人とチンパンジーの違いから学びました
おはようございます。
今朝は冷え込みが少なく快適なウォーキングでした。
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昨晩はNHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間になれたのか』を観ました。
「いまあるこの地球や生物が、どのような経過の積み重ねでこうなってきたのか。」
自分はこの分野の好奇心が強く、この手の進化論特集が大好きなのです。
考えてみれば、自分が会社を始めてみたのも同種の知識欲からきています。
「いまある会社が、どのような過程の積み重ねでこうなってきたのか。」
歴史的な名企業がどういった過程を経て成長していくのか、その過程をゼロから知りたい。じっくりと学ぶにはその場に身を置いてみるのが一番いい。だから会社を創ってみた。一時は危く "Curiosity killed the cat." になりかけましたが、おかげさまで今はその過程をしっかりと実体験できています。
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昨晩の『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第1集 旅はアフリカからはじまった』も期待を裏切らない内容でした。時系列的な整理をすると次のようになります。
・チンパンジーと人類へと続く類人猿とが分化したのが700万年前。
・ホモ・サピエンスが生まれたのが20万年前。
→アフリカ全土で2万人程の人類。
・7万41千年前のスマトラ島トバ火山大噴火による地球の冷却と食糧不足
→家族、部族を超えた協力関係が始まる。
・アフリカから世界に拡散したのがほんの6万年前。
→つまり人類がアフリカ大陸だけにいたのは14万年間。
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ポイントはチンパンジーと人類との類似点と違い。京都大学での実験が取り上げられていました。
・手の届かないところにあるジュースを取りたいチンパンジーA。
・隣の部屋に隔離されている別なチンパンジーBの近くには杖がある。
・チンパンジーAはチンパンジーBに杖を貸してくれと頼む。
・チンパンジーBはそれに応じて、窓から杖を渡す。
・チンパンジーAは無事に杖でジュースを手元に引き寄せる。
・チンパンジーAはそのままジュースを美味しそうに飲み干す。
・それを眺めているチンパンジーB。
頼まれれば助けるのです。見返りも求めていません。道具もちゃんと使います。そういえば一時、人類と動物の違いは道具を使うか否かだという通説がありましたね。動物を侮ってはいけません。道具なんて当たり前に使います。
さて、この実験で大切だったのは、その次のことでした。別な日に同じシチュエーションを作って実験したのです。
・手の届かないところにあるジュースを取りたいチンパンジーA。
・隣の部屋に隔離されている別なチンパンジーBの近くには杖がある。
そこでチンパンジーBが杖を自発的にチンパンジーAに渡すかどうか観察していたのですね。Bが前に分け前をくれなかったことを根に持っているわけかと思いきやそうでもないのです。
・チンパンジーAは杖を渡して欲しいとチンパンジーBに頼む。
・チンパンジーBはそれに応じて、窓から杖を渡す。
・チンパンジーAは無事に杖でジュースを手元に引き寄せる。
・チンパンジーAはそのままジュースを美味しそうに飲み干す。
・それを眺めているチンパンジーB。
チンパンジーBは自分から気を利かせて杖を差し出すことはしなかったのです。
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DNAレベルで1%しか違いが無い、人類とチンパンジーの最大の違いは人は自分から「おせっかい」を焼くことだと番組では結論付けていました。そして人がなぜ「おせっかい」を焼くようになったのか。様々な理由が挙げられていました。
「おせっかい」を焼くことが人を人たらしめているという考えが新鮮でした。
以前おせっかいを焼く組織については以前朝メールに書いたことがあることを思い出します。
『日本的「おせっかい」がビジネスを強くするのではないか』
つまりこれは『日本的』とは限らないということです。『人間的』なのかも知れません。
人らしい組織というのは何なのか、ヒントになりますね。
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※京都大学の実験、論文は『チンパンジーとヒトの共通点・相違点: 社会的知性を中心に』
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/148029/1/100_145.pdf
これを取り上げた2009年の朝日新聞は『チンパンジーも手助け 京大チームが実験』
http://www.asahi.com/eco/OSK200910150010.html