文字化けは「Google, Ireland」、アイルランドから請求される理由
おはようございます。
昼間はまだ日差しが強いものの朝日はずいぶん低くなってきました。
地球の公転を感じます。
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昨日のブログにコメントいただきました。ありがとうございます。
以下引用==>
文字化けの法則を推測しましたが、恐らく「ア~ケ=a~i,タ~ネ=j~r,ヘ~ヤ=s~z」に対応すると思います。
「Gナナキツオ、Iネオツアトエ」は「Google, Ireland」だったようですね。
ちょっとした謎解き面白かったです。
<==以上引用終り
また、社内のOさんからも【朝メール】エッセーに下記コメント。
以下引用==>
これが「Googleのアドワーズ利用料」だということから推理すると、
『Gナナキツオ、Iネオツアトエ』は "Google, Ireland" が文字化けしたものと
思われます。
理由を書いていると業務に差し障るのでここでは割愛させていただきますが、
ご興味がありましたら、休憩時間に直接説明いたします。
<==以上引用終り
さすがIT業界の皆さん。
文字化けを見るとその理由を調査してしまうのですね。謎を解いてくれました。
そして昨夕のことなのですが、マッサージチェアでお隣した新入社員のOさんから質問が。
「なんでGoogleがアイルランドなのですか?」
こう答えました。
「アイルランドは"Tax Haven"だから」
タックス・ヘイブンとは何か、今朝はそれを簡単に説明してみましょう。
"Tax Haven"、直訳すると税金の安息所。
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株式会社は利益を出すことを目標にしています。
モノやサービスを売って、かかった原価や給料などの費用を引く。これが「営業利益」です。
さらに利息や配当など、本業外での収支も加味する。これが「経常利益」です。
経常利益を全部自分たちのものにできればハッピーなのですがそうはいきません。
そこから税金を払います。
「経常利益」を税務署に申告します。すると、「経常利益」に、
「国」「都道府県」「区市町村」の取り分の%をかけて納税する義務が発生します。
税金は事業をその場で安全にやらせてもらっていることへのお礼、いわゆる「場代」です。
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ところで、日本では税金が取れる単位で「議会」や「役所」があるのが面白いです。
税金が入ってくるから最適な配分を考える必要がある。だから議会や役所がある。
税金が入ってくるのだから使わなければいけない。節約すると翌年から減らされる。
そのルールや率の見直しが殆どされないで「既得権」のようになってしまっています。
企業側はなるべく利益が出なかったことにして、社用車やら社宅やらを手配したり、
費用を多く使ったりして「節税する」というような概念が横行します。
それを税務署が目を光らせてチェックにやってくる。キツネとタヌキの化かしあい。
閑話休題。
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「経常利益」から場代である「税金」を引いて残るのが、その会社の「純利益」です。
この「純利益」が、株主がどう処理するかを決められる、自由になるお金なのです。
翌年度の事業への再投資に使ってもいいし、株主に還元する配当に使ってもいい。
だから資本主義社会において、株式会社の優秀性の尺度は次にあります。
「投資したお金に対してどれだけの『純利益』を生むマシンなのか」
この「純利益」が場代(税金)を払った後のものであることがミソです。
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税率やルールは各国がそれぞれ決めています。
企業にしてみれば、事業活動をする場代が安い国と高い国があるのです。
一覧表が世界の法人税率というサイトにありました。
http://www.777money.com/torivia/houjinzei_world.htm
そのサイトによると、「法人所得税」と法人住民税などを合わせた「法定実効税率」は、
日本が39.54%、アメリカは39.25%と突出して高く、イギリスは28%、ドイツは30.18%、
そしてアイルランドは12.5%となっています。
安全で社会的インフラが整備されてビジネスをしやすい環境なのだから場代が高いのだ。
そのように考えてもいいでしょう。一方、法人税率が低い国も存在します。
それはなぜか。
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Googleのようなマルチナショナルなネット企業だと自由自在です。
行き来するデータはネット上で自由自在。そのデータをビジネスにしています。
プロフィットセンターを税率の低いところにあっさりと持って行ってしまいます。
同じ「経常利益」でも「純利益」が日本では6割程度に目減りするのに対して、
アイルランドに本社があるとするだけで、9割近くが残ることになるわけです。
だから日本でGoogle Adwordsを使ってカード決裁決済したのに、売上はアイルランドで立ちます。
日本ではなるべく利益を出さないように調整しているのです。高い場代も節約できます。
「投資した金額に対してどれだけの『純利益』を生むマシンなのか」
残った「純利益」は自分自身に再投資することもできるし、株主に戻すこともできる。
場代の安い国に本社を持てて同じオペレーションができれば、より優秀な会社になるわけです。
だから、あのような請求書がきたのです。
『Gナナキツオ、Iネオツアトエ』は "Google, Ireland"
場代を安く設定している国にも理由があります。
世界から優秀な会社を引きつけることで、たとえ率が低くても税金の絶対額が多くなる。
国民も企業からの税金で豊かな社会サービスが受けられるのでハッピーですよね。
国も生態系で頑張る生き物。
税金の天国安息所、タックス・ヘイブン。こういう理屈で成り立っています。
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※20120914 10:30 havenとheavenの件、間違っていました。それにともなう修正をしました。