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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

高速鉄道を重視したオバマ大統領の予算教書

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オバマ大統領が議会に提出した2012年度の予算教書(予算案)において、鉄道などのインフラへの投資が強調されています。米国の関連報道から、ポイントを拾ってみました。

  • 地上輸送(surface transportation)の強化に6年間にわたって5,560億ドルを割当
  • うち2012年に8億ドル、6年間にわたって530億ドルを旅客鉄道サービスに割当(補注:高速鉄道新設を含む)。25年以内に米国民の8割が旅客鉄道を利用できるようにする。
  • インフラプロジェクトに対する資金調達を手当するものとして、運輸省管轄の国家インフラ銀行(National Infrastructure Bank)を創設。資金規模を300億ドルとする(補注:年金などの民間資金を想定)
  • 次世代航空トラフィックコントロールシステムに12億4,000万ドルを割当
  • エネルギー省所管の再生可能エネルギー関連施策に8億ドルを割当

この予算教書が現実の予算になるには、議会の承認を得る必要があります。現在下院では共和党が優勢であり、同党は特に高速鉄道への投資を批判しているので情勢はかなり不透明です。

仮にこの予算教書がほとんど変更されずに両院の承認を得たとしましょう。米国では歴史上初と言っていいほどの、旅客鉄道への投資が始まります。これが日本企業へも朗報であることは間違いありません。フロリダやカリフォルニアの高速鉄道計画では外国企業にも門戸が開放されていることから考えると、他のプロジェクトでも似た措置が取られると思われます。
ただし、外国企業の参画は、現地における雇用を増やす限りにおいて歓迎されるという条件付きであることを忘れてはならないと思います。オバマ大統領がこれほどの巨額をインフラ分野に割り当てるのは、それが雇用を増やし、経済の成長に結びつくからだと明言しています。

日本企業のインフラ輸出の発想としては、高速鉄道の運営事業を行う場合でも、高速鉄道の車両を売る場合でも、現地で雇用を生む枠組みをまず考える必要があるのではないかと思われます。端的には現地における車両生産工場の新設、拡充ということになるでしょうか。基幹部品は日本で製造して組立は現地で行うといった、新興国と同様の生産形態を取るのが望ましいのかも知れません。

少し前にお伝えしましたが、中国がそのへんを読んでか、カリフォルニア高速鉄道の車輌製造に利用できる敷地の確認に動いています

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