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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

数学の鉛筆を握るのに、その汚い手はなんだ

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おはようございます。

朝もところどころでスコールのような雨が降ります。

===ほぼ毎朝エッセー===

高知には、私がロンドン日本人中学でお世話になった先生がいらっしゃいます。数学の先生で開校直後の中2後半と中3での担任もしてもらいました。7月末の高知出張では、その先生と数時間じっくりお話をすることができました。

先生のお話から:

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最初に教壇に立ったのは、大学を卒業してすぐ、22歳でした。東京の大森の定時制高校で数学を教えたのです。つまり夜間です。

当時の日本は高度成長時代。地方から中卒の人たちが沢山働きに出てきてました。何せ、定時高校の倍率が3倍という時代ですからね。多くの人が高校に入りたがる。

定時高校に入ろうとしても入れず浪人生も出る状態でもありました。だから22歳といえば、生徒とほんの数才違いですよ。

彼らも昼間働いて疲れていたんだろうな。授業中寝ていたりしていた。当初は腹を立てていたんですよね。そして、今でも顔がほてってしまうほどのある恥ずかしいことを思い出します。

ある生徒の手が真っ黒に汚れていて叱ったことがあるんですよ。数学の鉛筆を握るのに、その汚い手はなんだと。

するとその生徒が涙目で訴えたのです。先生、これ、石鹸や砂でどうやって洗っても取れないんですと。

よく見ると昼間の仕事の機械油が手にしみこんでいたのです。昼間そこまでして働いている生徒の前で恥ずかしかったですよ、自分が。

その後、特に何も言わなくしました。すると不思議です。生徒も誰一人寝なくなりましたね。

人生とは面白いもので、その時の絆が50数年経った今も残っているのです。今度、9月に当時の定時高校の卒業生が5人。先生の家に泊めてくださいと、高知にやってきます。2年前の同窓会に呼ばれたことがきっかけです。

坂本君も今回、こうやって訪ねてきてくれる。人生、真面目にまっすぐ生きるもんだね。だからこういうこともある。

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私が中学で教わった当時、先生は36歳。今の私よりも20歳以上年下。人の縁とは不思議なものですね。

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