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モバイルシフトとソーシャル化によって変化するネットの世界を、読者と一緒に探検するBlogです。

人材論 1

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たいていのオトナは1日に8 - 12時間くらいは働いている。その時間を有意義に過ごせるかどうかで、人生の愉しさが大きく変わってくることは言うまでもない。

こっそりと、真実を言ってしまうと、Bloggerの転職率は異常に高い。
特にアルファブロガーと呼ばれるランクにあるような人を数えてみれば、この確率はさらに上がる。その人が技術者である場合は、この2-3年を見るとほぼ100%と言っていい。(ところがBloggerとして有名になってから起業した、という人は、皆無ではないかもしれないが、ほとんどいない)

なぜか?

もちろん複合的な要素が絡むわけであるが、僕は、社内での評価と社外での評価に大きなギャップが生まれるせいであると考える。つまり、社内では年功序列だったり、せっかくの技術やアイデアが、その企業内では重きを置かれないものであったりして、優秀な人材であっても、たまたま所属した組織の中では価値を十二分に発揮できないことは往々にして起こる。

「まあまて。君はまだ若いんだし」

こんな言葉でしか報いることが出来ない上司や企業に耐える人は、例えば米国やアジア企業ならまずいない。彼らはキャリアパスを真剣に考えるから、スタートアップからの数年間を地道に送るなんていうムダをしないのである。日本は終身雇用というシステムによって、生涯にわたる保証をもってこのムダへの償いをしてきた。
(注)終身雇用には功罪がある。つまり、功の部分の評価も公平にしなくてはならない。

ところが、日本にあってもBloggerにとってはこの状況が変わってきた。自分の技能や興味を簡単にBroadできるうえ、同じような領域に生きている人たちと直接的なコミュニケーションを育んでくれる、Blogという素晴らしいツールに巡り会え、それを積極的に使うことを選択したわけである。これによって、社外、というか世間での評価を個人として受けることになり、優秀な人が正当な評判を得ることが容易になった。従って、社内での評価と社外での評価が一致しない、と感じることが徐々に増えてきた人には、積極的に自分から新天地を探すか、あるいはよりよいオファーを受ける機会も多くなっていくというわけだ。

企業はヒトである。強力なリーダー、優秀な社員がいる企業は当然競争力を増す。だから企業は良い人材を得ようと必死になる。

だが、企業がそうした人材に提供できるものはいったい何か?「この会社で働きたい」と思わせ、働き続けることにプライドを持てるようにするにはどうしたらいいだろう。

あくまで個人的な意見、であるが、大企業なら、やはり安定した雇用、だろう。将来を心配せずに働けるというメリットは大きい。若いうちはいいが、家族を持ってなお保守的にならないヒトはある意味特殊である。
精緻な組織体制やヒエラルキーは、活力を奪うリスクもあるが、新入社員から入って、徐々に階段を上り、それに従って給料が上がる。こういう頭に描きやすい楽しみは必要である。今あなたがいる会社に、あなたが50歳のときに働いていることを想像できるだろうか?
要は、寄らば大樹、ではなく、大きな組織のトップに上り詰めるまでの過程を楽しめるような人材に対して、資金力や組織力をベースに長い期間にわたって事業に取り組める素地があるよ、とアピールするべきだと思う。

ベンチャーであれば、未上場の場合は、これからIPOをして、社員も大きなキャピタルゲインを得る可能性があるわけで、仕事の楽しみとともに報酬の面でも期待を胸に抱くことが可能だ。この場合、会社を大きくするというビジョンと個人の幸せが一致しやすい。公平な人事戦略と優秀なリーダーがいれば、その可能性に賭けて自らリスクをとる人材の確保は十分可能であり、冒頭に書いたようなアルファな人たちはこの選択をすることが多いようだ。

上場しているベンチャーである場合は、ストックオプションやキャピタルゲインという分かりやすいメリットを提供できないから、上述の大企業と同じように安定雇用とだんだん上がっていく報酬を約束するか、それともよりいっそう大きく成長することによって社員にある種のドライブ感(それによって報酬も短期間で上がっていくという楽しみ)を提供するしかないと思う。ビジョンやリーダーシップは、そのためのベクトルとなるはずだ。業績が頭打ちになった瞬間に、能力のあるヒトなら、もっと自分の力を活かせる場所を探し始めてしまう。IPOしたベンチャーの経営者の多くはまだ若いので、長期政権になりやすい。そうすると、その下で働く人たちの多くは年齢とキャリアが上がっても、それに見合うポジションを得づらくなる。だから、そういう人たちのために企業規模を大きくして、成長感を維持して、それぞれの事業の経営者としての道を造っていかなくては居場所を失ってしまうのである・・・。

いずれにしても家族経営でない限り、企業は成長しなくてはならず、そのためには良い人材が必要だ。人材を確保するためのコストは安くないので、定着させる努力も必要だ。それには、個人のキャリアパスと企業の成長を同期させるための方策が必要になるのである。

皆さんの会社は、どのような価値や特典を社員に提供されていますか?
(不断の努力が要求される、非常にチャレンジングな・・・)

>> This is just my own personal opinion as same as other entries are.

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