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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

スコット知事のフロリダ高速鉄道計画撤回、覆る可能性も?

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フロリダ高速鉄道計画に対して米連邦政府が付けた24億ドルの助成金を、昨年当選した共和党のリック・スコットフロリダ州知事が拒否した件。準備を進めていたJR東海などの日本コンソーシアム参画企業にとっては、非常に残念な状況です。

しかし、米国の関連報道をざっと眺めてみると、事態はこのままで決着しそうにありません。

高速鉄道に大いに期待していた地元タンパでは知事に意を翻すように求める声が上がっています(Four Tampa Mayoral candidates call for Governor to reconsider high-speed rail)。
同じ共和党からもスコット知事の決定は理解しがたいという強い意見が出ており、地元紙のブログでは、共和党が多数を占める上院議員26名の超党派グループが、スコット知事に高速鉄道助成金返還の意思決定を撤回するように迫る書簡を出したと伝えられています(Even Republicans are Angry Rick Scott Declined High-Speed Rail Funds)。

スコット知事の今回の意思決定には、非常に強い言葉で非難する記述がたくさんあり、理不尽さが相当のものだと見受けます。

関連報道を総合すると、スコット知事が助成金撤回を決めた際に参考にした調査資料は、フロリダ高速鉄道の可能性を過小評価するかなり偏った視点のものであったそうです(Rick Scott's rail 'feasibility study' appears to be a report from the libertarian Reason Foundation)。

また、スコット知事が意思決定に先立って行った意見交換の相手も支持基盤である茶会党関係者のみで、もっとも重要な地元のステークホルダーがかやの外に置かれていたと報じられています。結果として、政治家として経験の浅いスコット知事の意思決定に対して、共和党の重鎮からも諫める声が上がりました。知事のリコールを求める声も出るほどになっていますから、今後の展開はまだまだ読めません(In wake of Rick Scott’s rejection of high speed rail in Florida, St. Pete House Democrat Rick Kriseman introduces legislation allowing citizenry to recall state politicians)。

ワシントンDCでは、フロリダ州選出民主党ビル・ネルソン上院議員とレイ・ラフード連邦運輸省長官が協議して、州知事の決定を反故にできる合法的な枠組み、具体的には民間の参画度合を強めて高速鉄道計画を具体化させる方法を検討していると伝えられています(LaHood and U.S. Senator Nelson Looking to Restore Florida High Speed Rail)。

新線建設の準備を進めていたタンパおよびオーランドの経済界は、おそらくはスコット知事の決定を受け入れないでしょうから、スコット知事は窮地に立たされるのではないでしょうか。

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