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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

「インドネシア・インフラ事業入札環境調査」の狙い

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インドネシアは国土も広く、人口も多く、経済発展は比較的近年の現象であり、これから1人当たりGDPが2倍にも3倍にも伸びようという国です。活気にあふれています。

一方で、電気、上水道、道路、都市交通、鉄道、空港、通信といったインフラの整備はまだまだのようで、様々な事実を知る度に驚くことも多いです。

先日も、インドネシア第2の都市のスラバヤで進んでいる上水道のPPP案件を調べていて、同市の水道の中核部分がオランダ植民地時代にオランダ企業によって1917年に構築されたものだと知ってびっくりしました。現在、それを現代的な水道インフラにするためのプロジェクトが国際競争入札案件として進んでいます。先日、入札資格付与者が発表され、丸紅と日本工営が参加するコンソーシアムも資格を得ています。

■独自に案件を開拓しても政府の支援対象になる

インドネシアは日本政府のインフラ輸出政策で重点的に支援されている国ということもあって、ジャカルタ首都圏投資促進地域構想を初めとする様々なプロジェクトのマスタープランづくり、ないしはフィージビリティスタディが、複数の日本企業の手によって進められています。(ご参考:JICAプレスリリース 「ジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)マスタープラン調査」がスタート

当初、日本企業はこうした政府と一緒に進めるプロジェクトでないとインドネシアには参入できないと思っていました。しかし、経産省に確かめてみると、企業が自前でどしどし開拓した案件であっても、それがよしとなれば後から政府がバックアップする形もあるし、関連施策の支援対象になることもある、経産省としてはどしどし日本企業に出ていってもらいたいとのことだったので、なるほどそうかと思った次第です。
要は、日本企業はどしどし外へ出て行って案件を開拓してするのが先。開拓した中から自社で取り組めるものがあれば、それからフォーメーションを組み、政府の支援施策を受けられる準備をすればよい。そういうことなのだと理解できました。

翻ってインドネシア側を見てみると、日本企業がマスタープランやFSで協力しているプロジェクト以外に、インドネシアのPPP関連報道でよく出てくる「約100件のプロジェクト」と言われるもの、あるいは、同国政府が"PPP Book"と呼んでいるリストに記載されている案件が多数あるらしく、その全体像が長らく謎でした。

しかし、そこはリサーチャーですから、色々と手を尽くして調べてみると、小さなきっかけから芋づる式に情報が見つかり、案件情報やコンタクト先情報も得られたことから、これはアプローチする価値があるなと思った次第です。折から別件で、こちらにも記した米国西海岸の視察の仕事をやらせていただいたこともあり、視察の効用は確かに大きいなと思いまして、シンクタンク系の視察を多数手がけているコラボレート研究所さんの協力を得て組ませていただいた次第です。

■プロジェクト関連省庁や法律事務所などを訪問

今回訪問先として予定しているのは以下の官庁、企業、法律事務所などです。

・公共事業省(道路、上下水道、ごみ施設などの案件を管掌)
・運輸省(空港、鉄道、港湾などの案件を管掌)
・西ジャワ州政府(同州およびバンドン市の空港、モノレール案件など)
・国家開発計画省(PPP制度管掌、財政支援制度なども)
・日本の総合商社(受注した案件などについて)
・Widyawan & Partners(国際法律事務所、同国のPPP法制度)
・JETRO(同国のビジネス事情)

参加企業様の要望により、スマートシティ的な性格を持った案件、テレコム系の案件、発電系の案件に関連するところを訪問することも考えています。色々とめぐって話を聞かせていただき、実際に案件に参画する際の現実的な準備につなげられればと思います。また、一度訪問して関係ができれば、参加企業様におかれましては今後のやりとりもスムーズになると考えています。

■担当者の顔を見て話すことの意味

何度か書きましたが、インドネシアでは現代的なPPP案件がずっと実施できずにいました。先日、伊藤忠などのコンソーシアムが受注した火力発電所案件が国際競争入札を行うPPP案件としては同国初ということになります。

従って、同国にとっても外国企業が関わるPPPはまだまだ習熟を要するインフラ整備手法です。一方でインフラ整備は喫緊の課題であり、同国がGDPで世界トップ10入りを目指すのならば、多数の案件を同時並行的に動かす必要があります。そのため、過去2-3年の間に急ピッチで関連法制度の整備や、関連省庁の組織づくり、地方政府への権限委譲、民間企業に対するファイナンス面の支援制度などが行われてきました。

こうしたものが整備済みであるということは様々な資料からわかるのですが、その実、どの程度まで実効性のあるものになっているのか。それについては担当者と直に会って腹を割って話をしてみないことにはわかりません。視察で顔を見て話すことには、そうしたことの確認という意味もあります。それで手応えが得られれば、案件受注の準備を本格化させればよいのではないかと思います。

現在、最大手メーカー様、シンクタンク様、最大手弁護士事務所所属の弁護士様などから参加の申込をいただいています。出発は9月11日日曜日。翌月曜日から木曜日までみっちり各所を回ります。ご興味のある方は視察概要をご覧の上、旅行全般を取り仕切るコラボレート研究所さんまでお問い合わせを。

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