ガラパゴスAndroid(ガラロイド)は世界進出の大チャンスか
おはようございます。
今朝は続々と出てくる、日本市場に特化したAndroid端末たち。ガラパゴスAndroid、ガラドロイド、ガラドロ、ガラロイド、とでもいうのでしょうか。その安全性とチャンスについての考察を。
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■IS03に見られた工夫
IS03を立ち上げると"Android au with Google"と、誇らしげにロゴが出てきます。IS03はroot権限が奪取されないような工夫をGoogle社と作り込みしてあるとのことです。つまり、KDDIが提供する遠隔消去や遠隔ロックなどの機能と組み合わせれば、ビジネス端末としてもかなり安全だということになります。
root権限を奪取するというのは、例えばPCからUSB接続で端末内部のファイルにアクセスしたいときなどに実施することです。root権限があれば、端末のファイルに殆ど何でもできるようになります。iPhoneで言えばジェイルブレイクに近いニュアンスでしょうか。
スパイウェアやウィルスで、端末にアプリ越しに何かをしかけようとするときには、root奪取が必要になります。つまり、rootが奪取されていない端末では、理屈上はスパイウェアやウィルスに対して安心して使えるともいえます。
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■ガラロイドが安全だという一つの図式
では、はたしてroot権限が奪取できないようにするのは可能なのでしょうか?完全には無理だとしても、OSレベルから防御してあれば、かなり困難にすることは可能です。
そこで先日、うちのAndroid対応プログラムを精力的に開発している柳澤さんと雑談をしていたら、一つの図式が生まれてきました。
◇OSレベルからroot権限奪取への対策をしてある
(ハッキングの難易度が高い可能性大)
↓
◇IS03は世界市場に打って出る端末ではない
(Android界のガラケー、世界標準端末にはならない)
↓
◇IS03のroot権限をハックする方法見つけ出したとしても日本のみ
(ハッカーたちの達成感が低い)
↓
◇つまり難易度高く効果が小さい端末である
(故に安全である確率が高い)
以前、Windows対MacのCMを思い出しました。Macは攻撃されることが少ない故に気楽で安全。Windowsは攻撃されるのでがんじがらめに防御が必要。このような趣旨のものがありました。
同様の図式がガラパゴスAndroid、ガラドロたちにもチャンスあるということになります。馬鹿にすることなかれガラパゴスAndroid。意外と次のガラパゴス化への罠にはまりながらも、沢山売れるようになるかも。
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■ガラロイドは世界進出への大チャンス
一転、国内限定などとは言わずに、例えば公共機関交通システムとして、モバイルSuicaなどとの標準規格を作って、その国に端末ごと売り込むというような動きをしたらどうでしょうか?モバイルSuicaだって、この世界最大級人口の都市での交通システムと連動して安定稼働する化け物のようなシステムです。一朝一夕にできるものではありません。
5年のアドバンテージを持つ、日本のガラケーノウハウをガラロイドで発揮させるのです。それを端末と一緒のパッケージとして提案するのです。パッケージ戦略、新幹線や原子力発電所を売るのと同じ考え方です。
AndroidはOS自体がマルチランゲージでできています。標準のブラウザやマップなど、よく使う機能の乗せ換えに工数がかからないだけでも、ソフトウェア側には開発負担がぐっと少ないです。
万歩計だってそれ自体がどれだけの技術の塊か分かりません。身につけるものに健康管理をさせる。オムロンの体重計との赤外線あるいはBluetooth通信での自動集計クラウドなんてことも、本来日本でバラバラと実施されていたもの。日本メーカー連合の組み合わせで商品規格して、世界市場に打ち出していく大チャンスだともいえます。
「こんなことよくやるなぁ」
多少小馬鹿にされつつも新しいことを実現して提供してきたのが、この国の世界における存在価値ではないですか。だったら、それがより面白く実現できるようになってきた端末環境、このガラドロ環境を利用しない手はありません。
大チャンス到来と見ることができます。いかがでしょうか?
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※20101122 09:15 ガラドロ→ガラロイド、こちらの方がいい感じがしたので変更しました。(タイトル含む)
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