーを楽しませているように、Feedpathでの新しいアイデアで、マスメディアとジャーナリストの権利を守りつつユーザーに有用な情報をお届けしていきたい。Feedpathはそのためのインターメディアリーなツールとして存在価値を高めていきたいと考えている。

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