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Google Talk、そしてGoogleブラウザはいつか来た道(Googleについての考察-2)

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本当はAppleについてのエントリーをしたかったのだが、うっかりGoogle Talkに釣られた。

本日、ウワサの音声機能付きIM、Google Talkのダウンロードが始まった。利用にはGmailのアカウントが必要で、Windows XP/2000でないと現時点では使えない。基本的にはJabberベースであり、Macユーザーの場合は、iChat上でJabberアカウントを選択すれば、GmailのIDとパスワードを登録してChatそのものは行うことができる。

Macユーザーである僕だが、オフィスではThinkPadも併用している。そこで、早速PowerBook上でのiChatへの設定を行い、同時にThinkPadでGoogle Talkをダウンロードしてみたところ、まずiChatがなぜか接続できない(自宅で再トライしたところうまくいったので、ファイアウォールの問題か?)。ThinkPadでは非常にスムースにインストールできて、3分後には使い始める事が出来た。

IMクライアントとしてのGoogle Talkの面白さは、(Google Talkクライアントの利用者同士ではあれば簡単に使える)SKYPEに引けを取らない音声通話の音質もあるが、それ以上に今までGmailを使っていたヒトであるならば、メールを送信したことのある相手を簡単に検索できる、サーチボックスを持っているところだ。Googleサジェストにも似て、一文字タイプした瞬間に、該当するメールアドレスがウィンドウに展開され、かつその人をGmail及びGoogle Talkにワンクリックで招待できるようになっている。しかも、既に招待済みのヒトも一目瞭然だ。だから、誰かを招待したくなるし、それを誘発してユーザーを一気に増やす事ができるというわけだ。実際、僕はインストール後わずか10分で3人と音声通話を試し、8人を招待してしまった。
さらに、Gmailに似て、チャットの履歴がスレッド化されるというインターフェイスを持っているので、元々のGmailユーザーなら馴染みやすいだろう。非常にシンプルでありながら、使いやすさはさすがだ。

・・・・これまで、Googleは市場で噂されたサービスは、ことごとく実現している。この分であれば、独自ブラウザをリリースというウワサも現実味を帯びてくるのではにないか。IE7.0は年内にリリースとの観測であるが、このタイミング次第では、Googleブラウザがもし登場すれば一気にシェアを食われるのではないだろうか?
これまでは、GoogleはGoogleデスクトップや、ツールバーなど、既存のブラウザへのアドオン型ツールの配布を繰り返してきた。(Gmailのリマインダーは、Google Talkのインストール時にアンインストールすることを推奨される。役目が終わったのである)
もし結果としてGoogleブラウザがリリースされたとすれば、これはGoogleが検索サービスのトップを奪うことになった戦略を彷彿させることになる。つまり、Googleは創業当時には自身のサイトにユーザーを誘導させる事はほとんどなく、Yahoo!を始めとするポータルサイトに検索エンジンを貸して、利用料を取るという収益モデルを選択していた。(だから、彼らは創業からかなり早い時期に黒字化していたのである。)
その後、高速且つ正確な検索結果と、素っ気ないほどに簡素なインターフェイスがプロユーザーの心をくすぐり、Googleは徐々に耳目を集めてきた。そして、本当に事業としてブレイクしたのは、Overtureが始めた検索結果に対して広告を掲載するという新しいビジネスモデルを模倣(そして改善)したときから、である。この頃になると、各ポータルサービスも、軒屋を貸して母屋をとられつつある現実に気がつき、検索エンジンの自社開発に乗り出す事になったわけだが、そのときには既にGoogleのブランドは確立されており、Googleは検索サイトとして独り立ちすることに成功していた。

説明が長くなったが、ブラウザにおいても同じで、まずは既存ブラウザにツールバー等の仕組みを提供しながらデスクトップ上に進出し、ユーザーがそれに慣れた時点で、全ての機能をインテグレートした独自ブラウザを出す。Firefoxがブラウザの乗り換え喚起が思ったほど困難ではないことを証明したので、もし本当にGoogleがこの決断をするとすれば、時期的にも満を持して、ということになるだろう。

考えるまでもなく、僕らはいま、パーソナルコンピューティングのほとんどをブラウザベースで行っている。ユーザーにとっては、ブラウザはOS以上に重要なソフトになったといってもいい。いずれにしても、MS vs Googleの対決が完全に表面化するのは、時間の問題だ。

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