出産後24時間で退院させられるアメリカ型出産体験（2）

★昨日からの続きです。昨日はTwitterで、それはアメリカのHealth careがガタガタだからだ、というインプットもいただきました。巻末に引用します。アメリカ女性の体力が違うというよりは、短時間で退院すればそれだけ費用がかからないということの方が大きそうですね。

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1995年の５月にＭＢＡ修了式があり、その後、６月末に子供が産まれるタイミングです。留学派遣元の東レは、日本への帰国を８月上旬までずらしてくれる計らいをしてくれました。

サラリーマンです。働かないわけにもいきません。それなので次の転籍先に関連がある、ジョイントベンチャー先のデュポン社の工場内研究所での課題をもらい、そこに通うことになりました。CharlottesvilleからRichmondまで、100kmほど離れたところに、月水金の３日間、自動車で往復する日々がやってきます。

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研究所では、チェコ出身、デュポン社フェロー※のガバラ博士から個人教授を受けていました。101％濃度の硫酸にポリ・パラフェニレン・テレフタルアミドというポリマーを滞留させた際の、スルフォン基による汚染度合いと温度と時間の関係を、モデル化するという課題です。参考資料は過去の研究文献や、デュポン内の様々な技術者との打ち合わせです。

※なお、「フェロー」というのは、その会社のいわゆる技術理事、役職を持たずに、研究などで成果を上げた最上位の身分です。当時７万人のデュポン社でも20名いなかったと記憶しています。

「実験もせずにモデルを作るのは難しいのではないか？」あるときガバラさんに尋ねました。すると、「考えて考えて考え尽くしたところで最後に実験をする。実験というのはコストも労力もかかるから、闇雲にやるものではないのですよ」と穏やかににこやかに答えてくれました。

どちらかというとすぐに作業に飛び込む自分にとっては、新鮮な概念でした。

思い出してみると、なかなかＭＢＡとは無関係、かつ、今のＩＴビジネスともずいぶん違うことをしていました（笑）。役に立ったのは大学受験のときに代ゼミの『大西の化学』教わった化学反応速度の考え方でした。受験も役に立つものです！

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さて、閑話休題、出産話にもどります。

当時は携帯電話も普及していなかったので、ページャー（ポケベル）をレンタル契約して、妻からの緊急連絡が取れるようにしていました。陣痛がきたら速やかに病院に連れて行く必要があるからです。

6月19日月曜日の朝です。いつものようにRichmondに向かおうとすると、妻が、「陣痛が徐々にきている」と言います。すぐにデュポンでの指導員、モア（Moore）さんに電話連絡をして、その週は出社できないだろう旨を伝えます。

まずは診療病院に行きます。「準備して今日の午後から入院するように」とのことです。自宅に戻り、入院の準備をして、車にベビーシートを取り付け、病院に向かいます。

そして、入った個室です。分娩もそこでできるところなのですが、まるでホテルの一室のような場所です。ベッドでのんびりしていると、陣痛も治まってしまうようなくらい、平和な場所でした。

まだCharolottesvilleに残っていた同級生たちも入れ替わり立ち替わり、お見舞いにやってきます。自分はMacのPowerbook 180cの内蔵モデムを電話線につないで、様々な連絡を電子メールで取り合います。ローカルコールが固定料金のアメリカではとても重宝していました。AOL全盛の頃ですね。

定期的にやってくる陣痛、初産だったので、どこまでそれが痛くなるのかというのもよく分からずにいます。何せ周りに身近な出産経験者がいないというのも変わった状況です。すべてが実験。のんびり構えていると、「ちゃんと歩き回って！」とお医者さんにしかられます。妻はせっせと院内を歩き回っていました。

以下次号・・

いただいたTweetをいくつか掲載させてもらいます。