水煮三国志:重要な仕事からやるための理屈(2)
★だいぶ前に手に取った本から。
【朝メール】20060516より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□水煮三国志
中国で流行ったビジネス本の名前です。書店でふと手にしました。三国志のキャラクターが次々と登場してきて会社を運営するというものです。自分は三国志について、佐藤さんが会社に持ち込んでくれた横山光輝のコミック全60巻を読破したくらいの知識しかないのですが、なんとなく面白く思ったのでしょう。つい買ってしまいました。
劉(劉備元徳)社長が諸葛孔明コンサルに三顧の礼で相談に出向いたときの話にタイムマネジメントについての記述があります。こんな感じです。
==以下引用==
■諸葛孔明のバケツ理論
「これからやろうとしていることは、とてつもなく大きなプロジェクトです。事務処理も膨大になります。そのため、時間管理術が成否を左右します。」
そう言ってから(諸葛孔明は)隣の部屋にいた研究員を呼びつけ、石、砂利、砂、水、大きなバケツを用意するように指示した。
「そんなもの、何に使うんですか?」劉備はいぶかしがった。
==中略==
「このバケツの要領を一定時間内に一人の人が処理できる最大の仕事量と仮定します。砂利は重要で緊急な仕事、石は重要だた緊急ではない仕事、砂は緊急だが重要ではない仕事、水は重要でも緊急でもない仕事をそれぞれ表すものだと思ってください。」
重要 | 重要ではない | |
緊急 | A 砂利タイプの仕事 ・危機的案件・差し迫った問題 ・期限が設定された重大な計画 |
C 砂タイプの仕事 ・突然の来客応対・手紙・書類・電話の処理 ・会議や行事への出席 |
緊急ではない | B 石タイプの仕事 ・新規開拓、業務提携・企画立案 ・業務改善、ミス撲滅 |
D 水タイプの仕事 ・やってもやらなくてもいい雑務・必然性のない来客 ・取るに足らない行事 |
「ふだん劉社長はこの表で言うとどのタイプを重視していますか?」孔明が訊いた。
「もちろんAタイプです。」劉備はためらいなく答えた。
「それでは、Bタイプは?」
「それなりに重要なことはわかりますが、着手する時間が取れないんですよ。」
孔明は砂利をバケツの中に入れた。次いで、石を入れてみたがすべては入りきらなかった。
「それはこういう状態じゃありませんか?」
「そのとおりです」劉備は頷いた。
「それじゃ石と砂利を入れる順番を変えてみましょう」
孔明は石をひとつずつ丁寧にバケツに入れた。用意した石はすべて収まった。そうしてから劉備に訊ねた。
「バケツは石でいっぱいになりました。これ以上何か入れることができるでしょうか?」
「できませんね」劉備はすぐに答えた。
「本当にそうでしょうか?」孔明はそう言うとバケツを持ち上げ左右に揺らしてから、砂利をゆっくりとバケツに入れた。すべての砂利がバケツの中に納まった。
「このバケツのキャパシティはここまででしょうか?」
「まだ・・・入りそうですね」劉備はバケツの中を見て答えた。
「それでは今度はこの砂を入れてみましょう」
用意した砂も隙間に落ちていった。
「これで完全に一杯になりましたね?」孔明は石と砂利と砂でいっぱいになったバケツを見せながら訊いた。
「まだまだ」劉備は机に残ったコップに入った水をチラッと見てから答えた。
「そうですね、まだ余裕がありますね」諸葛孔明はコップの水を慎重にバケツの中に注いだ。
「この実験で私が何を言いたいかわかってくれましたか?」
訊かれるまでもなく劉備にはすでにピンときていた。
「さきほどの『問題を整理し、優先順位付けをしてから処理する』ってことですね?」
「そうです。ここに用意したものを入れる順番を変えただけでこのとおりです。要するに、何が石で、何が砂利で、何が砂であり水であるのかを分類してからバケツに入れなくては時間の無駄になります。タイムマネジメントの観点で言えば、まず最初に石は何かを見極めることです。」
「ところで・・・、さっき見せてくれた表の各タイプの特徴みたいのはあるんですか?」
「えぇ。砂利タイプの仕事をする人はプレッシャーの中で危機管理の収拾に追われて心身とも疲れ果てることになります。砂タイプの仕事をする人は、自制心がない、目先の利益にとらわれやすい、言葉巧み、人間関係が上辺だけといった特徴があります。水タイプの仕事をする人は、責任感がなく、私生活のコントロールも困難といった傾向が見られます。」
「そうすると石タイプの仕事を重視するあまり、砂タイプの仕事を疎かにする恐れもあるんじゃないですか?」と劉備が訊くと、孔明はにっこり笑って次のように答えた。
「砂利は石を砕いたものなんですよ。石タイプの仕事をするべき人は、砂利タイプの仕事をしかるべき人間に権限委譲して任せればいいんです。権限委譲できればタイムマネジメントもうまく行きます」
劉備は大きく頷いた。
孔明は話を続けた。
「石タイプの仕事を重視する人が効率のいい仕事をする人です。このタイプの人は情勢をよく観察し、時機を逃さず実行します。緊急事態に遭うこともありますが、手際よく処理していきます。長期的な視点でビジョンを描き、自制心が強い。しかも私生活も規則正しい。偉大な事業を成し遂げられるタイプです。」
==以上引用終わり==
キャラクターに色々と話をさせているところが面白いですね。一気に読みました。
『水煮三国志』成君憶 (著), 呉常春 (翻訳), 泉京鹿 (翻訳)
★今、我々がやっている仕事の内容が、従来の水や砂から、徐々に砂利や石へと変化してきていると思いませんか?