米国MBA取得へのプロセス具体例: 実は何年にもわたるプロジェクトです
★何回かにわたってバージニア大学のDarden校でのMBA教育について書いてきましたが、今朝はそこに行けるようになった実際のプロセスについて。
日本人で多くの場合、MBAに行くというプロセスは企業派遣だったりします。もちろん、退社あるいは休職をして、自分で学費を払いながら行く人も多数います。約7割が企業派遣という実感でしょうか。自分の場合も企業派遣でした。
ちなみにこの企業派遣という制度は他国では殆ど聞きません。同級生に企業がスポンサーだと言うと、かなり驚かれたり羨ましがられたりします。社員を信頼して育てるという、旧来日本企業の経営信念が垣間見られるものなのかも知れません。
企業派遣でのプロセスは大まかに次のようなステップを踏みます。渡米する20ヶ月、およそ2年も前から水面下で進むのです。
・社内選考 (渡米20ヶ月前)
・準備 (渡米20ヶ月前)
・受験 (渡米8ヶ月前)
・合格 (渡米6ヶ月前)
・人事部に移籍・渡米 (1993年7月)
・語学学校
・MBA1学年目
・夏休み
・MBA2学年目
・帰国
何年も企業派遣を続けている会社の場合は、そのプロセスがはっきりとしています。自分を派遣してくれた東レの場合は、自分の代が、留学派遣制度として最初のケースであったため、試行錯誤が多かったです。
振り返ってみると20代最後から30代前半に丸4年近くを費やす大プロジェクトでした。こういったところは大企業ですね。2年間人材を外に出してその人が将来成長することに賭けるわけですから。
では詳細を見ていきましょう。
■社内選考 1991年10月(29歳)
業務の実情、TOEICの点数、そして役員面接など主体とした社内選考があります。そもそも社内選考を受ける前に、その部署に「外に出ていく」意志を示し、さらに「出してくれること」に合意してもらう必要があります。そして思わぬ落とし穴があったりします。
社内選考に通ってしまうと、部署内では「次のアサインメントが決まった人」としてのレッテルが張られてしまいます。かたや、行く学校は何も決まっていません。順調に合格しても行けるのは20ヶ月後です。まさか不合格になるわけにもいかず、真綿で締め付けられるようなプレッシャーの中、30歳を目前に受験勉強が始まりました。仕事もポジションも中途半端な1年です。
■準備 1992年初頭より(29歳)
社内選考後すぐさま準備にかかります。受け入れてもらうまでに必要なことは次の6つです。それぞれに大変なプロセスです。
・GMATの受験結果
・TOEFLの受験結果(外国人のみ)
・エッセー(小論文)
・GPA (Grade Point Average)と学部時の成績証明書
・推薦状
・面接
そして、それよりも前に、どのような学校があるのかと、MBAの各コースについて調査するのも大切です。関連書籍を買いに書店に走ります。いろいろな特徴をもった学校がありますが、どれがいいのかは皆目見当がつきません。やはり、日本でも名前の通ったステータスの大学に行きたいな、などという気持ちもあったりします。
準備の中でも大変なのは、GMAT(ジーマット)というテストを受けて、いいスコアをとることです。GMATとはGraduate Management Admission Testの略で、ビジネススクールで必要とする最低限の学力についてのスクリーニングテストの役割をします。
試験の内容は英語でいうところの国語力で読解力やボキャブラリー力、高校1年程度の数学力ですが、そもそもネイティブ向けに難しく作られている英語力のテストと、数学も英語で受けるというのは、外国人にとってはかなりの難関だったりします。
他にも外国人には必須のTOEFL(トッフル:Test of English as a Foreign Language)で英語の勉強、そして、各大学から課題として出ているエッセー、いわゆる小論文、それぞれの大学に3通ずつ必要な推薦状などなど、想像していたよりもはるかに大変な準備プロセスだったりします。
準備のための予備校なども多数あります。ちょっとのぞいてみたら、テクニックを教え込んでいます。いわゆる進学予備校の様相です。費用もそれなりにかかります。「これじゃぁ、受験勉強の輸出だ」。 嫌悪感を覚えた自分は、独力で準備をすることに決めたのです。
以下次号・・・ 『米国MBA取得へのプロセス具体例(2):実際に学校を回り授業を受けて決めました』
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※20100422 07:11 以下次号のリンクをつけました。