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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

Apple Vision Proが世の中に出回り始めているらしい件

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米国内でApple Vision Proが出回り始めていて、それを装着して街中を出歩いてる人がいるぞという話が流れ始めているようです。
別に誰が何を着てどこを出歩こうがその人の自由ではありますが、「それで出歩くか?」というのが正直なところ。ひょっとしたらこんな光景が早晩日常になるのかもしれませんが、今の今は素直に「それする?」というのが自分の気持ちです。
いや別に個人の自由なんでどうでも良いんですけどね。

実は2000年頃に一時期話題になったWearable PCという世界のプロモーションにほんの少しだけ関わったことがあるんですけれど

思い起こせば殆ど四半世紀前の話。Wearable PCというのが話題になった時代がありました。私が関わったものは当時の勤務先が開発をしていたもので、サイズ的に言うとちょっと小さな弁当箱くらいの本体を腰にクリップで着けて片目の前に小さなスクリーンを持ったヘッドマウントディスプレイを眼鏡のように装着するもの。OSはWindowsで、ちょうど目の前50センチくらいのところに15インチくらいのディスプレイサイズの画面が浮かび上がるように見えるモノでした。

見た目はちょっと前のGoogle Glassと殆ど同じ感じでしたが、時代的に「本体」がもうちょっと大きくてバッテリの持ち時間も精々数時間。しかも見えるのはWindowsの画面。まぁそれはそれでカッコよかったんですけどね...

時代的にはいわゆるAR的なものが形になる前の話で、当初はたとえばエンジニアリングの場で機器のマニュアルを表示するような用途が主に考えられていた機器でした。実はそれ以前からエンジニアリングの場だけでなく軍用でも前線の兵に必要な情報を伝えるユーザーインターフェイスとして開発が進められていた物もあったりしたんですが、その当時はWindowsの画面をそのまま表示するものであったことや、ネットワーク環境も今のような例えばWiFIや5Gのような通信環境インフラがまだ無い時代に、さらに視線を外せない状態で片目だけにそういう画面を出すことが脳や視神経にどのような影響を与えるか全くわからず、壊れた時に眼球を直接傷つける事になることに対する製造物責任補償の問題なども重なり、一般的に普及させる以前にエンジニアリング用途であっても現場への適用がうまくできないまま、特殊用途は別にして汎用機な機器になれないずに結果的に消えていったのをよく覚えています。

因みに私がかかわったのはプロトタイプを大規模イベントの場でお披露目していろんな人に試してもらう場を仕切っていたのですが、未来的でカッコいいという反響はともかく「これつけて何するんでしょうね」という話ばかりが上がっていた記憶があります。
まぁそれは昔話。
じゃぁ今の時代はどうよと言うと...

もちろん今だからこそ実現できる色々なモノがあるのはわかっているつもりなんですが

実は当時のWearable PCでもよく言われたのが「これ着けて街中にいたら怪しいよね」というお話。Google Glassのようなヘッドマウントディスプレイをつけて街中を歩いていたらかなり怪しい人です。そして今回デリバリが始まったApple Vision Proはゴーグルな訳ですが、見た目の怪しさを全部忘れても冬場だから良いとして、これを夏季につけていると自分の汗で目の前が曇りそうです。いや、寒い季節でも状況によってはワイパーや換気用にファンが付いていないと面倒くさいぞとかスキー場でのゴーグルの曇りと格闘した過去を思い出します。

じゃぁ眼鏡になれば大丈夫かというと本来の眼鏡の役割である視力矯正のレンズと映像投影の為の機能をどうやって両立させるんだろうかどこの眼鏡屋でレンズ入れてくれるんだよとか、そもそもコンタクトレンズ必須になるのかとか、でも重くなると頭痛を起こしそうだよなとか、まぁロクなこと考えない素人の自分の思考に自己嫌悪に陥ります。

いや、それもこれもApple がやるんだぞ凄いぞというブランド信仰意識を全く持っておらず、機能的にこれが自分という生活者にとって何の意味があるのかなという狭い観測範囲のなかでの視点しか持たないからなんですけれど、それに加え過去にWearable PCにほんの少しだけ関係したというある意味ネガティブな体験を差し引いてもやっぱり良く分かりません。

これがあれば凄いぞ世の中変わるぞというのを是非とも誰か教えてほしい

これは各方面のReviewを待ちたいと思います。本当に聞いてみたいんです。

多分目の前が素通しではないゲーム用とかのゴーグルグラスとは違う世界があると思うんです。
きっと。
ゲーム用とかの今存在するゴーグルグラスについては私自身が3D酔いを簡単に克服できない人なので、楽しむ以前の段階で脱落したんですけれど。

多分ドローンのFPV用ゴーグルで見える世界とは違う世界があると思うんです。
きっと。
これは単純に飛んでる前方を見る話なので競技で宙返りとか繰り返さない限り見ていられますけど、あまりに用途が限られていて一般的ではないですけれど。

それやこれやで何に使うんだろうってのが個人的に謎なんです。

私自身アタマが固くて各方面に申し訳ないとは思うのと、それに加えて個人的に「今後の〇〇に期待!」というオチで文章を書くのは本当に嫌いなのですが、とは言えこの技術に関しては実際に使ってみた人の話を聞いてみたいと思ってはいます。
でも聞いたから自分のものとして所有することを考える動機になるかどうかってのは本当にわかりません。Appleが作ったからと飛びつく行動原理も持ち合わせていませんが、それでも技術的にこのようなデバイスって今後どうなのよというところを自分的に考える上での興味はあります。
ということで製品カテゴリーに対する期待とかとは全く別の立ち位置として「今後の使ってみたレポートに期待」してみたいと思います。

但し、どういう話を期待しているのかは自分でも良く分かっていないのですが。

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