通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

ドローンを飛ばす人向けに総務省から条件により無線従事者資格を必須としますよという方向の話があるらしい件

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先日の首相官邸屋上でドローンが見つかった話に引き続き、長野の善光寺御開帳の一連の行事のさなかに行列の中にドローン1機が制御不能となって墜ちるなど、色々と騒がしくなってきています。ちなみに無人でどこまで飛ばすのか飛ばせるのかというのは世界各国でそれぞれ問題になっていて、たとえば米国では何かしらの航空機操縦免許に類するような資格取得を義務付けようという動きもその一つだったりするわけです。

ちなみに、趣味のラジコン飛行機とは違うカテゴリーとしての無線で遠隔制御する飛翔体(昨今ドローンと括られる物全体)自体の夢やらなんやらは良く判るし、それらが実は今でも、そしてこれからもきっといろんな役に立つであろう事は良く認識しているのですが、もともと同時多発テロ攻撃に最適な道具だったりする背景もあり、個人的には所有や操縦、そしてそのための無線の利用についてはガッチリ規制をかけるべきだ論を持っています。もちろん世の中的には規制はするべきではなく、むしろ自由に使えるための制度を整備するべきだという議論もあるのは知っていますが、既に趣味の延長の失敗や個人的にやらかしちゃいましたという言い訳では済まされない事態が起きてる以上、もう後戻りするべきではないと思っていたりします。個人的にはですが。

 

総務省が無線従事者資格で打って出てきた

これはなるほどと思ったのですが、ドローンを操作する無線機器の出力等の条件により無線従事者免許、具体的には第三級陸上特殊無線技士(通称 三陸特)以上の資格が必要な要件を整備するという話。とりあえず、おー、なるほど、これで来たか、という感じです。略称はなんだか自衛隊の階級みたいですが、これが正しい略称です(笑)
で、無線絡みということで、たとえばこんなところにも取り上げられたりしてます。

hamlife.jp 【情報追加】<読売新聞が報道>政府、ドローンの操作に「第3級陸上特殊無線技士」の免許取得を義務づけへ!!

ちなみに仕事の絡みで上位資格を持ってる私自身はこの規制に対してはどうやら勝ち組らしいので、ドローンの操縦の委託事業を始めようかと何処まで本気かわからない事を考えていますが、それはさておき、実はこの規制、ちょいと仕込みがあるなと思ったりしています。さて、それは何かというと...

 

無線従事者免許が必要であるということは、操作する機器にもそれなりに基準が適用されるんじゃないかな?

今回の規制、三陸特以上が必要なのは大体半径5キロを超える飛行可能範囲を持つドローンの操作、とあるわけですが、そもそもたとえば2.4GHz帯でそんなに遠くまで電波を飛ばせる出力を持つ機器は使っちゃいけません。10mWまでです。もちろん電波なので実際には条件が良ければ一般に市販されているWiFiルータとかでも電波として届く可能性はありますが、出力が10mWを超えることはできません。現在国内では比較的自由に使える周波数としてはここしかなく、実際飛んでいるドローンの多くがこの2.4GHz帯を使っているのですが、実は5キロなんて遠くまで2.4Ghz帯の電波を飛ばせないんです。もちろん条件が良ければ電波は飛びます。でも不安定になります。電波は距離の2乗に比例して弱くなるんです。この物理法則は誰にも変えられない。

とすると自律飛行させるとか制御機器の出力を上げるか、あるいは別の周波数帯を使って制御するか。でも、現状日本ではそのいずれも違法です。ちなみに電波を水平線以上の角度に対して出す事は、電波法上は航空無線免許を持つ人と航空無線のために作られた無線機器の組み合わせ、あるいは衛星通信用機器(操作には一陸特以上の資格が必要)等いくつかの例外を除いてやってはいけない話です。これ、意外と知られていないんですが、とりあえず10mWという小出力の範囲であれば黙認するという流れかとは思います。

でもってもちろん三陸特以上の免許が必要な機器の場合には正しい無線機器として必要な技術適合試験は通してね♪(技適マークをつけてね)という話につながってくる訳で、それをどう解釈するか。このあたりの運用がどうなるのかなってのは気になります。

 

電波法上のグレーな領域で使われているドローンの存在

実は利用するのは微妙な周波数帯域で、かつ違法な高出力無線機を使って飛行する輸入ドローンが結構存在しているようですが、無線局として免許を発給してもらえなければ問答無用で違法無線局。そのその無線局を扱える免許を操作する人(操縦する人?)が持っていなければ電波法違反で処罰対象となります。逮捕もありますし、罰金等の行政処分だけでなく状況によっては懲役刑まで含めた刑罰の対象になります。甘く見ちゃいけません。

また中にはアマチュア無線の帯域を使うものもあるようなのですが、アマチュア無線免許を持ってない貴方はだめでしょとかまで含めていろいろあるみたいですし、そもそも営利目的で利用してはいけない。業務用の無線利用であれば業務用途に使える免許帯域と正しく免許された無線機器、そして操作に必要な免許や資格の保持者の組み合わせが必要なわけで、ここはドローンってどうよ議論とは別の次元で電波の適正な利用を図るという側面から大手を振って規制をかけられる領域だったりします。

 

繰り返しますが、個人的には、規制のための規制ではなく適正な利用のためであれば規制は必要だと思っています。

新しい技術だし今までになかった用途を目指しているのだから規制することはオカシイし止めるべきだという意見が出ることがあります。規制があるからアイデアが潰されるという言い方がされることもあります。既得権を守るためだろうとか、既得権益を持っている誰かが手をまわしてるんだろうとか言われることもあります。

ドローンにまつわる話にもそれらの論調の多くが当てはまる気がします。

でも、目に見える被害だけではなく、既存の機能している枠組みや仕組みをふんづけているのに気がついてないなら、その仕組みができた背景を理解してもらったうえでルールを守ってもらうのが正しい方向だと思うんですね。たとえばドローンの規制に関しては正にそういう段階なんじゃないかと思っています。もちろん可能性や夢について一律に否定するではなく、むしろそれらをどうやったら今の社会の仕組みや法律の枠組みを生かして実現できるかとか、そう考えることは決して何かに迎合してるとか後ろ向きだとかそういう話じゃないと思ってるんです。

ちなみに規制そのものの話について、航空法の絡みで国交省が動いてるとかいう話は以前から流れていましたが、全く違う方向から総務省が動いてきた事が何か面白いなと思いつつ、きちんとした秩序の中で用途が広がってゆけば良いとも願っています。

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ドローンがぶつかってきそうだったり、プライバシーの侵害を受けそうな場合、ドローンを叩き落とすなどで破壊しても、壊したドローンの損害賠償を負わなくて良いようにしてほしいです。

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