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ファッションビジネスとITビジネスにおける相似。

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テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」の特集によると、東京コレクションが存亡をかけて改革に乗り出しているという。東コレで新作発表を行うブランド、デザイナーがどんどん減っている。実質的な規模が縮小しているということである。

国内のアパレル市場は約10兆円。市場の実に25%を占める巨大市場なのだが、日本からの輸出はゼロに近い状況で、イタリア、フランスを筆頭とした外国からの極端な輸入超過状態に甘んじているとのこと。(この状況はIT産業にも言えるなあ)
メジャーなファッションコレクションは、NY、ロンドン、ミラノ、パリ、東京の5カ所で行われているが、既に上海コレクションのビジネス価値が急上昇しており、東コレの地位はその地盤沈下に多くの関係者が危機感を持っているらしい。(番組では、そうした状況の打開を試みる人々に焦点が当てられていた)

コレクションの成功は、つまるところコレクションで新作を発表したブランドの売上が上がることである。ジャーナリストが多く集まり、良い記事を書き、バイヤーが買う気になる、それが大事だ。東コレでショーを行ってもビジネスにならない、というのが通説になりつつあるが、それは東コレが、自分の存在意義と価値を周囲に知らしめる努力を忘れているからである。

目的を認識し、そのためだけの施策をとること。それが戦略であり、マーケティングだが、意外に日本企業はコレ(これ)が下手である。広告宣伝=マーケと思っている企業が明らかに多いように思うし、その広告でさえ刹那的なモノが多すぎて、コーポレートブランディングを損なうような結果を生んでいる。

反対に、世界で成功する企業にはフォーカスがある。

例えば、Appleの広告には遊び心はあっても悪ふざけは無い。ユーモアはあってもダジャレはない。なぜなら彼らは世界で最もクールなブランドの一つであり、そのように世界中に思われていたいからである。
Microsoftはハイテク企業は買うが野球チームは買わない。彼らは世界一のハイテク産業であると思われたいからだ。
Googleは技術的に見るべきところが無いサービスを提供したりしない。なぜなら彼らは最高のテクノロジー企業であると宣言しているからである。

フラクタル、という言葉がある。自然の創造物においてはたいていの場合、全体に対して部分が自己相似するというものだ。上述のIT企業達の行動の一つ一つは全体の動きに相似している。Googleのサービス一つ一つの特長は、Google全体の特長と一致する。フラクタルそのものなのだが、日本企業は割と部分と全体の動きが合ってないことも多いのである。

[追記]
東コレは今年、大改革を行ったそうだ。
よい結果が生まれることを願っている。

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